2022年に誕生、オーストラリアやニュージーランドといったオセアニア地区を主体とした新ブランド『NJPW TAMASHII』、今回は“地元”のロビー・イーグルスが、その魅力と可能性を語る!
■こんなに頻繁にオーストラリアで大会を行うことができるなんて、誰も思っていなかったんじゃないか
――『NJPW TAMASHII』について少しお話を伺います。半年ほど前にブランドが立ち上がり、あなたはレスラーとしてだけでなく、コーチやプロモーターとして、このブランドの完成度を評価する立場にあるのではと思います。あなたの率直な評価はどのような感じでしょうか?
ロビー 期待以上だと思うよ。こんなに頻繁にオーストラリアで大会を行うことができるなんて、誰も思っていなかったんじゃないかな。
――周りはみな、もっと大会の数は少なくなるはずだと考えていたのでしょうか?
ロビー そう思うし、一方では、もっとたくさんの日本の才能ある選手たちや、他の有名な選手たちの出場を期待していたのかもしれないな。新日本プロレスの世界進出が拡大していくにつれてアメリカでの興行数も増えているんだが、こちらにはアメリカの大会に出場していない日本人レスラーを起用するチャンスもある。今年の4月には鷹木信悟と後藤洋央紀が参戦するよ。
――次回の『NJPW TAMASHII』は4月14日と16日に開催されます、ワシントンDCにあるEntertainment & Sports Arenaで開催される『Capital Collision』と、フィラデルフィアにある2300 Arenaで開催される『Collision in Philadelphia』と同時期に開催されますね。
ロビー 新日本プロレスの大会が、日本ではない2つの国で同時に2つも行われるんだ。これは新日本プロレスというブランドにとって、非常に素晴らしい偉業だと思うよ。そして、『NJPW TAMASHII』には新日本プロレスのロースターを代表する選手たちが揃っているんだ。シンゴ、後藤、俺、そして過去にはヘナーレ、カイル・フレッチャー、現在も(バッドラック)ファレとジャック・ボンザのチームであるローグ・アーミーが参戦している。
――『NJPW TAMASHII』は、アメリカでの『NJPW STRONG』が比較対象になります。
ロビー もし、『NJPW STRONG』がパンデミックの時期に興行を始めたのではなかったら、今頃どうなっていたんだろうかと思うよ。『NJPW STRONG』が始まった頃は、多くの人を飛行機に乗せて飛ばすこともできず、会場に観客を入れて開催することもできなかったからな。俺たちは最初からそれができているので、非常に助かっているよ。
■スケジュールさえ合えば、これからも日本の選手が『NJPW TAMASHII』で活躍するということはあるだろう。
――ファンがこのブランドに何を期待すればいいのかを理解し始めていると思いますか?
ロビー 『NJPW TAMASHII』はオーストラリアとその周辺にいるレスラーたちによる興行が主体で、日本のレスラーも参戦しているということがファンには伝わっていると思うんだが、これからもずっとそうなるというわけではないんだ。もちろんスケジュールさえ合えば、これからも日本の選手が『NJPW TAMASHII』で活躍するということはあるだろう。年末にはオセアニアカップも開催されるし、『NJPW TAMASHII』にとっても新日本プロレスにとっても大規模なイベントとなるはずだ。
――『NJPW TAMASHII』は、ヴェロシティーズやリルバード・ルチ選手のような才能ある選手たちを、世に送り出してきました。現在『NJPW TAMASHII』は隔月で大会を開催していますが、このようなオーストラリア人のレスラーたちが大会に出場し続けることができるようになるためのアドバイスは何かありますか?
