【WEBで無料公開！】野中大三の『ゲーム的プロレス論』！今回は祝『SUPER Jr.』30周年！「アニバーサリーこそ原点回帰を」

2023.5.11
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【WEBで無料公開！】野中大三の『ゲーム的プロレス論』！今回は祝『SUPER Jr.』30周年！「アニバーサリーこそ原点回帰を」

大好評！ゲームデザイナーの野中大三さんによるプロレスコラム！今回は「アニバーサリーこそ原点回帰を」

■第61回「アニバーサリーこそ原点回帰を」

みなさんこんにちは！
『レスリングどんたく2023』は盛り上がりましたね。
STRONG無差別級、NEVER無差別級、そしてNEVER6人タッグは王座が移動し、新しい波の到来を感じました。

メインのSANADA選手対ヒロム選手はヒロム選手らしいスピーディーな試合展開をSANADA選手ががっちり受け止める好勝負に。あわやという場面もありましたが、最後はSANADA選手が火の出るようなシャイニング・ウィザードからデッドフォールに繋げてV1。
直後に辻陽太選手の電撃帰国もあり、お腹いっぱい胸いっぱいのビッグマッチでした。

さて、新日本プロレスの5月シリーズと言えば、恒例の『SUPER Jr.』です。
「ジュニアの季節」とまで言われるほど広く認知されるこのシリーズは『BEST OF THE SUPER Jr.』に名前を変えて今年で30回目。まさにアニバーサリーイヤーを迎えます。

今回はアニバーサリーシリーズとなる『BEST OF THE SUPER Jr.』についてゲーム的に論じていきますよ。
それでは、ゲーム的プロレス論、PUSH START！

■30周年事業の鍵は原点回帰にあり

30回目のアニバーサリー大会。
なんともでかい冠大会です。1994年の初開催から毎年開催すること30回。
ちょっとやそっとで30thは名乗れません。周年は継続したものだけが使える誉高き冠。
ゲーム業界でも周年はゲーム事業の王道的手法として用いられます。
今年だとファミコン40周年が著名な周年ゲーム事業ですね。

周年を事業化することには３つのメリットがあります。かつてのユーザーの回帰、既存ユーザーの満足度アップ、そして新規ユーザーの獲得の３つです。
簡単に言うと、ひとつの旗印のもとにいろんな世代のユーザーに集まってもらい、盛り上げてもらおう、ということです。
しかし、闇雲に周年を訴えているだけでは目をひくだけに留まり、手に取って遊んでいただくには至りません。
長く継続してきたシリーズの本来の姿、守ってきたものと変わってきたものをユーザーに説明することが必要なのです。

「このシリーズってやっぱここがいいよね」
「昔と変わったけど、変わってないところもあって安心した。」
「長く続いているのならこの機会に遊んでみようかな。」

こういった声を獲得できれば周年事業は成功のきっかけをつかんだと言えるでしょう。
周年事業は事業拡大のチャンスですが、忘れてはいけないことはシリーズの原点を改めてユーザーに伝えること。
そう、原点回帰こそアニバーサリーに求められる重要要素なのです。

■『SUPER Jr.』の三大ポイント

『SUPER Jr.』と言えば３つの魅力ポイントがあります。
ここではその３つを「三大ポイント」として紹介していきましょう。

① ハイフライ＆ハイスピードのジュニアヘビー級ならではの攻防
② 各世代を代表するライバル対決
③ 初参戦選手のブレイク

この３つ、新日本プロレスファンのみなさんならピンとくるのではないでしょうか。
今年はこの三大ポイントを満たしてくれそうなメンバーがそろっています
そう、30回目にしてスーパージュニアの原点回帰とも言える戦いが期待できるメンバーなのです。
ここからは今大会の注目カードと選手を三大ポイントの観点で紹介していきましょう。

■ハイフライ＆ハイスピードな攻防に注目！

5.18岩手大会リオ・ラッシュ対ティタン

5.24大阪大会ケビン・ナイト対マスター・ワト

『SUPER Jr.』の華と言えばハイフライ＆ハイスピード。
この２カードは速く華やかな空中戦が期待できるマッチアップです。
リオ・ラッシュ選手とティタン選手はどちらも飛び技を得意にしますが、得意にする高度に違いがあります。高く飛ぶティタン選手と低空飛行をのリオ・ラッシュ選手。飛び技の奥深さを見せてくれる一戦になるでしょう。

ケビン・ナイト選手とマスター・ワト選手は若き本隊ジュニア同志の対決。ナイト選手はブランチャ、ドロップキックなど基礎的なムーブを大切に使います。一方、ワト選手はアレンジの効いたRPP、トルニージョといった複雑な回転技を使います。同じ飛び技でも技のチョイスの差違に着目するとより楽しめる一戦でしょう。

■現世代を代表する３強プラス１

高橋ヒロム選手、エル・デスペラード選手、石森太二選手の３強とそこに食い込みつつあるマスター・ワト選手の４人が現世代のコアメンバーと僕は見ています。コアメンバーが絡む試合こそが今大会の色を作ります。

かつてライガーさんとフォー・フォースメン、トンガリコーンズだったり、ジュニア・スターズだったり、ゴールデンラヴァーズとアポロ５５だったり、その時代のコアメンバーたちの試合が盛り上がったからこそスーパージュニアはここまで続いたのです。現世代を代表するこの４選手が過去どの大会よりもおもしろいスーパージュニアを見せつけてくれることを期待しましょう。

■ブレイクが期待される初参戦選手
初参戦選手がブレイクするのも『SUPER Jr.』らしいところでしょう。
第一回大会でスペル・デルフィンが旋風を巻き起こし決勝までコマを進めました。
近年でもマーティ・スカル選手、DOUKI選手、アレックス・ゼイン選手にエース・オースティン選手といった日本で認知度の低かった選手が一気に注目を浴びるようになりました。

『SUPER Jr.』は世界中の選手から見て飛躍のチャンスなのです。今回飛躍のチャンスを掴んだのは、マイク・ベイリー選手とダン・モロニ―選手の２名。