プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
今回は「“アフター武藤”。今後、それがプロレス界全体のテーマとなる」2.21武藤敬司引退大会を大総括!
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■平日にも関わらずノアの2・21東京ドーム大会は、30,096人の大観衆で埋まった
平日にも関わらずノアの2・21東京ドーム大会は、30,096人の大観衆で埋まった。日本プロレス界が生んだ稀代のスーパースター・武藤敬司の引退試合に複数の団体から主力選手が集い、同時にファンも超党派で駆けつけた格好である。
新日本プロレスからは6選手が参戦し、IWGPジュニアヘビー級王者の高橋ヒロム、IWGP世界ヘビー級王者のオカダ・カズチカ、そして武藤のファイナルマッチの相手に指名された内藤哲也が後半3試合に出場している。
まずは第6試合に登場したヒロムが、現GHCジュニアヘビー級王者のAMAKUSAと対戦。ヒロム自身が何度も「特別な思い入れのある選手」と語っていたように、AMAKUSAはオリジナルの空中戦を連発して観客のドギモを抜いた。
AMAKUSAのスピードと立体技にかなり押し込まれた感もあったが、最後はTIME BOMBⅡをキッチリと決めて勝利。ヒロムこそ新日本ジュニアの顔であることをあらためて大観衆に知らしめている。
■オカダvs清宮は、やはり、ただならぬ空気。やや不穏な空気さえ感じさせる一戦
セミファイナルにはこの1ヵ月間、ある意味で武藤引退試合よりも話題を提供してきた一戦が組まれた。現IWGP世界ヘビー級王者のオカダと現GHCヘビー級王者の清宮海斗による因縁マッチ。
昨年の新日本1・8横浜アリーナのメインイベント(オカダ&棚橋弘至vs武藤&清宮)で両選手は初遭遇したが、ノアの若きエース清宮はオカダ&棚橋に完膚なきまでに叩きのめされた。最後はレインメーカーに轟沈。
レスラー人生最大の屈辱を味わった清宮は、1年越しでオカダを振り向かせることに成功している。新日本の1・21横浜アリーナのタッグマッチ(オカダ&真壁vs清宮&稲村愛輝)で、カットプレーの際にオカダの顔面を蹴り上げたのだ。
この一撃で額を切ったオカダが文字通りブチ切れた。場外で果てしない大乱闘を繰り広げる両選手。収拾つかずのノーコンテストという裁定が下った。バックヤードでオカダとの一騎打ちをアピールする清宮。一方のオカダは怒りの雄叫びをあげて控室前のパーテーションを蹴り飛ばした。過去をさかのぼってみても、ここまでオカダをブチ切れさせた男は清宮が初めてだろう。
その後、今大会でのオカダvs清宮戦がノア、新日本から発表されたものの、オカダはそれを拒絶してきた。
ところが一転して、実力行使に出る。2・11エディオンアリーナ大阪で鷹木信悟を相手にIWGP世界王座を防衛した翌日、ノアのエディオンアリーナ大阪大会のメインでGHCヘビー級王座を防衛した直後の清宮を急襲。レインメーカーでノックアウトした。
これが本気になったオカダからの対戦受諾のメッセージだった。オカダの行動はそれだけにとどまらない。15日に開催された東京ドーム会見を欠席。これに怒髪天となった清宮は当初の30分1本勝負から時間無制限での完全決着戦を要求し、大会当日になって試合形式は時間無制限1本勝負へと変更されている。
やはり、ただならぬ空気。やや不穏な空気さえ感じさせる一戦。ちなみに、ABEM中継の実況を担当したのはテレ朝の吉野真治アナウンサーだが、会場入りした吉野アナが事前取材を申し込んだところ、清宮サイドから「すいませんが、試合に集中したいので」という理由で断られたという。
この話を聞いただけで、清宮の覚悟のほどが伝わってくる。1年越しの屈辱を晴らすために、オカダに喧嘩を売った。それはものの見事に的中してオカダをノアのリングへと引っ張り出すことに成功した。
ただし、清宮自身がノアの看板を背負っている。否応なしに、IWGP世界王者vsGHC王者という図式も見えてくるのだ。もしかしたら、そこが一番葛藤する部分であったのかもしれない。
■清宮にはまだ未来がある――。ただ、いくら私たちがそう言ったところで気休めにもならないし、本人が納得するわけもないだろう。
ただ、私個人もそうなのだが、ファンにしても、そこまで重いものを清宮に背負わせる気持ちはなかったのではないか……?
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