真壁刀義スペシャルインタビュー/「“崖っぷち”こそ、俺の本領が発揮されんだよ」
CHAOSとの凄惨な抗争に身を投じる最中、満を持して臨んだ「G1 CLIMAX 2009」において、2敗1分と大きく出遅れた真壁刀義選手。その後、2連勝で星を五分に戻し、“因縁の地”両国国技館へと足を踏み入れた——。
※8月15日両国大会の試合直前に収録
–ここまで2勝2敗1分けと、決勝トーナメント進出に首の皮一枚繋がっている状況ですが?
真壁「やっぱ、最初に波に乗れねぇと俺はダメだって感じたよな。(初戦から)いけると思ってたんだけど、ペースを乱されて逆にいかれた。だけど、こんなにみじけぇシリーズの中でも、自分なりに色々な葛藤、悩みがあったよ。危うく迷走しそうにもなった。でも、2戦目で(ジャイアント・)バーナードにいかれて自分自身を取り戻した。俺の売りは、真っ向勝負しかねぇなって。いい結果は出てなかったけど、覚悟が決まったよな」
–開幕2連敗で臨んだ棚橋弘至選手との3戦目は壮絶なドローとなりましたが?
真壁「どっちかと言うと、棚橋って得意なタイプなんだよ。まぁ、俺はそんなもん認めねぇけど、それもチャンピオンの重みなのか? そんなのクソ食らえだけど、強さを少しだけ感じたよ。正直、(引き分けて)もう終わったと思ったよ。その次は、ある意味リスペクトしていたTAJIRI。結果的に、そんな奴と闘って圧倒的な強さを示せた事で『スゲェじゃん、俺』って。最後の最後で決めきれなかった自分への悔しさはあったけど、(望みは)繋がったよな。そして、待ちに待った田中将斗戦。去年『火祭り』の決勝でいかれたけど、その時と比べて奴の輝きがうせていた。逆に俺の方が神々しく輝いていたな。今までの“利子”を多めに返してやったことで、自分の中の全てをクリーンナップできた」
–そして、“生き残り”を懸けて公式リーグ戦の最終試合で矢野通選手と対戦しますが?
真壁「また、不思議なことに、あの“タヌキ野郎”に頭をかち割られたのが、この両国なんだよな(4月5日)。その後、(6月20日)大阪でいかれて、(7月20日)札幌で叩き潰してやった。俺の中で勝負はついてんだよ。ただ、1回2回勝ったくらいじゃ、許さねぇって。まだまだ血ヘドを吐いてもらうぜ。負ければ終わりだけど、そう簡単に俺の命綱は切れねぇ。“崖っぷち”こそ、この俺、真壁刀義の本領が発揮されんだよ」
–各会場でのファンの大声援は、後押しになっていますか?
真壁「俺から言わせれば(声援を受けるのは)当然なんだよ。だからって、別に感謝もしねぇし。俺の闘いを見れば、自然と声が出るだろ、感情が揺さぶられるだろって。それが、プロレスラーなんだって事だ。俺は、誰も追いつけねぇくらいのスゲェインパクトで闘ってる自信があるしな」
–ちなみに反対側のBブロックでは、中邑真輔選手が全勝し、決勝トーナメントへの進出が決定していますが?
真壁「決勝トーナメントに行けば、お坊ちゃま君とは嫌でも闘う事になるだろうな。それはどういうことか? もう、テメェに逃げ場はねぇって事だ。散々なめた口叩いて、小僧みたいにダダこねやがって。テメェのたわごとなんか誰にも通じねぇんだよ。誰もテメェに歓声なんか上げねぇ。あるのは同情だけだ。それがあるだけ、ありがてぇと思え、バカ野郎!」
–ここ両国で、矢野選手、そして中邑選手を破れば、4月5日の借りを返す事になると思いますが?
真壁「俺の中では札幌で終わってんだよ、アイツらとは。だけど、神様はそれじゃあ許してくんねぇんだな。まずは、バカタヌキを“おしおき”して、決勝トーナメントに上がれば誰だろうと叩き潰す。そしてG1を獲れば、次、何が来る? IWGP(ヘビー級王座への挑戦権)だよな。それを狙いに行かなきゃ、新日本のレスラーじゃねぇよ。ここまで来たら、何が何でも“テッペン”獲ってやる!」
——このインタビュー後に行なわれた矢野戦に勝利し、“4強入り”を果たした真壁選手。準決勝の相手は、プロレスリング・ノアの杉浦貴選手に決まった。
一方、反対側の山には、公式戦で引き分けたIWGPヘビー級王者と、自らを混沌へと導いた張本人という、決着をつけるべき2人が控えている。“最凶”と化した暴走コングが、真夏のテッペンまでいよいよ後2つと迫った。