3月31日(木)、都内・後楽園ホールで開催された『SMASH.15』に4月1日付けで新日本プロレスの所属選手となるKUSHIDAが参戦。SMASH所属ラストマッチとして、メインイベントでハッスル時代からのライバルである大原はじめと一騎打ちを行った。
試合に先立ち、新日本プロレスの棚橋弘至がIWGPヘビー級王座のベルトを肩に掲げて入場。エアギターを披露した棚橋は最前列のファンとハイタッチをかわして席に着く。そして先に入場したKUSHIDAは棚橋のもとに向かうと、二人は固く握手を交わす。リングインしたKUSHIDAがコールされると大量の紙テープが飛ぶ。
ゴングが鳴ると睨み合う両者。するとKUSHIDAは大原の顔面に強烈な張り手を炸裂させて先制攻撃。ここからタックル合戦が繰り広げられると、KUSHIDAはコルバタで投げ飛ばす。さらにKUSHIDAはロープに走って場外の大原にトペを狙うも、大原はすぐさまリングインしてカウンターのバックエルボーで迎撃。KUSHIDAをコーナーに据えた大原はストンピングを叩き込むと、激しい攻防からからKUSHIDAがドロップキックを突き刺す。
5分経過、大原がKUSHIDAの腰めがけてストンピングを連発で落とす。KUSHIDAもチョップで応戦するが、大原も負けじとエルボーを打ち返す。さらに大原はカウンターのカニ挟みからKUSHIDAの後頭部めがけてニードロップを投下。一気に攻め込む大原はブレーンバスターでKUSHIDAをマットに叩き付ける。大原のスリーパーをエルボーで解いたKUSHIDAは、大原の突進をかわしてエプロンからスワンダイブ式ブレーンチョップ一閃。さらにKUSHIDAはその場飛びムーンサルトプレスを放つもカウント2。
10分経過、大原はフィンランド式フォアアームを狙うも、KUSHIDAは寸前でかわして丸め込むがカウント2。ここからKUSHIDAは逆水平チョップで大原を倒すと卍固めへ。なんとか大原はロープへと逃れる。KUSHIDAはドラゴンスープレックスを狙うが、これを耐えた大原はランニング式ニーアタックからジャーマン一閃。しかし、すぐさま立ち上がったKUSHIDAは棚橋の目の前でスリングブレイドで応戦。場内からは「大原」コールが飛ぶ。
リング中央で大原の額にナックルを落としたKUSHIDAはふたたび卍固めへ。しかし、大原はこのまま抱え上げて、デモリッション(ヒザの上に相手の首を落とす変形ドライバー)炸裂。ここをチャンスと見た大原はフォアアームを狙うも、これを間一髪かわしたKUSHIDAはドラゴンスープレックス。これを大原がカウント2で返すと、場内から両雄に大きな声援が飛ぶ。
ならばとKUSHIDAはワンツーエルボーから串刺しダブルニーアタック一閃。さらにKUSHIDAは渾身のランニングエルボーを放つも3カウントは奪えず。KUSHIDAは張り手からバズソーキックもカウント2。すかさずコーナー最上段からムーンサルトプレス投下して畳み掛けるが、大原はこれもカウント2で返す。
15分経過、とどめを刺したいKUSHIDAはコーナー最上段からミッドナイトエキスプレスを放つも大原にかわされて自爆。ここで大原はフィンランド式フォアアームをついに炸裂させるも、KUSHIDAはカウント2で返す。ならばと大原はKUSHIDAの後頭部にフォアアームを叩き込むと、最後は正面からとどめの一撃を放って3カウントを奪った。
試合後、勝ち名乗りを受けた大原は力強くガッツポーズ。場内から大原コールが飛ぶ。マイクを持った大原は「これが現実だよ。これが俺が一年間頑張ってやってきた結果です!」と観客にアピール。場内から大きな拍手&大原コールが飛ぶと、大原は「一年間、SMASHをやってきて、俺のなかでは時が止まってました。やっと今日から俺のSMASHが始まります! 俺にはSMASHでたくさんの夢があるんです。絶対に俺は、どんな状況でも諦めません。必ず、俺の夢を叶えます!」とアピールしてリングを降りた。
