■IWGPジュニアヘビー級選手権試合・公開調印式
【司会】渡辺大星リングアナウンサー
【立会人】新日本プロレス菅林直樹会長
リオ・ラッシュはサングラス姿で登場。高橋ヒロムはベルトを手に、派手なスーツに身を包んで姿を現すと、「長岡の皆さん、元気ですか?」「元気ないんじゃないんですか?」と言いながら所定の位置に向かった。
●<チャレンジャー>リオ・ラッシュ選手のコメント
ラッシュ「コンニチハ。(※ヒロムに向かって)コンニチハ」
ヒロム「(※大声で)「こんにちは!!(※間に入っていた菅林会長が右耳を指で押さえる)」
ラッシュ「ストレートに話そう。俺にとって、これはプロレス人生で最大の挑戦になることは間違いない。これまで俺は、全世界を回って多くのタイトルマッチを闘い、獲得してきた。ただ、(※テーブルに置かれたベルトを指して)このIWGPジュニアタイトルを除いてはな。その意味でも最大の挑戦となる。ヒロムはいつもと変わらず自信満々の様子を見せているが、俺は彼がナーバスになり、俺に恐れおののいて、いま、その派手なスーツの下でワキ汗をかいてることはわかっている。実を言うと、俺にとってもだが、彼にとっても今回のタイトルマッチは最大の挑戦であるんだ。俺はお前に対して、これまでリスペクトの気持ちを持っていた。まぁ、いまもまだ少しは持っているが、このツアーを通じて闘っているうちに、その思いはどんどん消えていった。お前が俺に対してリスペクトの気持ちを持っていないという事実がそうさせているし、明日の試合でこのタイトルは俺のものになる。みんなの前で歓喜に包まれるのは俺だ。このタイトルは俺のもの。それ以外、あり得ない。俺はここにどり着くまでにケガも負ってきたし、思うようにいかないことも多々あった。気持ちが沈んで、前に進めないときもあった。でもそれに立ち向かい、このIWGPジュニアヘビー級王座挑戦という機会をつかむことができた。それだけに、明日はこのベルトを手にすることをここで宣言しておこう」
●<第93代チャンピオン>高橋ヒロム選手のコメント
ヒロム「どうして俺が緊張してるか、ワキ汗をかいてるか、バレたのはわからない。たしかに緊張してんますよ。俺はどんな試合でも緊張する。怖くて怖くてたまらないよ、リオ・ラッシュ。俺はねぇ、この前哨戦がね、始まって1日目かな、2日目かな、ちょっと忘れちゃったけどね、彼のスピードに合わせるために、ダイエットをすると宣言しました。その結果……失敗です。むしろ、ちょっと緊張からね、食べてね、体重が増えました。でもね、これはね、非常にチャンスなんじゃないかなとね、思っておりますよ。だって、彼にスピードでは絶対勝てないからね、それならやっぱパワーでねじ伏せるしかないかな……と、思っております。で、この前哨戦を通して、まぁ彼のスピードにだんだん慣れてきたんでね、この前哨戦の多さ、決して無駄じゃなかったなと思っております。そうするとね、まぁ、スピードについて……いけたらいきたいけど、まぁそのうえでパワーで潰したいなと、そういうふうに思っておりますので、皆さん、楽しみにしておいてください。俺は、いつも通りに相手を、もちろん尊敬しつつ、倒させていただきます。防衛します。ありがとうございます」
●質疑応答
――お互いに闘う相手としてどういう印象を持っているか、お聞かせ下さい。
ラッシュ「(※しばらくの沈黙ののち、不敵な笑い声をあげ)お前にはこの言葉を言ってあげよう。『なかなかやるじゃないか』。おそらく、俺がこれまでリングで対峙した中では最高のレスラーだろう。それはお前が闘ってきた数多くのタイトルマッチが物語っている。お前は何度もこのタイトルを手にしてきたわけだが、逆にいえば、それだけ何度も王座を明け渡してるってことにもなるわけだ。何度も防衛に失敗してきたが、それを少しも教訓としていないってわけだ。お前は何度も何度も同じことを繰り返して、リングの中では何ひとつ変わっていない。俺の弱点を見つけたと言っていたが、お前は俺のこと何もわかってない。