ロビー もしあなたが熱心なファンではなかったとしても、『NJPW TAMASHII』の試合を見て誰かがあなたの目に留まったのであれば、ググって(Googleで検索して)彼らのことをもっと知り、彼らがどこで定期的にプロレスをしているのかを知りたくなると思うんだ。そこからSNSでもプロレスと繋がるようになり、「またあの選手の試合が見たい」と思うようになり、チケットを買って観戦する、という流れになるんじゃないかな。
俺が『NJPW TAMASHII』の選手たちに提案したのは、SNSで発信し続けるということなんだ。俺が日本で受けたアドバイスのうちの一つに、「自分の願望や目標を人々に伝えるようにしなさい」というものがある。誰と戦いたいのか、どのタイトルを獲りたいのかを伝える機会を作り、それを発信し続けるんだよ。すると、みんなが自分に対してそれを求めてくれるようになる。だから、次の『NJPW TAMASHII』のカードが発表されるまでの間、彼らには自分たちの存在が消しえてしまわないようにしてほしいんだ。
■今、TMDKにいる俺が特にオススメしたいのはスレックスだ。メルボルンで彼の試合を見るのをいつも楽しみにしているんだ
――そして、ファンは新日本プロレスワールドでも『NJPW TAMASHII』を見ることが可能です。
ロビー 一度に全試合を見てしまってもいいし、30分ずつ見るようにしてもいい。いずれにせよ素晴らしい大会になるはずだからな。
――前シリーズではメルボルンでの試合で、カイル・フレッチャー選手と素晴らしい試合をされましたね。
ロビー あの試合はカードが発表されるまでは、ファンにとって「見てみたい」とは思われないようなものだったんだが、実際にやってみると「おお、面白いな」と思ってもらえるような試合の中の一つだったな。ファレのローグ・アーミーの試合もあった。
――バッドラック・ファレ選手はBULLET CLUBの分派となるユニットを、ジャック・ボンザ選手、リルバード・ルチ選手、そして今回参戦するケイヴマン・アグ選手たちと共に立ち上げましたね。
ロビー BULLET CLUBは俺には関わりのないユニットなんだが、ヤツらは次に何をやろうとしているのかが全然分からない。すでにユニットには4人もいるのだから、誰がヤツらに対抗できるんだい?TMDKには喜んでヤツらに喧嘩を売ろうとしているメンバーもいるので、今後が楽しみだよ。
――『NJPW TAMASHII』に出場している選手の中で、あなたが特にファンにチェックしてほしいと考えている選手はいますか?
ロビー たくさんいるが、今、TMDKにいる俺が特にオススメしたいのはスレックスだ。メルボルンで彼の試合を見るのをいつも楽しみにしているんだ。今なら「スナイパー・オブ・ザ・スカイ」と「ザ・ビジネス」がタッグを組んで、オーストラリアのファンにジュニアヘビー級のタッグチームとしての真の実力を見せる機会を作れるはずさ。
ミック・モレッティは、俺がいつも信じられないと思わされるほどの才能がある選手で、11月に行われた石森太二との試合でもそれを実感したよ。彼は世界でもトップクラスの選手と互角に渡り合うことができる一方で、サイコパスな面もあるんだ。
だから彼の試合では何が起こるかは分からないのさ。タッグチームであれば、メルボルンのナチュラル・クラシックスと、ヴェロシティーズだな。
――ヴェロシティーズは、ジュード・ロンドン選手とパリス・デ・シルバ選手のタッグチームですね。
ロビー 俺は彼らの育成に携わってきたんだが、今、彼らがアメリカをツアーし、AEWのトップフライトと試合をしているのを見るのは素晴らしいことだと思っている。彼らは素晴らしい能力を持っていて、例えばSUPER Jr. TAG LEAGUEなどでは素晴らしい活躍ができると考えている。『NJPW TAMASHII』で活躍することでそのチャンスをつかむことができれば、『NJPW STRONG』で優れたレスラーを見たファンがそのレスラーの来日を求めるという状況と同じことが起こるんじゃないかな。『NJPW STRONG』と『NJPW TAMASHII』の合同興行も、いつか実現できればいいのではと思っているよ。
――前回のシドニー大会は、チャーリー・エバンス選手とジェシカ・トロイ選手の試合で始まりました。世界中で行われている新日本プロレスが携わる大会では、明らかに女子による試合が増えていますが、『NJPW TAMASHII』がオーストラリアの女子レスラーたちに光を当てることは重要だと考えていますか?
ロビー ああ、ジェス(ジェシカ)とチャーリーがその機会を得たことはとても嬉しかったよ。2人とも信じられないくらいの才能があるし、彼女たちの活躍を誇りに思っている。でも、オーストラリアには素晴らしい才能を持つ女子選手がたくさんいるんだ。俺が所属しているPWAだけでも、STARDOMやIWGP女子王座戦に出場できるようなレベルにある素晴らしい女子選手がたくさんいる。オーストラリアの女子プロレスは、男子プロレスと互角かそれ以上のレベルにあるんだ。
彼女たちは激しく打撃を打ち合い、想像もつかないような技をやってのける、世界で活躍する準備ができているんだ。アメリカやイギリス、そして日本のプロレスが世界的に注目されている一方で、オーストラリアのプロレスは見落とされがちであることを知っているからこそ、彼女たちはあらゆる機会に対して全力を尽くしているんだ。
(了)