6月19日、全日本プロレスの大田区総合体育館大会に、新日本プロレスから永田裕志、タイガーマスクが出場。タイガーマスクは、王者の佐藤光留を撃破して、世界ジュニアヘビー級王座の初戴冠をはたした。
■最後はタイガースープレックスホールド!タイガーマスクが世界ジュニアヘビー級王座を初戴冠!!
5月15日の全日本プロレス札幌大会後に、世界ジュニアヘビー級王座の3度目の防衛に成功した王者の佐藤光留が、次期挑戦者としてタイガーマスクの名を出したことにより実現したタイトルマッチ。タイガーは全日本の至宝を新日本に持ち帰ることは出来るのか?
試合開始前に両者、ガッチリと握手。そしてゴングが鳴ると打撃の構えだ。タイガーは様子を見ながら佐藤との間合いを詰めると、佐藤のローキックをカット。さらに低空タックルで攻め込んでくるとこれを切ってグラウンドに持ち込む。佐藤が仕掛けてきた足関節技も脱出してみせた。
ブレイク後、タイガーはローリングソバットからミドルキック、ヒザ蹴りで攻撃。佐藤をコーナーに追い込んで蹴り飛ばしていく。たまらず佐藤が場外に出ると、トペ・スイシーダを発射だ。
しかし、佐藤はエプロンで蹴りを放ってこれを迎撃。タイガーは逆にエプロンで佐藤のサッカーボールキックを食らってしまう。リングに戻ると佐藤はタイガーの左腕に集中攻撃。エルボースタンプ、オーバーヘッドキックで痛めつけていく。
さらに佐藤のミドルキック、ヒザ蹴りがタイガーを襲う。続けて延髄斬り、水車落としを繰り出した佐藤はグラウンドに持ち込んで腕ひしぎ十字固めだ。ここはタイガーもロープエスケープするが、佐藤は攻撃の手を緩めない。
しかし、タイガーはその佐藤の蹴り足をキャッチしてドラゴンスクリュー。佐藤の動きを止めてみせた。佐藤がワキ固めを仕掛けてくると逆にリバースダブルアームバーへの切り返しを披露。一転して佐藤を追い詰めていく。
佐藤がロープエスケープすると、ソバットで土手っ腹を一撃。さらにミドルキックで追撃だ。しかし、引かない佐藤はミドルキックでお返し。タイガーは蹴りを連打してくる佐藤の蹴り足をキャッチして倒すと、立ち上がったところをバックを獲らせてカンガルーキック。さらにコーナーに追い詰めてハイキックを炸裂させた。
そしてトドメのタイガードライバーの態勢に。佐藤が阻止するとキックを発射する。しかし、佐藤はその足をキャッチしてアンクルホールド。さらに延髄斬りで動きを止めるとサッカーボールキックを炸裂させる。
そして腕ひしぎ十字固めへ。タイガーが逃れようとするとバックドロップで叩きつけ、再び腕十字で追い込んでいく。ここはなんとかタイガーもロープエスケープだ。ならばと佐藤はソバットから走り込んでのキックを発射する。
だが、タイガーはこれをソバットで迎撃すると、ツームストンパイルドライバーでマットに串刺し。そしてリバースダブルアームバーに捕獲してギブアップを迫る。しかし、佐藤も必死にロープエスケープだ。
ならばとタイガーは佐藤をコーナートップに持ち上げる。抵抗する佐藤にエルボーと頭突き、張り手をかますと、雪崩式のダブルアームスープレックス。これを佐藤がキックアウトすると、すかさずアームロックだ。
だが、佐藤はこれを脱出して延髄斬り。しかし、タイガーは続けて攻撃してきた佐藤を捕まえてタイガードライバーで叩きつける。そしてミレニアムスープレックスの態勢に捕獲する。これは腕が痺れたのか、しっかりとは投げきれなかったが、続けて座った状態の佐藤の顔面に蹴りで一撃。
最後はタイガースープレックスホールドで3カウントを奪い、タイガーマスクが第62代世界ジュニアヘビー級王者となった。
■試合後、“新王者”タイガーマスクのもとに、田村男児とイザナギが次々挑戦表明!
