“寡黙な”中邑vs“饒舌な”棚橋! IWGP調印式でヒリヒリ感爆発!!
10月28日、11月8日の両国国技館での“運命のIWGP戦”中邑真輔(王者)vs棚橋弘至(挑戦者)のIWGP調印式が行われた。会見、会見後の囲みコメントでも饒舌でノリノリのチャレンジャー・棚橋と、寡黙でそっけない王者・中邑という対照的だった両者、決戦11日前にして、かなりピリピリムードを漂わせた会見となった。
■棚橋選手のコメント
「中邑と記者会見の場に出るのは、僕がチャンピオンであったり、彼がチャンピオンであったり、何度もありますけど、今回のタイトルマッチはいままでと違うな、と。両国で言ったとおり、『認めていない』という気持ちは変わらないし、不本意なかたちでベルトを手放したんで、前王者としてやりたい気持ちもあったし、築きたい世界もある。“その先”を始めるためにも、両国で勝って『愛してます』と言いたいですね」
■中邑選手のコメント
「………………(しばし押し黙って)。まぁ、さすがに一言もしゃべらないわけにはいかない。前回の大谷(晋二郎)戦のあと、『やる』と言ってるんで。あとは、タイトルマッチが来るのを待つだけ。次の(11月1日)後楽園でも、タッグリーグの決勝が待ってるんで……これ以上言うことはありません」
■以下、報道陣との質疑応答
——「いままでと違う闘いになる」というのは?
棚橋「“ストロングスタイル”という主義主張をめぐって、おたがいに譲れないものがあって、中邑がストロングスタイルを通すなら、俺は“ストロングスタイル以外”でいいなって。ストロングスタイル以外、その周辺にあるものすべて含むから、そっちのほうが広がりがある。それに言葉に縛られてたら、プロレスできないしね。
チャンピオンがその団体の世界観を作っていく、棚橋は棚橋の世界観があるし、中邑は中邑で世界観がある。中邑が王者でメインを張って、セミやセミ前で俺がチャラチャラやってたら、彼にとってうっとおしい存在。だから、俺は中邑の世界観に紛れ込んだ“異物”ですよ。ただ、俺が王者なら、俺だけが主役で、俺以外の選手は脇役。そういう世界観の違いも含めて、『生き残るのはどっちだ?』という面があるんで、今回の闘いは違うな、ということです」
——いまの発言を聞いて感想は?
中邑「……確かに自分は、前回の試合と立ち位置も違えば、ファイトスタイルも違う。ストロングスタイルなんて、ただの言葉にすぎないし、人によって解釈も捉え方も違う。自分には自分の捉え方がある、それをいま体言しているだけ。そういう自分と闘うという意味では、確かにいままでとは違う試合になる」
——2月の中邑vs棚橋戦を超える試合になりそう?
中邑「ま、素晴らしい試合をしてベルトを守るのは、王者としてマストなこと。ただ、俺は前回を越えるいい試合にしようとか考えて試合はしない。現時点で持てるだけの感情を持って、試合をするだけ」
——復帰した棚橋選手の試合は観ている?
中邑「観てません」
——眼中にないということ?
中邑「ただ、観てないだけ(ぶっきらぼうに)」
——それを聞いて、棚橋選手は?
棚橋「チャンピオンはタッグリーグにエントリーしているんで、仕方ないかな、と。今回は直接対決も少なかったし。ただ、10月31日の四日市大会で最後の前哨戦があるんで、『眼中にない』なら、本人からピンフォールを奪って、力づくで振り向かせてやろうかな、と」
——棚橋選手は「中邑選手の異物」と言ってるが?
中邑「俺はそこを否定したことは一回もない」
■棚橋選手の囲みコメント
——中邑選手の試合は観てますか?
棚橋「物足りないなって。僕の価値判断は、お客が盛り上がってるか、いないか? という部分。盛り上がってれば、どんなものでも認めますけど、地方会場は俺のほうが盛上げてたなって(笑)。そういう意味でも真輔にとっては、うっとおしいでしょう。対応がそっけないのもそういう裏返しじゃないっすか?」
——中邑選手の持つベルトは輝いていない?
棚橋「ベルトを輝かせる人間というのは、人間自体も輝いてなくちゃいけない。だから、俺しかいねぇなって(笑)」
——人間としても輝いていない?
棚橋「人間失格うんぬんを言ったら、俺のほうが失格ですけど(笑)。ただ、昔はタッグを組んでたのに、ここまで違う方向を向いちゃうのは、不思議ですよね。ただ、プロレスラーの誇りにかけて闘いますよ」
——棚橋選手はベストバウトを意識する?
棚橋「俺は欲張りっすから(笑)。いい試合して、勝って、その先も見たいですよね。MVPとかベストバウトとか……ここまで来たら、自己申告でいこうかな、と」
——負傷した右目は試合で意識する?
棚橋「シリーズ前半は気になりましたけど、試合を重ねるたびにカンは戻ってきてますんで。今度は致命傷にならないとこで、打撃をもらいながらも足を取りにいったり……どこかで三味線を引いてやろうかなって(ニヤリと笑って)」
——2月の試合では「エース決定戦」と言っていたが?
棚橋「今回はシンプルでいいんじゃないですか? タイトルマッチ以外の何ものでもない。ただし、俺はエースまで返上したつもりはないですから(キッパリ)」
■中邑選手の囲みコメント
——棚橋選手は「人間が輝いていないと、ベルトも輝かない」と辛らつな言葉を言ってますが。
中邑「……辛らつな言葉かどうかすら、わからないね。そもそも、『ベルトが輝いていない』っていう発言は『業界が確実に衰退してる』っていう意味で、俺は危機感を持って、あのコメントを出したわけだから。棚橋の首根っこ捕まえて、『おまえのせいだ』なんて一言も言ってない。なんだか、次の試合が『重い、重い』と言ってるけど、何を焦ってるんだって」
——棚橋選手との試合で、業界の衰退を食い止める?
中邑「……なんすか、それ? レスラーなら誰だってそういう気持ちはあるでしょ」
——棚橋さんは「王者として物足りない」と言っているが?
中邑「……何を言ってるのか、わからないね。ま、終着点を探しながら、しゃべってるんだろうけど」
——「G1タッグリーグ」で決勝に残っているが?
中邑「矢野とのタッグは、結果を出すべきものだと思ってる。彼の実力というものを周囲が認めながら、あまり表に出てきてないから、もったいないよね。そこで優勝すれば、ベルトもあとからついてくるかもしれない」
——「G1タッグ」のあとに防衛戦があるという部分は?
中邑 「レスラーなら、多い試合数をこなしながら、コンディションを作っていくことを身につけなきゃいけない。それを日常化しなくちゃいけないと思ってるんで。とくに負担とか思ったことはないね」