プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
今回は「究極のフィジカルプロレスと、究極のサイコロジープロレス。“両極端”に映ったダブルメインイベント」1.4東京ドーム大会を大総括!!
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■やはり、新日本の東京ドームはこうでなくっちゃいけない。
2020年春先から始まった新型コロナウイルスによるパンデミック。それによって、プロレス界でもっとも打撃を受けた団体は新日本プロレスだったのかもしれない。
無観客試合からスタートし、コロナ仕様で規制のある観客動員、声出し禁止など、業界の最先端で若いファン層を取り込んできた新日本にとって、イベント(大会)の鎮静化はやはり多大な影響をもたらした。
たとえば、聖地といわれる後楽園ホールでの興行などにもその影響は顕著に表れていた。
キャパシティに制限が設けられているから、数年前のような盛り上がりに欠ける。
一方で、これまでなかなか後楽園ホールに進出できなかったような団体も、何度かホールで興行を行なうようになった。こちらはむしろ、入場制限が実施されたことがプラスに働いての興行開催だったように思うのだ。
そんななか今年の東京ドーム大会は、恒例の1.4東京ドーム1本に絞られた。昨年の東京ドーム2連戦(1.4&1.5)は観客動員の面で大苦戦した。
4日=1万2047人、5日=6379人とかなり寂しい数字。無論、もうひとつの要因として1月8日に横浜アリーナ大会が開催されたこともある。こちらは、7077人とコロナ仕様ながらほぼ満員の観客で埋まっている。
新日本プロレスvsプロレスリングNOAHの全面対抗戦はそれほど刺激的だったし、その横アリ大会にファンがなびいてしまったのは仕方のない現象でもある。
さて、今年の1.4東京ドーム。当日たまたま別件の仕事が入っていたので、午後1時に東京ドームホテルに行ったのだが、すでに東京ドーム周辺にはかなりの数のプロレスファンが群がっていた。
余談ではあるが、エル・デスペラードのマスクを被っているファンを5人も見かけた(笑)。昨年の『プロレス総選挙』第6位に選出された人気は伊達ではないことを思い知ったしだいである。
“アントニオ猪木追悼大会”でもある今年度のドーム大会。別件の仕事を済ませて会場入りしたのが午後4時過ぎ。アントニオ猪木メモリアルマッチ(6人タッグマッチ)が始まる直前だった。
3塁側ベンチからフィールド(アリーナ席)のほうに入って会場を一望してみる。昨年とはまったく違う。スタンド席がかなりイイ感じで埋まっているのだ。最終的に発表された数字は、2万6.085人。
ということは、昨年の1.4&5東京ドーム、1.8横浜アリーナの3大会を足した数字を上まわっているのだ。
やはり、新日本の東京ドームはこうでなくっちゃいけない。閑散とした会場では選手のテンションも観客のテンションもなかなか上がらない。まして、基本的な声出し(単発で選手の名前をコールしたり、締めセリフを合唱したりの行為)が容認されているから、客席も盛り上がるのだ。
■ノアの2.21東京ドーム大会が引退試合となるわけだが、ファイナルを1か月半後に控え、意味と意義のあるメンバーのなかで躍動した。
本戦は9試合。ダブルメインイベントへ向けてテンポよく進んでいった。そのなかで最初の注目カードは、『武藤敬司新日本ラストマッチ』となる6人タッグ戦。武藤&棚橋弘至&海野翔太vs内藤哲也&SANADA&BUSHIという顔合わせ。
1990年代、つまり新日本がドームプロレス全盛時代を迎えているなか、その主役を張ってきた武藤。ノアの2.21東京ドーム大会が引退試合となるわけだが、ファイナルを1か月半後に控え、意味と意義のあるメンバーのなかで躍動した。
パートナーの棚橋は新日本時代の付人であり、武藤がもっとも可愛がった選手。最終的にIWGPヘビー級王座をめぐって武藤からベルトを奪還して恩返しをしているわけだから、最高の師弟関係にあると言っていい。
また、海野翔太は武藤がまったく知らない世代の選手であり、新日本の未来を担う存在。
一方のロス・インゴにしても、関係は深い。2006年、『武藤塾』の新人オーデイションに合格し、全日本プロレスに入門したのがSANADAとBUSHI。とくに、全日本、WRESTLE‐1と武藤と行動をともにしてきたヘビー級のSANADAを、武藤は自身の後継者として高く評価していた。
内藤に至ってはファン時代、武藤フリークであったのは有名な話。内藤の数々のパフォーマンスが武藤に似ていることが、なによりそれを証明している。
それに、どうやら武藤は忘れてしまっているようだが(笑)、2012年の1.4東京ドームのセミファイナルで、武藤vs内藤のスペシャルシングルマッチが一度だけ実現している。
試合は、武藤vsSANADAの師弟対決からスタート。いきなりSANADAがラウンディングボディプレスを決めると、武藤も本家ムーンサルトプレスで対抗しようとするが、棚橋が制止する。
最大の見せ場は、海野が内藤をSTFに捕えたところで、武藤がSANADAにドラゴンスクリューから足4の字固め、棚橋がBUSHIにテキサスクローバーホールドを決めたシーン。
最後はBUSHIに標的を絞って、棚橋、武藤、海野の順で決めた。スリングブレイド、シャイニングウィザード、ジョン・モクスリー直伝のデスライダーで3カウント奪取。
■武藤としてはかなりの誉め言葉。それにうん蓄がある。
試合後のバックヤードインタビュー。武藤を中心に棚橋、海野が並んだ。まるで棚橋がMCを担当するトークショーのように話が弾む。辛口の武藤が海野をどう評価しているか? そこが気になるので質問をぶつけてみた……。
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