試合後、ベルトを腰に巻いたタイガーが勝ち名乗りを受けていると、セミファイナルで試合を控えていた永田裕志も駆け寄ってきて祝福する。そして、その永田とタッグを組む田村男児も登場し、マイクを持つ。
田村「おめでとうございます。ただ、それは全日本プロレスのベルトです。新日本プロレスのベルトではありません。なので、僕が全日本プロレスの所属として、エボリューションとして、タイガーさんが巻いたその世界ジュニアのベルトに挑戦させてください。お願いします!」
田村の直訴を見た永田は、「出来るか!? やれるか!?」と叫んで気合いの張り手。田村も呼応して、「お願いします!」ともう一度叫ぶ。
ここでタイガーがマイクを持って返事をしようとすると、「ちょっと待った!」という掛け声と共に、今度はイザナギが姿を現す。
イザナギ「ちょっといいですか? ちょっと待った! 空気読めない感じで申し訳ない。タイガーさん、自分が挑戦したいです。誰とは言いません。以前対戦させてもらった時に言われた言葉、俺はずっと覚えてます。その時の返事をさせてください。俺にやらせてください!」
タイガー「あのう、今終わったばかりだから。一つ、佐藤選手、ありがとうございました。僕はこの試合が始まってから、佐藤選手、実は前から知ってまして。その時はパンクラスにいたんですけども、本当に技術のある素晴らしい選手で、今日どこまで追い込まれるか、本当に恐怖がありました。でも、僕は言った通り、タイガーマスクとして勝つ。どんなに攻められても、最後はタイガーマスクらしい技で勝つということで勝ちました。全日本ジュニア、決して弱いだとか、そんなことは一つも思ってません。田村選手、イザナギ選手、3人でやろう、3人で。新日本プロレス得意の3WAY。まあ、それを決めるのは全日本プロレスさんだから。自分はチャンピオンです! どちらでもかかってこい。この50と書いてあるリングで叩きのめしてやる。以上です。ありがとうございました」
■試合後のコメント
タイガー「無事、指名を受けて期待に応えました。っていう嫌味になっちゃうけど、まあ佐藤選手、本当にリングでも言ったし、試合前からも言ってたけど、僕はもの凄いリスペクトしてるし、素晴らしい選手です。あの蹴りの重さ、腕を狙う一点集中型ですね。今のプロレスにないプロレスだと思います。別に今のプロレスを否定することなんて全然ないですけど、やはり一点集中で勝負、勝ちを狙いに行くという部分では、佐藤選手はプロフェッショナルだと思います。
ただ、僕は今日、彼と付き合おうとは思ってなかったんですね。別に僕はUWFスタイルなんて何とも思わないし、やりたいとも思ってない。ただ、やはり自分の出身はシューティングであり、殴る、蹴る、極めるっていう部分ではパンクラスも。パンクラスというのは佐山さんが作ったものから全て流れていったものだと思ってますから。全て繋がると思っています。そういう部分でやはり入り口は一緒なのかなと。ただ、僕は全日本プロレスでやりたいものがあるわけではない。
最後もチキンウィングフェイスロックのままミレニアムスープレックスを投げたかったんだけど、腕が痺れちゃってね。逆に怪我をしないで良かったなと思います。怪我をさせたらプロでも何でもないんで。もの凄く面白かった、佐藤選手。最後はタイガースープレックスで獲れたけど、やはり僕はタイガーマスクであり、新日本プロレスのタイガーマスクとしてはタイガーマスクの技で終わりたい。それが僕の宿命だと思っています。そういう部分では全然全日本ジュニアのことをナメてもいないし、二人上がったけど、獲ってやるっていう顔してるしね。まだまだいるじゃないですか?
まあ、これからは挑戦を受ける立場になって、受けたくないし、このままずっと持っていたくてもそういうわけにはいかないんで。しっかりと今日から……いや今日からはあれだな。明日から道場に行って、しっかりと自分磨きをして、今日の佐藤選手の試合の反省点を踏まえて、タイガーマスクとして行動していきたいなと思っています」
──世界ジュニアのベルトを巻いてこみ上げてくるものは?
タイガー「今、試合が終わったばかりで腕が痺れちゃってるんでね。明日になったらあれかなと思いますけど、なんかあれば、明日以降、お電話ください(笑)。でも、このベルトはだいぶ変わっているとは言えど、一番最初に獲ったのは新日本プロレスの……いや当時ジャパンプロレスか、ヒロ斎藤さんであり小林邦昭さんも獲っているわけで、新日本の流れも入っているわけだから。やはりその先輩たちの名に恥じないように、しっかりとした試合をしていきたいなと思います」
──両団体の50周年にこのベルトを巻いたことへの思いは?
