8月11日(木)、全日本プロレスの愛知・名古屋国際会議場大会に世界ジュニア王者のタイガーマスク選手が参戦し、3度目の防衛戦に挑んだ。
全日本プロレス6.19大田区で佐藤光留を下してベルト奪取を奪取したタイガーマスク。その後、田村男児、イザナギの挑戦を退けての3度目の防衛戦の相手として名乗りを挙げたのは大森北斗。しかし、その際の態度が気に食わなかったことから「久しぶりに叩き潰したい相手」と、それまで若くとも敬意を払って迎え撃っていたのとは態度が一変。さらに大森が記者会見で馬の“かぶりもの姿”で現れたことから、あきれ返っていた。
もちろん、これが大森の作戦であることは百も承知。タイトルマッチでも大森はロープを背にしたり、エプロンに上半身を出したりで、タイガーの怒り、闘志をはぐらかしにかかる。これには試合を裁いていた和田京平レフェリーも、タイトルマッチにふさわしくないとの判断から注意するが、大森は「どっちの味方なんだよ?」とレフェリーに食ってかかる始末。あくまで中立の立場でありながら、和田レフェリーは「こっちの味方だよ!」とタイガーを指し、握手を交わしていった。
なんとか試合らしい流れとなったが、大森はエプロンからロープを挟んでのスリーパーやロープ際での踏みつけ、マスクに手をかけるなど、まともに闘うそぶりを見せない。レフェリーの厳しいチェックの中、サーフボードを仕掛けた大森だが、タイガーはカンガルーキックで振りほどき、ローリング・ソバットを顔面に叩き込んだ。
リング下にエスケープした大森はリング下に潜り込み、逆サイドから姿を現してタイガーに襲い掛かる。場外戦を仕掛けると、すてーじまで タイガーを連れ込んで攻撃を仕掛けようとしたが、タイガーはボディーにヒザを叩き込み、ミドルキックを見舞うと、大森は花見へ続く階段を転がり落ちていった。
先にリングに戻ったタイガー。大森は強引にタイガーをコーナーに座らせたところにエルボーを叩き込んで、雪崩式アバランシュホールド、フルネルソンスープレックスを決める。しかしタイガーは、サムソンクラッチで大技の波状攻撃を断ち切ると、タイガードライバー、コーナーに追い込んでのハイキック、雪崩式ダブルアームスープレックス、バズソーキックと畳みかけ、チキンウイングフェースロックにとらえる。そこからリバースダブルアームバーに移行する。ロープ際だったが完全に動きを封じられた大森はギブアップするしかなかった。
ほとんど何もさせず完勝だった3度目の防衛戦。腰にベルトを巻いたところで青柳亮生がリングに上がった。そして、「このタイミングでここに来るってことは、そういうことですよね? そういうことなんですけど、全日本プロレスジュニア最後の砦として。この青柳亮生があなたのベルトに挑戦したい」と次期挑戦者に名乗りを挙げた。
これにタイガーは「青柳選手、僕はあまりあなたのことを知らない。でも、この全日本ジュニアで青柳選手のことは素晴らしいというのは聞いてます。非常に(対戦するのが)楽しみです。今、青柳選手が言った通り、最後の砦のつもりで向かってきてください。これからあなたと試合で絡んでいくことがあるかもしれない。その時じっくり、あなたのレスリングを、チャンピオンが体感したいです。やりましょう」と返し、握手を交わすことで挑戦を受け入れた。
■試合後のコメント
タイガー「3度目の防衛、終わりましたけど、なんか大森“馬”北斗ワールドに引きずり込まれたな、少し(苦笑)。なんか京平さんまでも、よくわからなかったなぁ……。こないだまでものすごく威厳のあるレフェリーだと思ってたのに、なんだか今日はよくわからなかった。なんだろ、これもまた、大森“馬”北斗ワールドなのかな……。
--実際に闘った大森選手の印象は?
