坂口征二直伝の“荒鷲掴み”が炸裂! IWGP戦に向けて中西学が柔道特訓を敢行!
2月2日、世田谷区の新日本プロレス道場にて、中西学選手が柔道特訓を敢行した。
2月14日の両国国技館大会で中邑真輔選手の持つIWGPヘビー級王座に挑戦する中西選手。中邑選手の必殺技であるボマイェを打ち破るには、相手の体をいかにコントロールするかが重要だと考え、柔道日本一の称号を持つ坂口相談役にアドバイスを仰ぐことにした。中西選手にとって坂口相談役は入門当時からの恩師であり、絶対の信頼を寄せる頼りがいのある大先輩でもある。
大勢のマスコミが待ち構える中、2人は柔道着に身を包んで登場。吉橋伸雄選手を相手に練習を始めた中西選手を、坂口相談役が見守る。そして、坂口相談役の指示のもと、中西選手はボマイェの形で突っ込んで来た吉橋選手の脚をガッチリとキャッチ。そのままアルゼンチンバックブリーカーの体勢で一気に持ち上げた。さらに中西選手は、吉橋選手を横に投げ捨てると、その腕を掴んで腕ひしぎ逆十字固め。迫力満点の連続攻撃の餌食となった吉橋選手は、なす術もなくギブアップするしかなかった。このボマイェを受け止める動作こそが“荒鷲掴み”である。
この技は、中邑選手のボマイェを切り返したりする類のものではなく、真正面から堂々と受け止めることが最大のポイント。「ヘタによけるより自分から受けに行った方がいい」(中西)というから、並みのプロレスラーにできる芸当ではないだろう。坂口相談役も「これだけの体をしてるんだから、大丈夫」と、中西選手の人並みはずれた頑丈ボディに太鼓判を押す。荒鷲掴み→マフラーホールド→逆片エビ固めという別バージョンの流れも公開されており、中西選手は「応用はいくらでもきく」と豪語する。
まさしく、“世界の荒鷲”の異名を持ち、豪快なファイトで人気を博した坂口相談役ならではの発想と言えるだろう。そして、その荒々しい戦法を体現できるのは、中西選手ただ1人である。
■特訓終了後のコメント
–今回の特訓の狙いは?
中西「中邑の必殺技であるボマイェ。自分はそれをスカしたり、逃げるんじゃなく、真っ向から(受ける)。逆にアイツがボマイェをやってきた時がチャンスだと思って、自分も技をかけて行く。やっぱり、相手をしっかりコントロールするという強さを柔道は持っていますしね。坂口さんとお付き合いさせていただいてもう20年以上経つのですが、こうやって柔道着を着て練習させていただくことはなかったので」
坂口「(選手と練習するのは)橋本(真也/対小川直也戦用の特訓)の時以来だな(笑)」
中西「柔道着を着るとこんなに違うものかと思いましたね。プロレスの中に柔道の要素が加わっただけで、こんなにも違うのかなって感じました。(組み手をして)凄い腕の太さ、握力の強さというのを感じました。本当にビックリしましたね」
坂口「もう68になるようなジイさんですけどね(笑)」
中西「そういう今までにないことを感じるというのが、自分にとって新しい刺激だし、新しいアイデアというのもわいてきます。今、実際に坂口さんに指導を受けたわけですけど、ここから自分のものにして行こうと思います。(坂口に)どうもありがとうございます」
坂口「中西もいいチャンスに恵まれた。あと2週間ですけど、ただいつもどおり挑戦するじゃなくて、対中邑ということで色々と考えて、こういう秘策を練ってですね。それが絶対にプラス要素になると思うし。去年、1回チャンピオンになったけど防衛できずに、また(棚橋弘至に)獲られたけど、『2度あることは3度ある』で。今回はいいチャンスだと思いますから、頑張ってもらいたい。今のウチの選手の中では一番力があると思いますし。こういう探究心といいますか、そういう欲が出てきて、前向きになっているということで期待しています。(中西の背中を叩き)頑張れ!」
中西「ありがとうございます」
–ボマイェをよけずに真っ向から受けるということは、ダメージも予想されますが?
中西「日々、体を鍛えてますから。信頼する坂口さんに……」
坂口「(さえぎって)いや、これだけの体に、そうそうダメージはないよ(と頼もしそうに中西の胸を叩く)。なんでもそうだけど、不意に食らうのと、自分からバーンと突っ込んで行くのとはダメージが違うからね。不意に食らったらちょっとダメージが大きいけど、自分から行くことで、チャンスが生まれて来るんだから」
中西「たしかに、人間の体で一番硬いヒザを最大の武器にして、中邑は効率のいいプロレスのフィニッシュ技を持っていますよね。だけど、こっちはそれに向かって行きたいですよ。そのために体を鍛えてますし、そのためにこういう時間を作ってもらって、ヒントをもらったんですから」
坂口「向こう(中邑)にもバレるかもしれないぞ(笑)」
–中西選手にとって坂口さんは特別な存在ですか?
中西「僕が闘魂クラブ(アマチュアレスリング部門)に入った時からですから」
坂口「もう何年になるんだ?」
中西「もう20年経ちます」
坂口「俺が社長やってる時だからな。(中西に)『オリンピック出たらお祝いだ』って言ったら、ホントに会社からお祝いもらったよな(笑)」
中西「ありがとうございます」
坂口「そういういい時代にいたから(笑)」
–坂口さんにとっても、中西選手には思い入れがあるのでは?
坂口「そうそう。闘魂クラブの中でも、一番いい実績を持っていたしね。20年、大きなケガ一つせず、今までコツコツと頑張っていてくれたけど、こういういい機会ができて一花咲かせてもらいたいというね」
中西「ハイ」
–今日の特訓のポイントは?
坂口「中邑のヒザを堂々と受けて、それをどう潰すか? 今みたいに投げてもいいし、逆エビ固めに獲るのもいいでしょうね」
中西「常に相手を見て。自分の体を開いて。縮こまって怖がっていたら、いい餌食になるだけですから。あのヒザをしっかりと睨みつけて。アイツは今までヒザの強さで勝ってきたわけですからね。相手の最大の武器であるヒザを、俺が真っ向から破壊しに行きますよ。相手をコントロールして、完全に動けなくしてしまうというのがポイントです。一応、柔道の初段を持っていて、レスリングができれば柔道もなんとかなると思ってましたけど、そんな簡単なものじゃなかった。だからこそ、これを自分のものにすれば、必ずいい結果が出る。必ず俺がチャンピオンになる。中邑を倒す」