タイガー「そうですね。最初、なんで自分なのかなって思っていましたけど、今そうやって言われて、お互い全日本プロレスも新日本プロレスも50周年という部分では、寅年であって凄くいい年になっているし、まだまだ自分ははっちゃけないといけないと思っているんでね。新日本ではなかなか今チャンスが回ってこないっていうのがあるんだけど、これからはそういうわけにはいかないと思うし、自分がドンドンドンドン食い込んでいってもいいわけだから。もう大人しいタイガーマスクでいるのも嫌だなと。まあ、デビューしたての頃の鬱陶しいタイガーマスクにでもなればいいのかなと思いますけどね。でも、本当にいい幕開けというかね、全日本プロレスさんには残念なのかもしれないけど、お互いの50周年という部分ではいい盛り上がりになったんじゃないですか?」
──小島選手がノアでGHCを獲られて、新日本の選手が存在感を出しています。
タイガー「小島さんは50代でしょ? 僕はマスクマンだから年齢なんかないから(笑)。ということを言えばあれなんだけど、やはり小島さんもいいスタートを切っているし、自分もこういう形でベルトを獲れたということで、あとは誰だ? 永田さんだ。永田さんが三冠に挑戦するあれがあれば、是非獲ってもらって。まだまだここにありというものは見せたいですよね。ここにありも何も、俺たちは別に落ちているわけじゃないから。ただ、新日本プロレスでは若い選手を中心にっていうだけだから。俺たちは老いも何もないし。だって獲れるわけだから。中にはいますよ? 筋肉も何も落ちてるじゃねえかって。当たり前だって。自分たちを見てみろって。落ちてくるから(笑)。そうでしょ? 顔だって落ちてくるんだから。そういうのはどうにも出来ない。ただ、こうやってベルトを獲れたっていうことはまだまだ力のある証ということで、これからしっかりと全日本プロレスジュニアの長として頑張っていきます。ただ、新日本プロレスにも当然、このベルトを巻いて上がって、見せつけてやります。ふざけるなよと。よろしいですか?」
■試合結果
[第6試合 青木篤志メモリアル
世界ジュニアヘビー級選手権試合(60分1本勝負)]
○タイガーマスク(挑戦者)(14分51秒、タイガースープレックスホールド)✕佐藤光留(王者)×
※佐藤が4度目の防衛に失敗。タイガーマスクが第62代世界ジュニアヘビー級王者となる。
■永田&田村組が初タッグで、諏訪魔&TARUと激突も、最後はバックドロップで田村が沈む…!
5月31日にジャンボ鶴田追善興行後楽園ホール大会で諏訪魔とタッグを結成した永田裕志。しかし、ブードゥー・マーダーズに再合流していた諏訪魔に、試合後にまさかのバックドロップを受けKO。
その遺恨から、その時救出に入ったエボリューションの田村男児をパートナーに諏訪魔&TARUと対戦することになった。永田は2011年の全日本プロレス6.19両国国技館大会で諏訪魔が当時保持していた三冠ヘビー級王座に挑戦。11年の時を経て、再燃した抗争に突入する。
試合前、田村は諏訪魔におにぎりを差し出すが、諏訪魔は無視。先発は永田と諏訪魔でスタートだ。まずは両者、ロックアップで組み合うが、すぐさま背後からTARUが永田を襲撃。そのまま場外乱闘になだれ込む。場外でいたぶられた永田は、リングに戻ってからも諏訪魔のエルボー連打を食らってしまう。
コーナーに追い詰められた永田だったが、諏訪魔をハンマースローで切り返す。だが、諏訪魔はすぐさまビッグブーツで反撃。永田の頭を叩いてコケにする。これに怒った永田はローキックなどの打撃を連打。背中にサッカーボールキックを炸裂させる。
ここで田村にタッチ。田村は諏訪魔にエルボーで果敢に攻め込み、ヒザをついたところをタックルでふっ飛ばす。だが、ロープに飛んだところをエプロンからTARUが蹴りで妨害。田村は場外でいたぶられてしまう。
TARUは田村の首をロープで繋いで引きずり回すと、諏訪魔が竹刀で一撃。永田にもセコンドの歳三が襲いかかる。リングに戻ると田村は犬のように首を繋がれたまま。TARUはそれを見せつけながら永田を挑発だ。
ここでタッチを受けた諏訪魔はロープを引っ張りながら田村にショートレンジのラリアットを連発。さらに首をグルグル巻いてのチョーク攻撃だ。続いてタッチを受けたTARUは田村の右手を踏みつけ、立ち上がらせるとニーリフト。そしてブレーンバスターを仕掛ける。