というのは、俺はまだ見せてないものがあるからだ。お前はまだ、本当の俺を見ていない。本当のスピード、本当のテクニック、本当の姿をまったく見てないんだ。このツアーを通じて闘ってきたが、俺は敢えてそれを見せてこなかった、ハハハ。明日の俺はいままでとはまったく違う。それを見て、お前がどう思うか、ハハハ。繰り返しミスを犯してきたお前が明日、どんなに慎重に闘おうとも、ひとつのミスを犯した時点でそのタイトルはお前の手から離れていく。俺から聞きたいことがある。ミスター・ヒロム、(※サングラスを外し)お前がいま着てるその派手なスーツの下、何色だ? 何色になってるか、俺が教えてやろうか。まぁ明日わかるよ」
ヒロム「質問、相手の印象でしたよね!? 彼、自分のことずっとしゃべってましたけど、俺の印象、いつ言ってくれたんですか!? 1番最初の部分ですか!? 『よくやる』ぐらいな。それぐらいしか印象ないってことですね。あとは全部、自分のこと言ってた。よく、こんなに自分のことをね、言えるなぁと、すごく感心しましたよ。で、最後に逆に質問返されちゃってね。ビックリしてますよ。だが俺はちゃんと、彼の印象言いますよ。彼の印象ねぇ……一言で言うと、すばしっこい。すばしっこい。すばしっこくて、つかまえられない。そして、凶暴性もある。これはねぇ、コモドドラゴンなんだよねぇ……。ンー……コモドドラゴンね、俺、飼育したいなと思って、一生懸命捕まえようと思ったけど、まったく捕まらない。ンー……でも、ひとつ気付いたよ。コモドドラゴンではなくてね、リオ・ラッシュという生物なんですよね、これは。で、俺はね、そういうUMAとかね、そういうものが好きなんですけど。彼を新しいUMAにしてもいいんじゃないかと、俺は思ってます。リオ・ラッシュという新しい未確認生物、まぁ確認できてますけどね。ンー……質問って、なんでしたっけ? こんなの(答え)でいいですかね!? ありがとうございます」
――リオ・ラッシュ選手、新日本プロレスの歴史あるIWGPジュニアヘビー級王座についてどういうイメージを持っていますか?
リオ「コモドドラゴンだって!? ……コモドドラゴンねぇ……。コモドドラゴン!? ……俺にとってそのタイトルはどういうものかって!? このタイトルの歴史については知っている。そして、歴史的な、伝説的なレスラーがこのベルトを手にして、王者として名を連ねているっことも知っている。そしてその中に彼も含まれている。もちろん彼も、輝かしい伝説的なレスラーだ。アメリカから日本やってきて、彼が保持しているそれほどに価値のある王座に挑戦することは名誉なことだ。そして挑戦するだけでなく、ヒロムを倒すことに意義がある。俺がレジェンドと認められて名を連ねるには、何がなんでもその王座が必要不可欠なんだ。その王座を俺が手にすることが条件なんだ。リオ・ラッシュが手にしてきた勲章のリストに、このベルトが加わることが重要なんだ。もう長い間、そのベルトを手にしたアメリカ人はいない。もう10年以上になるんじゃないか。だが、それも変わる。変わるんだ。明日の夜にな。“THE BAD CHILD”とか“Man of the Hour”“Piece of Gold”など、みんなはリオ・ラッシュのことをいろいろと呼ぶが、明日の夜が過ぎたなら、どうか俺のことを“第94代IWGP(ジュニアヘビー級)チャンピオン”と呼んでくれ。なぜなら、なぜなら、なぜなら! 勝ってあのベルトを手にするということは、それほどの功績を成し遂げたことになるわけだからだ。本音を漏らすと、もし俺がこのタイトルマッチで敗れ去ったとしたら、俺はそれからどうすればいいかわからなくなってしまうだろう。だけど、それを考える必要はない。俺には絶対にあれを勝ち取るという準備はできているし、俺はすべてのものを手にする心づもりはできている。お前もそのつもりで、全力で向かってきてくれ」
――ヒロム選手は、メインイベントで行われる『NEW JAPAN CUP 2023』決勝戦を意識されていますか?