そしてTAJIRIがリングに上がってマイクを持つと、客席で試合を観ていた棚橋もリングへ。そして、棚橋はKUSHIDAに近づき声をかける。マイクを持った棚橋は、「KUSHIDAは新日本プロレスがもらっていきます。クッシー、TAJIRIさんのように世界に通用する選手になれよ。そして、新日本プロレスでトップになれよ。それがTAJIRI選手への恩返しだから。頑張っていこう!」とゲキを飛ばすと、すぐさまKUSHIDAは「頑張ります!」と返す。
場内から拍手が沸き起こる中、マイクを持ったKUSHIDAは、「本当にこの一年、たくさんのご声援ありがとうございました。必ず成長してこのリングに帰ってきます。SMASHは僕を成長させてくれる場でした。SMASHは心の故郷だと思っています。それでは……行ってきます!」と、ファンに別れを告げて棚橋と共にリングを降りた。
これを受けてTAJIRIがマイクを持つと、「棚橋さん、よろしくお願いします!」と頭を下げる。そして、花道でKUSHIDAは振り返ると、TAJIRIに向かって深々と頭を下げた。
■SMASH『SMASH.15』東京・後楽園ホール
〔シングルマッチ〕
◯ 大原はじめ(16分11秒 フィンランド式フォアアーム3連発→片エビ固め)KUSHIDA×
■KUSHIDA&棚橋弘至のコメント
KUSHIDA「せっかく来てくれたのにすいませんでした」
棚橋「いや、気持ちの入ったいい試合だった」
KUSHIDA「これから4月1日から、棚橋さんの偉大さはわかっているので、一歩でも近づけるように頑張ります」
棚橋「よし、快く送り出してくれたTAJIRIさんにお恩返ししようぜ!」
(棚橋はここで退場)
KUSHIDA 本当にやりたかったんですけど、TAJIRIさんとは。去年、呼んでいただいて、酒を飲みながら『ああしたらおもしろい』、『デヴィットやれたらいいね』とか『内藤とやれたらいい試合ができる』って話したんですけど……去年の3月ですよね。ハッキリ言って、SMASHに頑張れとか言っているヒマはないんで、頑張れっていう前に俺がまず頑張るから。そうしたら今年、去年、ボクが頑張ってきたSMASHというリングは自ずと評価が上がると思うから。これは一心同体だと思うから。
だから、いろいろあって、さよならしますけど、俺は故郷に頑張れなんて言わない。俺が頑張るから。みんな見ててください。頑張ります。本当に4月1日から気を抜いたら蹴落とされる過酷なリングだと思っているんで。IWGP目指して、新日本プロレスをボクが盛り上げるし、ボクが入ったことによって、KUSHIDAがIWGPをどう登りつめて獲るかっていうストーリが始まったと思っているから、この瞬間から。その日が一日も早く来るように頑張ります。送り出してくれたTAJIRIさん、酒井さん、SMASHの関係者の皆さん、ありがとうございました。新日本プロレスさん、これからお願いします。ありがとうございました」
TAJIRI「KUSHIDAが移籍する前にこういう場を設けられて良かったと思います。やっぱり震災の影響で日にちが代わって、どこでもそうだと思いましたけど、裏事情が結構あってバタバタだったんですよ。やっぱり、人が表に出たがらなかったり、不安なんですよね。バタバタの中、満員にはなりませんでしたけど、1200人も来てくれました。外国からもサブゥーをはじめスターバックも来てくれました。やってよかったと思います。今日はほとんど試合は観れてない。初めての会場でわからないことだらけで大変でした。でも、やって良かったと思います。
メインですか? なんか、この1年間でKUSHIDAのほうがうまくなっているんですよ。だけど大原のほうは化けたというか孵化したようか感じ。生態系が変わったような印象を受けました」
【撮影】山本正二