『G1 CLIMAX 22』開幕を目前にした7月27日、新日本プロレス道場にて、中邑真輔選手が仰天のドラム特訓を敢行! 人気ロックバンド・ユニコーンのドラマーである川西幸一さんの指導のもと、灼熱の道場内でドラムを叩きまくった。
取材に訪れた報道陣が目にしたのは、リング上に2組のドラムセットが設置された異様な光景。しかし、困惑の表情を浮かべた記者たちを尻目に、中邑選手は真剣な表情でドラム練習に没頭。河西さんと一緒のリズムを刻み、道場内にドンドンドンドン!!という大音響が響き渡る。
時おり、川西さんが演奏を止めて細かい指導を入れ、中邑選手はさらに高度なリズムに次々とチャレンジしていく。防音対策のために閉め切られた道場内の室温は40度近くなり、中邑選手、川西さん、そしてマスコミたちも全身が汗だくとなる。だが、中邑選手の特訓が終わることなく、気づけば30分もの時間が経過していた。
一見すると、非常に奇抜な特訓のようにも見えるが、そこには中邑選手ならではの狙いがあった。試合にもリズムやテンポというものがあり、「リズムに相手を乗せないと、試合が自分のものになってこない」と、その重要性を語る。
さらに、中邑選手は「ドラムは、右手・左手・両脚と、(体の)意識を全部分けることをしなくちゃいけないので、体の動きを自分自身で知る上では、物凄く効いてくる行為」と説明。そこへ川西さんがすかさず、「体幹(たいかん)も大事だし」と、補足を入れていた。
■練習後のコメントと質疑応答
——今回、川西さんにお願いした経緯というのは?
中邑「もともと、ずっとドラムがしたくて。ちょっと触るぐらいの機会は何回かあったんですけど、本格的に(やる)というのはなかなかなかったんです。ちょっと今回、自分的に物凄く新しい刺激(が欲しかった)というか。確実にモノにできれば、自分の体の動かし方も、また変わってくるだろうなと思って。知り合いのドラマーというのが、恐れ多くも川西さんだけしかいなかったので。お願いしたところ、快く承諾いただいて、今日の運びになりました」
川西「俺、こういうこと(指導)やったことないんですよ、1回も。生まれて初めてなんですよ、今日が。(自分が)忙しくなってできなくなったときは、(中邑に)ユニコーンを代わりにやっていただこうかなと(笑)」
中邑「メチャクチャになりますよ(笑)」
——いつごろからのお付き合いなんですか?
川西「3〜4年ぐらい前?」
中邑「そうですね。けっこう前に、僕が広島の試合後に、ちょうどユニコーンさんがライブで広島に来ていて。打ち上げ会場でちょっとお会いして。それからですね。ちょいちょい、色んな所へ誘っていただいて」
——中邑選手は、バンドの経験があったんですか?
中邑「いや、まったくないですね」
川西「だから、ほぼ初めてですよね?」
中邑「そうですね、ハイ」
川西「わりとリズム感というか、スジがいいと言ったら変な言い方ですけど、やっぱりカンみたいなものがいいんじゃないかな?と思うんですよね。一緒にバンドをやっているボーカルの(奥田)民生君も、ドラムを教えてもらったことがないんだけど、アイツも見た目とか体の動かし方で覚えるのが凄くうまくて。要領がいいんですよ。だから、(中邑にも)そういうところがあるんじゃないのかな〜?」
中邑「プロレスにはかなり通じますけどね。特にきめ細かく教えてもらうということが、まずないので。見て覚えて“盗む”というのが。そういう世界ですね」
——実際にやってみた感想はいかがですか?
中邑「物凄くいい汗かきました。やっぱり、確実にこれは『トレーニングの一部として取り入れたいな』と思ってますね。かつ、ホントに新しい刺激というか。ただ単にトレーニングするんじゃなく、こうやって生活だったり、自分の一部に組み込んだほうが、絶対に覚えるのも、自分の身になるのも早いんで。非常に有意義でした」
——具体的にはどういう部分に役立ちそうですか?
中邑「もう、試合全体のコントロールですね。自分の試合をするには、耳だけじゃなく自分の全身で、会場全体だったり、対戦相手だったり、レフェリーだったり、ほかを感じながら試合をするので。そういう意味では、意識はするんですけど、無意識で自分の体の一部を動かすとか。そういう意味で物凄くいいトレーニングになると思いますね。いや〜、面白かったぁ!」
——そんなに面白かったんですか?
中邑「楽しいとか、面白いという感じで、自分の身になれば、一番言うことないですね」
——『G1』に生かせそうですか?
中邑「そうですね。特に今回は、当たったことがない選手が何人かいるんで。そういう中で、自分のペースを作ったりという部分では、かなり役立つと思いますね。ちょっとやってないだけでも、リズムから何からまったく変わってくる選手もいるんで。『難しい』というよりも、『自分のリズムにどうやって持ち込むか?』という部分ですね。自分のやりたいようにやるためには」
——川西さんは、中邑選手の試合をご覧になるんですか?
川西「今度の日曜日(7月29日後楽園ホール)は。あとは、スケジュールが合ったときに(見に行っている)。やっぱり凄いですよね。なんかこう、引き込まれていく感じというか。あと、音楽もそうなんですけど、ライブ中、知り合いとかが来たら、わかってるんですよ。お客さん側からすると、わかってない感じもするじゃないですか? で、最初に試合を見に行ったとき、リングサイドで見せてもらっていて、(中邑は)まったくこっち(客席)は関係ない感じでやってるんだけど、終わったあと『あそこ、いたでしょ?』って見てるから、『あ!やっぱり冷静に見てるんだな』と思って。そのへんはやってることは違っても、『凄く似てるな』と思います」
中邑「ライブなんか行かせてもらっても、物凄く刺激を受けるんで。やっぱり、ドラムにも引き込まれていきますし。特に川西さんの叩き方というのは“ストロングスタイル”という感じなんで(笑)。まあ、凄いハードヒットみたいな。物凄く刺激になりますね」
G1 CLIMAX 22 〜The One And Only〜』
8月3日(金)18:30 東京・後楽園ホール:サムライTV
8月4日(土)18:00 愛知・愛知県体育館:J-SPORTS
8月5日(日)17:00 大阪・大阪府立体育会館〜BODY MAKER コロシアム〜:TV朝日