ヒロム「それはもちろん、意識しますよ。俺はどんな試合であろうと、意識して闘ってるんで。まぁメインイベントが『NEW JAPAN CUP』(決勝戦)……まぁそれはね、『NEW JAPAN CUP』っていう(名を冠した)ツアーなんでね、それは(決勝戦が)メインイベントで当たり前だと思ってます。けど、俺はやっぱり、『セミファイナル、すごかったなぁ』と言わせたいですよね。まだどうやら、チケットが少し余ってるんですか? 俺さっきね、正確な数字を聞いたんですよ。『あと、どれぐらい余ってるんですか?』と。これはね、たぶん言っちゃいけないんだけどね……言っちゃおうかと。これは高橋ヒロムだからこそ言えるんじゃないかなと。あとね、170(枚)ちょっとらしいんだよ。これはね、みんないけるよ。だっていまここにさ、200人ぐらいいるんでしょ? だったらさ……え、これちなみに、みんな明日(観に)来るんですか!? 明日、来る人? (※大半の聴衆が手を上げるも、最前列の真ん中に座っているファンは手を上げず。そのファンに向かって)来るよね!? 明日、来られないっていう人、手を上げてください……(※後方で数人の手が上がる)。あ、いると……まぁ仕方ない。まぁ、いろいろな理由があるんでしょう。でも大丈夫。明日来てくれる人が、もう1人連れてきたら、超満員札止めです。どうか皆さん、観に来てください。(知り合いを)誘ってください。確実に後悔させないんで。高橋ヒロムの防衛する姿、観に来てください。お待ちしてます」
その後、渡辺リングアナの進行で調印に移ろうとするも、ヒロムが「もう終わっちゃっていいんですか!? 質問終わりですか、ホントに!? いいんですか!?」と遮る。そして、「会長、質問あります? あるんじゃないの、会長?」と場を仕切り始める。
さらにヒロムは、なぜかラッシュに「ニュージャパン、ナンバーワン・チェアマン」と菅林会長を何度も紹介。だが、ラッシュは「わかってる。わかってるよ!」と返す。
そんなやり取りを経て、ヒロムは「ホントにこれで終わっちゃっていいんですか!?」と渡辺リングアナの言葉を遮る。そして、「みんな帰りたい!? 帰りたくないいでしょ!? 質問持ってるんじゃないの!? 質問しちゃう!? 誰か質問ある人いますか!?」と観客からの質問を募ると、1人の女性ファンが手を挙げた。
――ヒロム選手に質問です。その変なスーツの後ろ(背中)についている、緑の葉っぱみたいなのは何ですか?
ヒロム「こんなにどうでもいい質問飛んでくるとは思わなかった……。ビックリしてます。(※立ち上がて背中を向けて)この後ろについてる……よく気づきましたね。雑草の中に1人、サルが混ざってるんですよね。よく気づきましたね。これはね……何でもないですよ。何の意味もないです。せっかく質問をいただいたんで、ありがとうございました」
ここでラッシュが空いている席に座って手を挙げ、ヒロムにまさかの質問。
ラッシュ「そのスーツは何でそんなにバカげているんですか?」
ヒロム「これは非常にいい質問ですね。やっぱね……(アントニオ)猪木さんが言われてたじゃないですか、『バカになれ』と。その言葉のように、バカになるってことが大事。つまりね、これ、『元気があれば何でもできる』につながってくるんじゃないですかね。俺はやっぱね、“テンションがあれば何でもできる”と思ってるんでね。こういうバカみたいな格好してね、みんないいじゃないですか、よろこんでもらえるじゃないですか。そうやって質問がくるってことは、それだけこのスーツに印象があるってことですからね。それはすごくいいことだと思います。みんなね、恥ずかしいだとか、そういうこと気にせず生きてもらいたい。恥ずかしいな、ヒロムの方が恥ずかしいなと思って、これから生きてってください。そしたら前向きになれるはずです。そしたら明日も楽しいはず。そしたら、毎日楽しいはず。ありがとうございます」
その直後、今度はヒロムが客席に紛れ込んで手を挙げ、ラッシュを直撃。
ヒロム「なんであなたは、そんなメチャメチャかっこいいスーツ着てるんですか?」
ラッシュ「(※座ったままテーブルの上に両足を投げ出して)教えてやろう、ヒロムさん。いうまでもなく俺は、とてもとてもファッショナブルな男だからだ」
ここでようやく調印が行われ、IWGPジュニアヘビー級選手権試合が正式に決定となった。
■『NEW JAPAN CUP 2023』<決勝戦>
3月21日(火・祝) 15:30開場/17:00開始
新潟・アオーレ長岡
★チケット情報/★対戦カード
●第7試合 60分1本勝負
IWGPジュニアヘビー級選手権試合
<第93代チャンピオン>
高橋ヒロム
VS
<チャレンジャー>
リオ・ラッシュ
- 2023.3.20
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