プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
「まぎれもなく“怪物”に変身して帰ってきた男。辻陽太は“令和の乱”を巻き起こすことができるのか?」6.4大阪城ホールを大総括!
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■気持ちいいほどの真っ向勝負を制した。なぜ、ヒロムは過去の防衛戦と闘いかたを変えて挑戦者に相対したのか?
新日本プロレスにとって春最大のビッグマッチである6・4大阪城ホール大会(DOMINION)は7大タイトルマッチを軸として開催された。
今回は、もっとも注目すべきマッチアップであると同時に内容的にもファンの期待に存分に応えた後半3試合について総括してみたい。
まずは、高橋ヒロムに『BEST OF THE SUPERJr.30』覇者であるマスター・ワトが挑戦したIWGPジュニアヘビー級選手権。
ともかく、2020年7月、コロナ禍の無観客試合に凱旋したワトは苦難の連続だった。無観客試合での凱旋という条件の悪さに加え、ファンに馴染みのないワトというリングネーム。こうなると、ファンも感情移入して応援しづらくなってしまう。
これまで、IWGPジュニア王座に二度挑戦し、『BOSJ』には3回出場しているが、結果を残すことができなかった。いつの間にか、ジュニア戦線のなかで埋もれ掛かっていたワト。ところが、今年ついに覚醒した。
水を得た魚のごとくリーグ戦を勝ち抜いていくと、優勝決定戦ではティタンと激突。率直なところ、大穴同士の優勝戦。ただし、内容は素晴らしいもの。優勝者=ワト、準優勝者=ティタンがともに大いに株を上げる至極の闘いであった。
当然のように、ワトは高橋ヒロムへの挑戦をぶち上げた。若手時代からヒロムを目標にジュニアの頂点を目指してきたワトにとって、これ以上ないシチュエーション。凱旋から3年弱の歳月を経て、ようやく実力で、チャンピオンと五分の立ち場で相まみえることとなった。
王者として4度の防衛に成功し、昨年まで『BOSJ』3連覇も達成しているヒロムは、いま現在、新日本ジュニアの顔であり、ジュニアの絶対エースと呼んでいい存在である。
この試合で私が注目していたのは、ヒロムがワトを相手にどのような闘いかたで臨むかにあった。というのも、ここ最近のヒロムはタイトルマッチとなると、受けにまわるシーンが多かった。
挑戦者の攻撃をとことん受けきったうえで、最後に試合をひっくり返す。王者らしいといえば王者らしい戦法。ただ裏を返すと、ヒロムには余裕というか、どれだけ攻め込まれても絶対に負けないという自信があるのではないか? 私はそんなふうに見ていた。
ところが、今回のヒロムは違った。序盤から飛ばしまくってワトに攻勢を仕掛ける。躊躇なく場外戦も自ら仕掛けていった。
受けの王者ではなく、攻めの王者。そんな姿勢はかつてKUSHIDAに挑んでいったころの若き日のヒロムを彷彿させた。
ワトも抜群の跳躍力と、えげつない強烈なジャベで王者に挑んでいく。互いに退くことなくぶつかり合う。
終盤、ワトの通天閣ジャーマンが炸裂。これをキックアウトされるとレシエンテメンテⅡへ。だが、ヒロムはそれを回避して、ヒロムちゃんボンバーからTIME BOMBⅡで3カウント奪取。
気持ちいいほどの真っ向勝負を制した。なぜ、ヒロムは過去の防衛戦と闘いかたを変えて挑戦者に相対したのか?
戦前、ワトは「新時代の扉を開く」と宣言した。おそらくヒロムは、その心意気に正面から応えたのではないか。同時に、『BOSJ』覇者となったワトの試合を大いに評価していたのだろう。
ベルトを手に花道を引き揚げてきたヒロムは、「新しい扉はとっく開いている。その先にいるのがこのオレだ!」とカメラに向かって叫んだ。
今後もオレはトップとして君臨しているから、そこを目指してまた挑んで来い! そういう意味を込めたワトへのメッセージなのだろう。
後輩に見せつけた攻めの王者ぶりは、ヒロムが原点に返ったかのようにも映った。また、ワトにはますます今後への期待が膨らんだ。
ある意味、世代闘争にして師弟対決。心地のいいIWGPジュニア選手権だった。
■セミどころかメインでも通用するようなビッグネームが集結したNEVER6人タッグ史上、最高に豪華なメンバーでベルト争いが行われた。
当初、第7試合に行なわれる予定であったが、クラウディオ・カスタニョーリがフライトトラブルに遭ったため、セミファイナルにマッチメークされたNEVER無差別級6人タッグ戦。
いやいや、セミどころかメインでも通用するようなビッグネームが集結したNEVER6人タッグ史上、最高に豪華なメンバーでベルト争いが行われた……。
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