プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
今回は「あの肉体、面構え、不敵な笑み…期待せずにはいられない」“第三の男”辻陽太が突如凱旋! 『レスリングどんたく』5.3福岡決戦をコラムで大総括!
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■5.3当日、フタを開けてみればソールドアウトとなる4,489人(札止め)の大観衆で福岡国際センターが埋まった。
ここ3年のコロナ禍による規制が緩和されたことで、ようやく新日本プロレスの勢いが戻ってきた。それを実感するような5・3福岡国際センター大会だった。
今年は『レスリングどんたく』開催30周年記念大会ということもあるのだろうが、とにかくチケットがよく売れた。そういえば、4・8両国大会当日にテレビ朝日関係者と雑談していたところ、「ここ数年でイチバン前売りチケットが売れていますね」という声を聞いた。
ここがポイントでもある。まだカード発表以前の段階でチケットが相当数売れている。これは2010年代後半に新日本プロレスがプロレスブームを牽引していたころ、よく見られた現象。声出し応援が解禁されたことにより、プロレス界も活気づいてきたと解釈していいだろう。
5・3当日、フタを開けてみればソールドアウトとなる4,489人(札止め)の大観衆で福岡国際センターが埋まった。ファンの熱気が充満した会場はビッグマッチ感をより盛り上げていたように思う。
■トップ外国人同士による真っ向勝負が観客を魅了した。
大会の目玉は、5大タイトルマッチであるが、まず火を点けたのが第6試合のNJPW WORLD認定TV選手権。1・4東京ドームで王座に就いて以来すでに5度の防衛に成功しているザック・セイバーJr.にジェフ・コブが挑んだ一戦だった。
周知の通り、この王座は15分1本勝負で競われる。そこが斬新でもあり、試合の流れを決める重要なポイント。今回も同様だった。
サブミッションと丸め込みの達人たるザックに対するは、パワーと瞬発力で勝負するコブ。いわゆる柔対剛の典型的なマッチアップ。
それでいて、コブは2004年アテネ五輪レスリング代表となっている五輪レスラーであるからレスリング技術に長け、空中戦もできる身体能力を持っている。
スタイルの違う両選手が開始から15分、ハイスパートをかける。最大の見せ場は、トップロープからの攻撃を狙ったコブにザックがオクトパスホールド(卍固め)を仕掛け、さらにはそのザックをコブが雪崩式サイドスープレックスでぶん投げたシーン。
ザックの回転足折り固めでも決まらず、コブのツアー・オブ・ジ・アイランドでも決まらない。ザックが飛びつき腕十字から三角絞めへ。それをパワーでブッコ抜いてみせたコブ。
ここで時間切れのゴング。トップ外国人同士による真っ向勝負が観客を魅了した。ザックvsコブ。この先どういうカタチであれ、再戦は必至だろう。
■たとえIWGP世界王座を失っても、オカダの最強伝説は揺るぎない。若武者たちにとっては、本当に分厚い壁であることを示した格好である。
第7試合は、NEVER無差別級6人タッグ選手権。ストロングスタイル(鈴木みのる&エル・デスペラード&成田蓮)がベルトを巻いたことにより、この6人タッグ王座の注目が増している。
まして、今回は成田の執拗な挑発を受けてオカダ・カズチカが腰を上げた。さらにオカダのパートナーを巡ってもひと悶着あった。オカダがパートナーに棚橋弘至を指名し、つづいて石井智宏を指名。ところが、頑固一徹の石井は「本隊の人間とは組みたくない」と拒絶。そんな中で、棚橋が米国遠征中に左肋骨を負傷してシリーズ欠場を余儀なくされた。
結局、パートナーはⅩとされていたものの、棚橋は肋軟骨骨折の怪我を押して強行出場してきた。
いざ本番を迎えるまでに舞台裏はテンヤワンヤであったわけだが、対峙すればそれぞれに因縁渦巻く6選手だから、激しくぶつかり合う。とくに、この試合にかぎっていうなら、オカダvs成田、棚橋vs鈴木、石井vsデスペラードという図式で互いに意識し合っていた。
均衡を破ったのは、やはり鈴木だった。棚橋の負傷箇所である左脇腹にナックルでボディブローの2連発。これに悶絶する棚橋。そこから試合が動きはじめた。
棚橋と組むことに拒絶反応を示した石井だが、いざリングに上がればプロだった。過去に激闘を展開してきているから、互いの力量も認め合っている。試合後にしっかり握手を交わしたように、試合中のチームワークを乱すようなこともなかった。
この一戦をつうじて、やはり再注目はオカダと成田の絡み。ひとことで言うなら、オカダの圧勝。成田も得意のスープレックスを繰り出してみせたものの、オカダを追い込むまでには至らない。
最後は、オカダが超高角度ドロップキック、コブラツイスト合戦を制してから変型エメラルドフロウジョン、レインメーカーの必勝パターンで成田をマットに沈めている。
たとえIWGP世界王座を失っても、オカダの最強伝説は揺るぎない。若武者たちにとっては、本当に分厚い壁であることを示した格好である……。
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