タイガー「やっぱり、技術はしっかりしてますよ。彼がどういうつもりでああいうスタイルをしてるのか知らないけど、まぁ普段も知らないんだけど、もっと追い込める選手ですよね。ウチ(新日本)でいえば、後藤にちょっと似てるような感じなのかなぁ……。もっともっと気持ちを前に出して相手に向かっていけば、後藤のような突貫的なファイトをする選手だなって、今日やって思いましたよね。まぁああいう、スニーキー(卑劣)なこともうまいし。
だから彼が何を目指してるかわかんないですけどね。ヒールなのかなんなのかよくわからないけども。前、なんかのチャンピオン(アジアタッグ)なんでしょ? 何かのチャンピオンになっただけの器はあるんじゃないですか。ここは選手みんな若いわけですよね。若い中でもああやってベルトを獲れるだけの技術は持ってるわけだから、せっかくこのジュニアのベルトに挑戦するわけだから、スニーキーに来なくて、大森北斗ってものを出してくればいいんじゃないかなって思うんですけどね。僕もああやって途中までやってた(付き合ってた)けど、ものすごくしっかりしたものを持ってるし、考えを変えたらいい選手じゃないですか。体も大きいしね」
--次は青柳亮生選手が名乗りを挙げてきました。
タイガー「どんどんどんどん出てくる。新日本でもNWA(世界ジュニアヘビー級)やIWGP(ジュニアヘビー級)獲った時みたいに、どんどんどんどん出てくる。リングじゃなくても、ここ(コメントスペース)に来ればいいのになぁって。僕、あの青柳選手の試合って1回も見たいことないですね。見たことないんだけどなんか、永田さんからもハイフライの選手だっていうのは聞いてはいるんですけど、まぁ僕が一番好きじゃないっていうかね、ハイフライやーの選手っていうのはね。やっぱり、どっちかっていえば今日みたいな大森北斗選手のようなガツンとした選手の方が俺は好きだな。まぁわかんない、全然。彼がどういうことするのかもわかんないんで。でも、彼が言ってる“最後の砦”。まぁ(全日本)ジュニアもあと何人いるかもわかんないいで(苦笑)。次々出てきちゃうっていうかね、体大きくても関係なく来ちゃうから、最後に石川(修司)選手が出てくんじゃないかって。おっかないですよね、それは……」
--(全日本プロレスは)ジュニアの体重制限105kgなんで。
タイガー「じゃあ、石川選手はダメだね。まぁまぁ、それはさておき、青柳選手の今日のリングに上がった表情、ものすごいいい表情してるしね。さっきもリングで言った通り、彼とはこれまで絡みがないんでね。これから(絡みが)あると思いますから、彼をしっかり体感して、今度のタイトルマッチはどこだ? 僕、今度メキシコ行っちゃうんでね。(タイトルマッチを)やるとすれば、武道館(9.18)だ! (タイトルマッチが)あるとすれば武道館になっちゃうのかな? わかんないけど。僕が休まなければ武道館になりますよね」
--他団体のベルトを持ってメキシコに行くことになりましたけど、現地では何をしたいと考えてますか?
タイガー「何をしたい? メキシコから毎日のようにメールやLINEが入ってね。そのたびに向こうのいろんな情報を送って来てくれて、(メキシコでの宣伝文句である)『NJPWの選手がAJPWのジュニアのチャンピオンになってメキシコに来る』みたいなこと書かれてるんですよね。どうやってこれ(世界ジュニアのベルト)をアピールしようかって……。
僕、新日本の選手だから。でも全日本チャンピオンだからね、チャンピオンとしてしっかり、日本のチャンピオンといえばいいんじゃないかな。メキシコでは3試合するんですよね。もうポスターとかも出てんだけど。1試合アレナ・メヒコで一生懸命やってくれれば、あとはお客さんと絡むような試合でって言われたのに、(ほかの試合も)がっちりメインになってるんで……。ウソつきなOKUMURA選手だなぁと思って。16日からメキシコに行きます。もちろんこのベルトを持って、チャンピオン、タイガーマスクとして。新日本・全日本関係なく、チャンピオンとしてメキシコに乗り込もうかなと思ってます」