10月30日、プロレスリング・ノアの【武藤引退ロード】『ABEMA presents 有明凱旋ーTHE RETURNーPRO-WRESTLING LOVE FOREVER . 3 ~TRIUMPH~』有明アリーナ大会。
“武藤引退ロード”第4戦であり、声出し応援アリで行われた同大会に、新日本プロレスから棚橋弘至&真壁刀義&本間朋晃が参戦。プロレスリング・ノアの武藤敬司&丸藤正道&稲村愛輝組と対戦した。
撮影/山本正二
■武藤引退ロードで棚橋と邂逅のタッグ戦! 棚橋&真壁&本間が武藤&丸藤&稲村と6人タッグで激突!
棚橋の入場テーマ『LOVE&ENERGY』で、真壁、本間、棚橋の順で入場した3選手。続いて、丸藤の入場テーマ『HYSTERIC』で稲村、丸藤が入場。最後に武藤が『TRIUMPH』~『HOLD OUT』で堂々のリングイン。
大「武藤」コールの中、先発の武藤と棚橋が対峙。ポジションの取り合いから、棚橋がまずヘッドロック。今度は逆に武藤が腕をキャッチし、ヘッドロックから、ショルダーアタック。さらに棚橋、武藤の順にいきなりドラゴンスクリューの競演!
代わった真壁と稲村はショルダータックル合戦から、稲村が先制。だが、真壁もボディスラム。代わった本間がエルボー、ダブルチョップからエルボー。さらに「ブレーンバスター」と声をかけ、持ち上げようとするが、逆に稲村が滞空時間たっぷりのブレーンバスター。
ここで変わった武藤が本間にフラッシングエルボーから、STFの体勢へ。真壁がカットに入るとブーイング発生。代わった丸藤が本間と対峙。丸藤のラリアットを耐えた本間は逆にラリアット、続いてブレーンバスターを今度こそ成功させる。
新日本勢は丸藤にターゲットを絞って3人がかりで攻撃。棚橋、真壁、本間が次々とボディスラム3連打のあと、棚橋はダイビングサンセットフリップ。新日本勢が丸藤を捕獲して、試合を優勢に進める。
丸藤は、一瞬のスキから真壁にドロップキック。代わった稲村がショルダータックルから、串刺しラリアット。ボディスラム、ストンピングと猛攻。飛び出した棚橋、本間にもボディスラム。さらに3人ならべて、その場飛びのフライング・ボディアタックを爆発させる。
稲村は真壁へのオクラハマスタンピートから、エルボーの打ち合い。だが、真壁はカウンターのラリアット。棚橋はフライングアームから、武藤を挑発しながら稲村にドラゴンスクリューお見舞い。
ここで、稲村は棚橋を豪快に何回もブン回してからのスラム攻撃。代わった武藤が低空ドロップキック、ドラゴンスクリュー、四の字固めの必勝フルコースを披露。
武藤はコーナーの棚橋にニーアタックからドラゴンスクリュー。そしてシャイニングウィザードを狙うが、これは棚橋がカットしてドラゴンスクリューで逆襲。スリングブレイドをお見舞いしたが、ここで両軍入り乱れる中、稲村が大暴れ。棚橋を豪快なフロントスープレックスでブン投げる。
勝機と見たか、棚橋を捕獲した武藤が丸藤とシャイニング&虎王の合体攻撃。プロレスLOVEポーズからのシャイニングウィザードが命中! さらに棚橋をマットに寝かせて、まさかのムーンサルトプレスを狙ったが、これは場外から真壁がチェーンで阻止。
ここで棚橋は武藤に再びスリングブレイド、すぐさま武藤もシャイニングウィザードで逆襲! 場内は大「武藤」コール発生。ここから本間と丸藤が対峙、本間のフェイスクラッシャーからの小こけしは丸藤が回避。
リング中央で丸藤と本間は激しい逆水平チョップ合戦を展開。本間がダブルチョップでなんとか上回ると、真壁との合体ラリアット攻撃から、棚橋が丸藤へスリングブレイド。本間も小こけしを成功させて、押せ押せムードに。
本間は、丸藤の変幻自在のトラースキック、虎王を浴びるもカウント2。リングはまたも入り混じる混戦の中、本間は丸藤のトラースキックを浴びるも、カウンターのこけしロケットで逆襲。
さらにセカンドロープからのこけしロケットを狙ったが、これは丸藤が撃墜。最後は、場外から加わった武藤が本間へシャイニングウィザード! 丸藤は必殺の不知火を一閃! これで3カウントが入って、試合が決まった。
試合終了直後、棚橋と武藤はリング下で、あの1.8横浜アリーナを思わせるように、二人体育座りの格好で並んで何やら話し合っている様子。その一方、稲村は真壁に突進して、まだ収まらない様子。
勝ち名乗りを受けたノア軍。ここへ割って入った本間は、全日本時代の“師匠”である武藤にハグを要求するが、武藤はコレを笑顔で拒否する一幕も。
武藤は入場ゲートで引き上げて、最後に深々とファンに一礼したあと、プロレスLOVEポーズで退場していった。
