9月24日、中西学選手が記者会見を開き、10月8日両国国技館大会で行なわれる復帰戦の意気込みを語った。
中西選手は、2011年6月4日の京都大会で頚椎を負傷。長期欠場を余儀なくされた。一時は選手生命も危ぶまれるほどの状態であったが、驚異的な回復力と懸命なリハビリによってついに復活。9月23日神戸大会に来場し、1年4ヶ月ぶりの復帰をリング上で発表した。
復帰戦では、同期のライバルである永田裕志選手、マッスルオーケストラのパートナーであるストロングマン選手と組み、矢野通&飯塚高史&石井智宏と対決することが決定。凶悪トリオによる首への攻撃も懸念されるが、中西選手は「覚悟の上での復帰。やれば倍返してくる相手。(でも)やれるのはありがたい。これが新日本プロレス」とコメント。
「早く実戦がしたいと思って、興奮しています」「体調は100%に近い」と、やる気満々の様子だった。
■中西選手のコメントと質疑応答
中西「10月8日になると、もう1年4ヶ月以上、休んだことになって。(首の)手術をしたのが去年の10月5日やったんで、1年ちょっとということで。まあ、仕上がりは上々です。言わせてもろうたら、実戦というのをやってないんで。早く実戦をしたいと思って、興奮しています。(※対戦カードを見て)まあ、ストロングマンと永田がいるということは、凄く心強いことですし。会社に対しても、自分の復帰戦のためにストロングマンを呼んでくれたというのが、凄く言葉にできないぐらい感謝の気持ちがある。それと、彼(ストロングマン)自身が、僕が休んでいるあいだ、ずっと僕のことを言ってくれていたんで。彼とも会って、また肌を合わせてみたいですね。まあ、1人で闘うというのもあるけど、6人タッグやと色んな可能性も出てきますから。永田とは、この世界に入ったときからずっとお互いを見てきましたから。心強いパートナーたちです。誰が相手でも、どうのこうのと自分で言うことはないんで。全力でぶつかっていくということですね。本当にこんな大きな大会の、第1試合をやらせていただけるということ、感謝の気持ちでいっぱいです。当たり前のことですけど、この復帰戦を一生懸命やりたいと思います」
——この1年4ヶ月を振り返って思うことは?
中西「いま、こういうふうに(普通に)してられるけど。寝たきりのときは、『そうなるんや、なれるんや』ということ、それだけを心に(思っていた)。というか、半分、自分が現実を見ないようにして、『絶対、復帰できるんや』『それがあるから頑張るんや』『試合があるから、俺は絶対、復帰できるんや』と(思っていた)。ハッキリ言って主治医の先生やらは、『そんなことは不可能』だと言っていましたけど。そのときの現実に向かい合えば、それ(復帰)は絶対にあり得なかったと思うんですけど、逆にそれに向かって励んでいくという活力みたいなものを、自分から出すしかなかったんで。いま振り返ってみると、ホントになんの根拠もなかったかもしれないんですけど、『ここに帰って来るしかない』という思いでやっていました。そういう1年でした」
——復帰のゴーサインが出たのはいつごろですか?
中西「ゴーサインというか、ここ1ヶ月の自分の体の動き。この夏のうだるような暑さというのは、皆さん『たまらん』と言ってましたけど、冬場のストレッチではまったく柔らかくならなかった体が、かなり柔軟性を帯びてきまして。柔らかくて、粘りがあって、強い背骨、脊髄。それがあることが、やっぱりレスラーなんで。技を受けてナンボですから。それに、自分が技を出すときも負担がかかりますから。そういうことを含めて、この1ヶ月は飛躍的に充実したものになってますので。そういうものを感じて、復帰戦に繋がったということです」
——主治医の先生はなんと言っていますか?