だが、田村も踏ん張ると、逆にブレーンバスター。ここでようやく永田にタッチだ。永田はキック攻撃でTARUに攻め込み、串刺し式のビッグブーツからエクスプロイダーを炸裂させる。さらにフェイント式の低空ドロップキックも成功させた。
だが、TARUもすぐさまキック攻撃でやり返して諏訪魔にタッチ。諏訪魔のフライングショルダータックルを食らった永田。続けて串刺し式のラリアット、フロントスープレックスも被弾してしまう。そして、諏訪魔はバックドロップの態勢だ。
しかし、永田はこれを回避して、エルボーで反撃、コーナーに振られながらもビッグブーツを炸裂させ、逆にバックドロップを狙う。ここは諏訪魔に踏ん張られてしまうが、続く攻撃を逆にキャッチしてナガタロック2に捕獲。さらに腕固めに移行し、白目を剥こうとする。
しかし、ここはTARUがカット。ならばと永田は田村にタッチして勝負を託す。田村はコーナートップからフライングショルダータックルを発射。続けて俵返を仕掛ける。諏訪魔が踏ん張ると永田もリングに入ってきてストンピングで痛めつけ、トレイン攻撃だ。
そして田村が諏訪魔にバックフリップ。永田が捕まえたところに田村のドロップキック、永田の延髄斬りが炸裂する。そして、ロープに飛んだ永田。しかし、歳三が場外から妨害。永田を場外に引きずり出してしまう。
その隙に諏訪魔が田村に丸め込み。しかし、これを返した田村はラリアットを連発して諏訪魔に攻め込んでいく。その反撃を諏訪魔はラリアット1発でシャットダウン。場外で永田が見ている前でバックドロップで叩きつけ、諏訪魔が3カウントを奪ったのだった。
試合後も暴れるブードゥー・マーダーズ。永田もホワイトパウダーを食らい、場外で悶絶だ。その間に捕まった田村は、入場時に持っていたおにぎりを口に咥えさせられたまま、諏訪魔のラリアットの餌食となり大の字となったのだった。
■試合後のバックステージコメント
諏訪魔「(近藤修司と歳三と一緒に現われ)こんなもんだろう、お前! おにぎり持ってきて何なんだ、お前! アホか、お前! おにぎり軍団はこんなもんだよ、お前! こんな奴らにな、足引っ張られたくないんだよ、俺は。目指すは頂点返り咲きだよ、お前! 登り詰めんだ、もう一回! そこなんだよ、お前! あんなところでお前、足踏みしたくないね。それと、(近藤の背中を叩いて)見ただろう、お前! 『チャンピオン・カーニバル』の覇者に勝ったんだよ、こいつは」
近藤「正々堂々と勝ったぞ」
諏訪魔「そうだろ? こいつが、近藤くんがよ、Xだよ、お前! ここまで来たらもう近藤くんしかいないよ」
近藤「しっかり書いとけよ! 『チャンピオン・カーニバル』優勝者に勝ったと。正々堂々と」
諏訪魔「そうだよ、お前!」
近藤「ちゃんと書けよ?」
諏訪魔「オイ、オイ、ちょっと強いよ。俺もお前、負けてらんねえよ、お前! 早く三冠チャンピオンとやりてえな。この勝者(メインの三冠戦)、狙うか? それが一番手っ取り早いな。よ〜し、やってやるよ!」
歳三「諏訪魔という山が動いた。その動きは地響きとなって全日本プロレスに波及している。全日本プロレスの選手もしっかりと根を張れ。じゃないとお前らはこの地響きに巻き込まれて、居場所がなくなるぞ。目の色を変えろ。本気で向かってこいよ! 諏訪魔はもう一回チャンピオンになる。覚悟しとけ」
※TARUはノーコメント
田村「(おにぎりを片手に現われて、片ヒザをつき)負けました。永田さんという巨大な力がいるにも関わらず僕が負けてしまった。諏訪魔が言った通り、まだちょっと力不足なのかもしれません。その力不足をなんとか補えるよう、今後、対ブードゥー・マーダーズ、ぶっ潰して行きます。そして、必ず諏訪魔におにぎりを食べさせて、あの頃の諏訪魔さんに更生してもらう。今はそれだけです。今はまだまだ変わんないですけど、これからドンドン変えていきます。エボリューションとしてブードゥー・マーダーズに立ち向かっていきます。ありがとうございました」
※永田はノーコメント
■試合結果
[第9試合 タッグマッチ(30分1本勝負)]
○諏訪魔&TARU(11分55秒、岩石落とし→体固め)永田裕志&田村男児✕