試合後、棚橋は、事前の記者会見で、武藤から新日本マットに上がることに関して“査定要請”を受けていたことに触れて、「合格です。ハイ。新日本プロレスのビッグマッチにぜひとも武藤さんを招聘したいと、来ていただきたいと思っています」とコメント。
すでに11.20有明アリーナへのグレート・ムタ参戦は発表されているが、これは“年間最大のビッグマッチ”1.4東京ドームへの武藤敬司参戦を意味するのか? 今後の動向に要注目だ。
■棚橋、真壁、本間のバックステージコメント
真壁「オイ、稲村ジェーンだか、稲村だかなんだかわかんねえけど、あいつ面白えじゃねえか。ノアに勇気があったらの話だけどよ、リーグ戦でも何でも出させろ。稲村とやらせろ? 珍しいぞ。気に入った女以外にやらせろっていうのは珍しいからな。とりあえずどうかわかんねえけどよ、とにかく稲村を新日本に出稽古させるか、俺がこっち来て叩き上げてやるから。面白えじゃねえか、コノヤロー。
なんでかわかるか? アイツを育てようなんて思っちゃいねえんだよ。アノヤロー、生意気な態度取るからよ、アイツの鼻っ柱を木っ端微塵に砕いてやる。いいか、第一線とよ、第二線、第三線、そのうちわからしてやる。
いいか? 稲村だか、稲村ヶ崎だか、稲村ジェーンだか、わからねえけどよ。いいか、ノアの責任者いるだろ? 俺を出すか、稲村を出させるか。どっちだ? 俺を呼んだほうがいいだろうな。客来るしな。どうだ? 考えてみな。オメーらのクソみてぇなちっちぇえ脳味噌で考えてみろ、コノヤロー。言いたいことはそれだけだ。わかったか、コノヤロー」
本間「試合終わったあと、武藤さんがリング上で言ってくれた。俺の手を引っ張って、『まさかお前とまたリングで会うと思わなかった』って言われた。プロレスってなんて素敵なんだ。最高に幸せですよ。負けたのは悔しいけど、また武藤さんと16年ぶり、17年ぶりにリング上で肌を合わせる。これほど幸せなことないですよ。
ただ、幸せだ幸せだばっかり言っている場合じゃない。丸藤、胸が痛えよ。真壁さんがノアに殴り込むとか、込まないとか物騒なこと言ってるけど、俺は丸藤、お前を追ってここに来てやってもいいぞ。来てやってもいいじゃねえよ。行くぞ。丸藤、胸が痛えよ」
棚橋「久しぶりのノアのリング。凄いエネルギーが溢れてて、会場の声援もあったし、リングに上がらせてもらって凄く嬉しかったし。そして、言ってた武藤敬司を査定する。結果を発表します。……合格です。なので、新日本プロレスのビッグマッチにぜひとも武藤さんを招聘したいと、来ていただきたいと思ってます。まあ、武藤さんが査定してくれと言ってたんですからね。そこ大事。合格です。でも、煽りVでも武藤さんの付き人から始まって…。久しぶりの対戦だったけど、付き人孝行できたんじゃないかなと思います」
■武藤、丸藤、稲村のバックステージコメント
丸藤「ありがとうございました」
稲村「ありがとうございました」
武藤「今日、武藤敬司として最後なんだよ。逆に俺の中で空回りしちゃったな」
丸藤「いえいえ」
武藤「初めてやるアリーナ、新しくて素晴らしいけど、敵の棚橋、真壁、本間とかは何かそれほど変わってない。いい意味でそれほど変わってない。こっちも変わってないんだけど。棚橋じゃないけど、1分、1秒でもホントは長く試合をしていたかったよな。今日は武藤敬司として最後だからね、少し硬くなっちゃったな。足引っ張っちゃった」
丸藤「いえいえ」
武藤「ありがとう。何か言った方がいいよ」
稲村「ハイ。こうやって武藤さんの引退ロードで試合ができて本当に光栄です。もっともっと自分、力つけて誰でも正面からぶちかまして、ぶっ壊せるような、そんな強い選手になりたいです」
丸藤「武藤さんとはGHCのヘビーのタッグのベルトも持ってて、それも防衛を果たせぬまま返すことになり。でも、こうやって再び武藤さんの横に立てたっていうのは、それだけで俺たちレスラー冥利に尽きると思うし。武藤さん、こう言ってるけど、まだまだ元気なんじゃないかなって俺は思うんですよね。お客さんの歓声を聞いてもらえばわかると思うし」
武藤「今日はあれだよ。同情だよ。ホントは俺、ヒールやりたかったんだけどな。隣の丸ちゃんとかだったらヒールもそんなにね。本間とかいじめて本間コールかかるぐらいの試合したかった」
丸藤「(笑)じゃあ、同じカードでもう一回どっかでやりますか?」
武藤「いや、俺、終わりって言ったんだから」
丸藤「そうですね。一つだけ。新日本プロレス、俺たちの勝ちだ」
――最後というのは?
