大好評!ゲームデザイナーの野中大三さんによるプロレスコラム。
今回は「伝統のタッグリーグを支える“継承”と“改革”」
■『WORLD TAG LEAGUE 2022 & SUPER Jr. TAG LEAGUE 2022』
12月14日(水) 17:00開場 18:30試合開始
宮城・仙台サンプラザホール <両リーグ優勝決定戦>
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※「1階指定席A」「2階指定席」は完売となりました。
■第53回「伝統のタッグリーグを支える継承と改革」
みなさん、こんにちは。
コラム「ゲーム的プロレス論」の野中です。
年末恒例のタッグの祭典もいよいよ大詰めですね。
12月14日の仙台サンプラザホール大会にて『WORLD TAG LEAGUE』、『SUPER Jr TAG LEAGUE』の優勝チームが決まります。今回は最終戦直前にリーグ戦の振り返りをしつつ、優勝決定戦の見どころをゲーム的に論じていきますよ!
■年末はやっぱりタッグの季節
はっきり言っておもしろかったです。
終わる前に感想を言ってしまうのは早いのですが、今シリーズはとてもおもしろかった。
なんだかんだと批判的な声も聞こえてくる年末のタッグシリーズですが、今年は見どころが多くてとても楽しいシリーズでした。NJPW WORLD追跡視聴で『G1』並に睡眠不足の日々を過ごしました。
新日本プロレスのタッグシリーズは歴史がとても長く、『WORLD TAG LEAGUE』の前進はなんと1980年の『MSGタッグリーグ』までさかのぼります。なんと42年前!
90年代は『SGタッグリーグ』、2000年代は『G1タッグリーグ』とシリーズ名を変え、ときにはお休みもはさみつつ続いているロングシリーズなのです。
よく比較対象に挙げられる全日本プロレスの『世界最強タッグリーグ戦』が1978年スタートなのでどちらも40年以上続いているという長寿シリーズです。
「年末のプロレスと言えばタッグシリーズ」
この伝統を守るため40年もの間、継承と改革が繰り返されてきました。
今年のダブルリーグ戦は特にこの「継承」と「改革」を強く感じさせるシリーズでした。
シリーズのどこに「継承」と「改革」があったのか述べていきましょう。
“継承”
・開催時期が冬
・総当たりリーグ戦
・世界で活躍するタッグチームが多数出場
“改革”
・常連チーム不出場
・ヘビー級とジュニアヘビー級が同時開催
・ヘビー級は現王者が、ジュニアヘビー級は前回優勝者が不出場
語るべきは「継承」ではなく「改革」の3つですね。
なんといってもヘビー級の出場チームが前年から2組減少したことは大きな改革です。G.B.H、天山選手&小島選手組、タイチ選手&ザック選手組、G.o.Dといった常連チームが不出場になったことでタッグリーグの風景は大きく変わりました。
そして2点目のタッグリーグの同時開催もまた大きな改革です。
全20組40選手が出場するわけですから、この規模のタッグシリーズでは世界でも聞いたことがありません。まさにタッグ漬けのビッグシリーズとなりました。
3つ目は大会規定とは無関係ですが、やはり王者や前年度優勝者がいないというのは新鮮でした。
王者と前年度優勝者が本命と対抗になるのが常でしたが、この構図が崩れたことでどのチームにも可能性を強く感じることができるようになりました。
変えるからこそ新しい刺激が生まれる。
これってゲームの長寿シリーズにも該当することなのです。
■継承と改革があるからこそ伝統は生き続ける。
ゲームには長寿シリーズがとても多いです。ファミコン時代にスタートしたマリオやドラクエ、ロックマンは35周年を次々に迎えています。ファミコン自体が1983年生まれで、来年で40周年ですから、その時代から続いているシリーズは続々と40周年を迎えていくことになります。ゲーム史も深みが出てきましたね。もう立派な文化です。
ゲームの長寿シリーズはまさに継承と改革で紡がれています。
僕自身もいろんなゲームを担当しましたが、改革こそがシリーズを長らえる重要メソッドだと身をもって経験してきました。
人気作品は次回作を期待してくれているファンがいるので、その期待に応えるために「伝統守る」ことを重視してしまいがちです。しかし伝統を守ることに固執し、キャラを増やす、マップ、ストーリーをリニューアルするといった小さな変化に留まったシリーズは残念ながら長続きすることはありません。
理由は簡単です。
人は予想するし、人は飽きるからです。
新システムや新モードを追加し遊びをうんと変えつつも、シリーズらしい要素は残す。大胆な改革と丁寧な継承を行ったシリーズは古参ファンの支持も新規層の獲得も実現し、次の世代に引き継がれる長寿シリーズに成長します。ゲームは文化の前に娯楽ですからね、飽きられてしまったらそこで成長は止まるのです。ファンの予想を超える改革を臆することなく実行してきたシリーズこそが長い支持を得る人気シリーズになるのです。
■継承されるタッグマッチの醍醐味
優勝決定戦のカードに話を移しましょう。
『WORLD TAG LEAGUE』は毘沙門vsオージーオープン、『SUPER Jr TAG LEAGUE』はYOH選手&リオ・ラッシュ選手組vsエース・オースティン選手&クリス・ベイ選手組が優勝決定戦となりました。
毘沙門は複数の連携技にこだわりを持つチームです。今シリーズからコスチュームも入場曲も変え、タッグ屋に徹底し、チームの完成度にこだわる姿勢を見せています。
対するオージーオープンは初出場初優勝を狙う勢いのあるチームです。チーム歴は結成5年と決して長くはないものの毘沙門よりは歴史があり、イギリス、アメリカ、日本と世界を渡り歩いてきただけにタッグの経験値は上と見てよいでしょう。
このタッグ屋対決は合体技をいかに決め、いかに阻止できるかが注目のポイントでしょう。
ジュニアの優勝決定戦もコントラストが強く出たカードになりました。
YOH選手&リオ・ラッシュ選手は今シリーズで結成したフレッシュコンビで、シリーズ中に連携やタッグワークを増やし、右肩上がりの成長を遂げたチームです。
対するオースティン選手&ベイ選手はIMPACT! WRESTLINGで今年結成したチーム。
一日の長を感じさせる完成度の高いタッグワークを見せてくれています。
その場のインスピレーションで柔軟な連携を見せるYOH選手組と、高精度高難度の合体技を得意とするオースティン組の対決はチームの色合いが明確に分かれていておもしろい組み合わせになりました。
4チームとも共通しているのは合体技を持つことと、流れるような連携を得意としている点です。
目を見ないでタッチしたり、場外場内関係なくジャストタイミングでカットプレーしたり、気持ちが合っていないとできない戦いを見せてくれるチームばかりです。
やはりタッグリーグはこういった息の合ったチームが残りますね。
これぞ、伝統。タッグマッチの醍醐味は今年もたっぷり楽しめそうです。
大きなシリーズ改革で新鮮な入口を設けつつも、シリーズ内ではしっかりとした伝統のタッグマッチを継承している。今シリーズのおもしろさのヒミツが解けてきましたね。
我々ファンを飽きさせない、タッグの奥深さ、フィナーレを存分に楽しみましょう!
■『WORLD TAG LEAGUE 2022 & SUPER Jr. TAG LEAGUE 2022』
12月14日(水) 17:00開場 18:30試合開始
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■野中大三(のなかだいぞう)
dotswreslerアーティスト、コラムニスト
プロレス観戦歴、ゲーム歴ともに38年。
プロレスラーをドット絵で表現するdotswrestlerをTwitterで公開中。
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