大好評!ゲームデザイナーの野中大三さんによるプロレスコラム。今回は「『FANTASTICA MANIA』に見るカルチャライズの重要性」
『NJPW PRESENTS CMLL FANTASTICA MANIA 2023』
2月22日(水) 18:00開場 19:00試合開始
香川・高松市総合体育館・第2競技場
☆チケット情報/☆対戦カード
※当日券は17時より発売いたします。
■第57回「『FANTASTICA MANIA』に見るカルチャライズの重要性」
みなさんこんにちは!
『NJPW presents CMLL FANTASTICA MANIA』が3年振りに帰ってきました!
ルチャの本場メキシコのプロレス団体CMLLから15人ものルチャドールが来日して本場のルチャを見せてくれますよ!
ファンマニはメキシコの選手の試合が見られるだけではなく、ルチャの空気を感じることのできるお祭り的なシリーズです。とにかく明るくて楽しい。ルチャとメキシコが大好きになるシリーズです。
この素晴らしいシリーズを通して、“カルチャライズ”のすばらしさを強く感じます。
今回は『FANTASTICA MANIA』とカルチャライズについてゲーム的プロレス論を展開していきます。
それでは、PUSH START!
■カルチャライズとは?
「カルチャライズ」とは「文化的背景を考慮した翻訳」を指します。
ざっくりいうと翻訳ですね。翻訳は「ローカライズ」という単語を連想する方もいると思いますが、カルチャライズという作業はローカライズより高い視座で行う翻訳作業を指します。
主にゲーム業界や映画業界で使われていましたが、ここ数年はコミックやアイドルもグローバル化が進んでいるので広いカテゴリーでカルチャライズが注目されています。
原作の良さを伝えやすくするため、その国のユーザーが親近感を持てるような翻訳、自然と状況が理解できるような編集をカルチャライズと呼びます。
例をあげてみましょう。
アメリカの作品で登場人物に11歳の中学生がいました。
アメリカの学校制度だと11歳の中学生は普通ですが、日本だと普通ではない設定になってしまい、違和感が出てしまうため、人物の年齢を12歳に変更して中学生として違和感をなくします。
ゲームのように絵を変更できる場合は、背景や小道具を変更します。
春の街並みには桜の木を追加したり、朝食シーンのメニューをシリアルからトーストに変更したり、日本のユーザーが見て違和感のない絵を作ります。
このようにユーザーがいる文化圏の生活習慣にそった加工、編集まで行う作業を「カルチャライズ」と呼びます。
少し脱線しますが、プロレスは昔から素晴らしいカルチャライズが発揮されているカテゴリーです。
ミル・マスカラス選手に「千の顔を持つ男」や「仮面貴族」なんてキャッチコピーをつけるなんて、このうえなく高等なカルチャライズと言えます。選手の特徴、魅力を日本語て端的に言い表していますよね。
■カルチャライズは加減が大切
作品を違和感なく楽しめる編集がカルチャライズですが、ときに行き過ぎたカルチャライズを見かけます。
アメリカの作品なのに登場人物がおにぎりを食べていたり、緑茶を飲んでいたりすると逆に違和感が出ます。原作だと赤いウエディングドレスを着ていたのに、文化に合わせて白に変更したりするともう台無しです。
ファンは「原作の良さを楽しみたいんだ!」と嘆きます。
実際ゲーム業界には制作したメーカーのオリジナル言語で楽しむため、読みにくくてもその言語でプレイするというユーザーが一定数います。それだけ「本場の味」は重視される、ということなのです。
その点、『FANTASTICA MANIA』は加減が絶妙なのです。ゲームのカルチャライズを経験した身からすると、舌を巻く大胆な加減が施された素晴らしいカルチャライズコンテンツなのです。
■『FANTASTICA MANIA』の素晴らしきカルチャライズ4点
ここからはファンマニの素晴らしいカルチャライズポイントを4つ紹介します。シリーズ観戦を楽しむ要素でもあるのでぜひ参考にしてください。
① リングアナウンサーがスペイン語でコール
まずはこれでしょう。選手名以外は全然わからないスペイン語でのコールです。
全然わからない。でも雰囲気はわかる。選手の動きを見ていれば誰がコールされたかはわかる。
そして何よりスペイン語でコールされていることでホームリングのように選手が活き活きしてくれます。
② ルールがルチャリブレルール
新日本プロレスなのにルールがルチャリブレ式。タッグマッチでは選手が場外に出ると交代が成立します。
もちろん違和感はあります。しかしCMLL所属選手に違和感はないです。選手がスムーズにこれぞルチャという試合を見せてくれるのです。もはやタッチルールの方が違和感を生むと言ってもいいのでしょう。
③ 日本人選手がルチャルールで戦う。
これが素晴らしい。日本人選手もルチャルールで、場合によってはルチャスタイルの試合をします。これにより観客は普段見慣れている選手をフィルターにしてルチャの魅力に触れることができるのです。
選手によってはコスチュームを変えたり、ペイントしたり、普段は見せないルチャの動きを見せてくれます。
日本の選手がルチャスタイルに足を踏み込むことで観客をルチャの世界に導いてくれるのです。
④ メキシコ直輸入グッズの会場販売
極めつけがこれでしょう。今年もファンマニ会場でメキシコ直輸入のプロレスグッズが販売されます。そのほとんどが日本では滅多に購入することができないお宝です。Tシャツや応援用マスクもちろん、今年はピアスも販売されるとか!メキシコ直輸入を目の前にすると気分は完全にアレナ・メヒコです。
なお、支払いは日本円で大丈夫ですので、心配は無用ですよ。お小遣いを握りしめて売店に向かいましょう。
いよいよ3年振りの『FANTASTICA MANIA』の開幕です。
本場の味を楽しみながら、カルチャライズについて考えてみると楽しみ方がひとつ増えると思いますよ。
みんなでルチャを楽しみましょう、VIVA MĒXICO!
■野中大三(のなかだいぞう)
dotswreslerアーティスト、コラムニスト
プロレス観戦歴、ゲーム歴ともに38年。
プロレスラーをドット絵で表現するdotswrestlerをTwitterで公開中。
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