プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
「この夏、まぎれもなく“新日本マットの主役”を勝ち取ったのは内藤哲也」 灼熱の『G1』両国2連戦をコラムで大総括!
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■CHAOS勢のヘルプはない。おそらくオカダは、ひとりで対処できるからセコンドも助っ人も必要ないと考えていたのではないか?
真夏の最強決定戦『G1 CLIMAX33』は、8月12日&13日、両国国技館2連戦で文字通りクライマックスを迎え、内藤哲也が6年ぶり3度目の優勝を飾った。
12日には、決勝トーナメント準決勝の2試合が行なわれ、まずオカダ・カズチカ(Bブロック1位)とEVIL(Cブロック2位)が対戦した。
リーグ戦を圧倒的な強さで勝ち抜いてきたオカダに対し、EVILは常套手段ともいうべき反則、介入を駆使して勝ち残ってきた。
オカダからすればEVILの戦法は承知のうえだから、冷静に試合を進める。それでも、セコンドに付いたディック東郷ばかりか、高橋裕二郎とSHOまで再三介入してくる。しかも、レフェリーの死角をついて、または試合に巻き込まれた(巻き込んだ)レフェリーがダウンしている間にリング内に乱入し、堂々と凶器を使ってくる。
そのたびにペースを崩されるオカダ。実質、1対3の変則マッチの様相を呈してきた。それでもCHAOS勢のヘルプはない。おそらくオカダは、ひとりで対処できるからセコンドも助っ人も必要ないと考えていたのではないか?
何度もピンチを迎えながら、東郷、裕二郎、SHOに高角度ドロップキックの3連発を決めて、場外に排除してみせた。
最後は掟破りの逆EVILを炸裂させると、変型エメラルドフロウジョンから必殺のレインメーカーを完璧に決めてみせた。勧善懲悪を地でいくような決着に観客は大爆発。積もり積もったるストレスから解放され、しかも圧倒的なオカダの強さを目のあたりにしたからだ。
この瞬間、前人未踏の『G1』3連覇にオカダが大手を掛けたわけである。
■最後の逆転劇は奇跡的というかプロレスラーの本能、内藤の執念以外のなにものでもない。
つづくメインイベントの組み合わせは、内藤哲也(Dブロック1位)とウィル・オスプレイ(Bブロック2位)による準決勝。リーグ戦でオカダを破っているオスプレイは順当に上がってきた。一方、リーグ戦でジェフ・コブとシェイン・ヘイストに不覚をとった内藤は、どこかコンディションに不安を感じさせる試合が多かったという印象。
入場時の館内の声援は五分五分か6対4でオスプレイが上まわっているように感じられた。こと人気面では内藤がダントツと予想していたのだが、現実的にはそうともいかなかった。
この現象を分析するならば……昨年の優勝決定戦でオカダに敗れ準優勝に終わったオスプレイの雪辱を願う気持ちや、ここ2年半シングルの勲章から離れていた内藤に対し、IWGP世界ヘビー級王座も戴冠しているオスプレイの実績を認める思いなども込められていたのかもしれない。
内藤を応援する赤いサイリュームより、オスプレイを応援するブルーのサイリュームのほうが目立っていたようにも感じた。
ところが、試合が始まると不思議というかおもしろい現象が見られた。赤いサイリューム、あるいは青いサイリュームも振りながら、観客の多くがどちらにもコールを送っているのだ。
内藤がピンチに立てば、「ナイトー」コールだし、オスプレイが追い込まれると、「オスプレイ」コールが響きわたる。つまりどちらのファンであろうとよりいい試合を観たい、いま現実に素晴らしい闘いが展開されていることを象徴しているような空気感に包まれていたのだ。
過去のシングル戦績は、2勝2敗の五分。戦績も五分なら声援も五分。まるで1日早い優勝決定戦のような雰囲気で、試合は進んでいった。両者まったく退かない攻防は、あっという間に25分を超える。
スピードは互角。あえて言うなら、パワーではオスプレイ、切り返しでは内藤という感じ。
ところが突然、内藤の動きがガクッと鈍った。オスプレイのサイレントウィスパー(背後からのトラースキック)3連発がもろに顔面にヒット。倒れ込んだ内藤を海野レフェリーがチェックしてからダウンカウントが入る。レフェリーを突き飛ばすようにしてカウント9でなんとか起き上がった内藤。
「これはヤバイかも?」といった空気が流れはじめる……。
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