中西「外科的にいえば、まったく問題ないと。骨も100%戻っていますし。若いころからアルゼンチンバックブリーカーしかなかったから(笑)、僕の首の前のじん帯が骨化しまして。首の骨の7番から4番までが一つの骨になっちゃいまして。まあ、よくあることなんですけど。それがもとで狭さくという形になって、僕の頚椎を締め付けていたんですね(笑)。いつ爆発してもおかしくない状態だったんですけど、骨が一つになったおかげで、200kgの相手を1試合で何回も持ち上げられたと思うし。まあ、レスラーはみんな命懸けで無理なことをやってると思いますけど。そやけど、手術したことによって、延髄に食い込んでいた骨というのは全部取り除きました。その瞬間に、元気な延髄に戻ってくれたので。だから、いまは爆弾が取れた状態です。まあ、普通の人よりも長い時間をかけてストレッチをして、体を温めないと試合ができない形ではあります。でも、それはうまく付き合っていかないといけないんで」
——引退を考えたことはありますか?
中西「ありがたいことに、倒れたその日に左の親指だけは動いたんで。それで、1週間後には左手の指が動いて、1ヶ月後には右手の指も動いてくれたんで。そのときの主治医の先生は驚いていましたけど、最初に倒れたときは、本当に『覚悟して下さい』と言われましたから。それが現実だったんですけど、現実には向かい合えなくて。『絶対、リングに戻ってこれるんや』って。何の根拠もないんですけどね。そう思ってやっていました。そう思ってるから、『動いたらアカン』って言われてるのに、体をガンガン動かして(苦笑)。痛みが走って一晩寝られなかったことが何回もありました。いまは状態がいいから、そういうことも言えるんですけど。ホントに自分は運がよかったです」
——欠場前と比べて、体の調子は何%ぐらい戻りましたか?
中西「いや、もう100%近いですよ。物を持ち上げる力とかは、実戦でやっていかないと、なんとも言えない部分もありますけど。体のキレとか、そういうものは(いい)。見た目のサイズはほとんど変わらないですけど、脂肪がずいぶん減りましたね。リハビリの運動というのがインナーマッスルを動かす形なんで、脂肪がどんどんそぎ落とされて、引き締まった体になるんです」
——矢野選手たちは、首を攻撃してくることも考えられますが?
中西「いや、もう(苦笑)。プロレスラーなんですから。試合に復帰するんですから。首をかばって試合ができるような、そんな相手じゃないですから。それも覚悟の上での復帰ですから。痛さを感じないで、痛さを自分に受け入れないで、試合をしようなんてぜんぜん思ってませんから。やれば倍返してくる相手ですからね。だけど、やっぱりこういう相手とできるというのは、ありがたいことです。それが新日本プロレスのリングやと思いますから」
■『KING OF PRO-WRESTRING』
10月8日(月・祝)17:00
東京・両国国技館
★チケット情報
★カード情報
●第9試合 60分1本勝負
IWGPヘビー級選手権試合
<第58代王者>棚橋弘至
VS
<挑戦者>鈴木みのる
※4度目の防衛戦
●第8試合 60分1本勝負
IWGPインターコンチネンタル選手権試合
<挑戦者>後藤洋央紀
VS
<第4代王者>中邑真輔
※王者2度目の防衛戦
●第7試合 60分1本勝負
東京ドームIWGPヘビー級王座挑戦権利証争奪戦
<挑戦者>カール・アンダーソン
VS
<権利証保持者>オカダ・カズチカ
●第6試合 30分1本勝負
真壁刀義&井上亘
VS
桜庭和志&柴田勝頼
●第5試合 30分1本勝負
内藤哲也
VS
高橋裕二郎
●第4試合 60分1本勝負
IWGPタッグ選手権試合
<第60代王者組>天山広吉&小島聡
VS
<挑戦者組>ランス・アーチャー&デイビーボーイ・スミスJr.
※初防衛戦
●第3試合 60分1本勝負
IWGP Jr.ヘビー級選手権試合
<第64代王者>飯伏幸太
VS
<挑戦者>ロウ・キー
※3度目の防衛戦
●第2試合 60分1本勝負
IWGP Jr.タッグ選手権試合
<第33代王者組>ロッキー・ロメロ&アレックス・コズロフ
VS
<挑戦者組>KUSHIDA&アレックス・シェリー
※2度目の防衛戦
●第1試合 30分1本勝負
中西学 復帰戦
中西学&永田裕志&ストロングマン
VS
矢野通&飯塚高史&石井智宏
【写真:山本正二】