武藤「武藤敬司としては今年最後。今年最後な。わかんない。突発的に何か生まれるかもしれないけど、とりあえず最後だよ」
――棚橋選手とはどんな話をした?
武藤「例のごとく通路で、コイツ(稲村)のこといいなって」
丸藤「僕はダメですか?」
武藤「いや、だからアイツも上から若いのに目いっちゃうからさ。どちらかというと敵対して最初からにらみ合ってたじゃん」
丸藤「あ、みててくれたんだ」
――棚橋選手との対戦はどうだった?
武藤「うーん、どうなのかな。ホントに何か全然ある意味、変わってなかった。アイツも光の速さより速く進むなんて言ってるけど、いつかはアイツも立ち止まる時が来るわけだからな。ある意味、棚橋だけじゃなく。まだ数試合あるわけだから俺も。後輩のみんなにいい背中見せられるような止まり方をしたいななんて思ってますよ」
――棚橋選手にメッセージがあれば?
武藤「いや、何もないよ。今のままでいいんじゃないの。あんまり俺からしてみたらあのチャラチャラさは好きじゃねえんだけど、通してたらいいんじゃない?(笑)」
――ムーンサルトを狙う場面があったが?
武藤「本当は……、真壁もプロだからね。プロだから俺がやろうとしたら必ず止めてきてくれるんじゃないかと思って」
※取材陣から笑いが漏れる
武藤「ちょっと無謀だけどやってみたよ。案の定、止めてきたよ。あれヒール気取ってるからさ」
――2年半ぶりの「武藤」コールだったが?
武藤「やっぱり、ありがたいことなんだけど、過ぎ去っていく者の同情に。あまのじゃくだからな。元気だったらさっき言った通りブーイングが来るぐらい逆を行っても面白かったななんて思ったりするけど。それはグレート・ムタの役割でね。いいんだよ。なるようになったよ」
――ムタが……。
武藤「いいよ、それは。グレート・ムタに何も言わないでくれって言われてるんだよ。オーカーンともやらなきゃいけない。その前に言わないでくれって」
■GHCタッグ選手権は、小島が杉浦との“タカ&サトシ”コンビで、拳王&中嶋を撃破!
また、この日の第8試合は、GHCタッグ選手権。“チャンピオンチーム”杉浦貴&小島聡組に拳王&中嶋勝彦組がチャレンジした。
試合は、杉浦と中嶋の絡みの後、小島を意識する拳王が対峙。小島のマシンガンチョップから「いっちゃうぞ、バカヤロー」を阻止すると場内は大ブーイング。拳王が先に「いっちゃうぞ、クソヤロー!」と吠えて、憎々しくダイビングニーを爆発させる。
小島が挑戦者組に捕獲される中、DDTで逆襲し杉浦にタッチ。エンジン全開の杉浦は、中嶋に豪快な雪崩式ブレーンバスター。中嶋と杉浦は激しい打撃戦。代わった拳王も杉浦を背後から両足ドロップキック、ファルコンアロー。
拳王がローキック、杉浦がエルボーで意地を張り合いから、両者ともアンクルホールドで狙い合うスリリングな攻防。ここから小島が介入すると、拳王と中嶋を蹴散らすと、4者がダウン。
杉浦と拳王は凄まじい張り手のかまし合いから、小島と中嶋が対峙。コーナーの小島はマシンガンチョップから、今度こそ「いっちゃうぞバカヤロー」の大合唱。コーナーからのダイビングエルボードロップを爆発させる。
小島と杉浦は合体技を同士討ちとなり、逆に拳王と中嶋がダブルのキックを杉浦、小島にお見舞い。大ピンチの中、中嶋が小島の正面、背中のキックの乱れ打ちも、小島が垂直落下式ブレーンバスターから、カウンターの左ラリアット。そして、右ラリアットと思いきや拳王がカット。拳王がドラゴンスープレックス、杉浦は五輪予選スラムを放つ中、4者がダウン。
小島のラリアットを中嶋はキックでカットすると張り手。さらに、垂直落下式ブレーンバスターを炸裂させるが、カウント2! 今度は逆に小島が中嶋のキックを剛腕でカット。そこに杉浦が五輪予選スラムが決めると、そこへ小島が走り込んでのラリアットで中嶋からピンフォール奪取。
一進一退の試合を制したのは、杉浦&小島組だった。そこへ、モハメド・ヨネ&齋藤彰俊がリングイン。熱量の高いマイクで「そのベルトに挑戦させていただきたい!」とアピールした。
杉浦は「俺は問題ない。齋藤さん、ヨネさんやりましょう。後はサトシだけだ」とマイク。これを受けた小島も息を整えた後で、最後は「やっちゃうぞ、バカヤロー!」と挑戦を受諾した。