プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
今回は「ジェイ・ホワイト、恐るべし! 死角なき“難攻不落の王者”誕生か? 6.12大阪城ホール決戦を大総括!!」
※以下、コラムの序盤を無料公開!
■唯一残っている〝絆“があるとすれば、アンダーソン退団以降、彼の必殺技であるガンスタンをタマが継承してきたことだろう。
今年の6・12大阪城ホール大会(DOMINION 6・12 ㏌ OSAKA―JO HALL)は、近年の大阪城ホールでの興行のなかではもっとも内容が濃く、満足度の高い大会であったような気がする。
近年というのは、もちろんコロナ禍にあるなか、声援、歓声が禁止されるという制限下においてという意味。これがもし、声出しOKという状況であったなら、おそらく大会終了後の歓声、あるいはブーイングなどもふくめ大爆発していたのではないだろうか?
今回は後半3試合に絞って総括してみたい。第8試合に組まれたのは、因縁カードによるNEVER無差別級選手権。BULLET CLUB(以下、BC)を追放されながら、5・1福岡PaypayドームでEVILからベルトを奪取した新王者タマ・トンガに、6年4ヵ月ぶりに新日本マット復帰を果たしたカール・アンダーソンが挑む一戦。
両者は長きにわたって盟友でもあった。いまや一大ヒールユニットと化したBCのスタート地点は、2013年の5・3福岡国際センター大会だった。そのメンバーはプリンス。デヴィット(現フィン・ベイラー)をリーダーに、バッドラック・ファレ、カール・アンダーソン、タマ・トンガの4選手。
この4人がオリジナルメンバーであり、アンダーソンとタマの共闘関係は2016年2月、アンダーソンがドク・ギャローズとともに新日本を退団するまで続いた。
その後、アンダーソンがギャローズとのコンビでWWEへ移籍。約4年、WWEで活躍したのち、インパクト・レスリング(現IMPACT!)などを経て今回、ついに生まれ故郷でもある新日本マットに復帰を果たした。
その流れと並行するようにBCを追われたタマがタンガ・ロアとともに新日本隊に合流したわけである。
かつての盟友が袂をわけ、敵同士としてリングで再会。ある意味、唯一残っている〝絆“があるとすれば、アンダーソン退団以降、彼の必殺技であるガンスタンをタマが継承してきたことだろう。そこをクローズアップするなら、ガンスタン対決というのもひとつのテーマとなった。
これは、こぼれ話であるが、じつはWWEにおいてアンダーソンは必殺のガンスタンを封印していた。というのも、WWEトップスターである〝毒蛇“ことランディ・オートンのフィニッシャーがガンスタンと同型の大技であるRKOであったため。
WWEでは選手が同じフィニッシャーを使うことはタブーとされている。その部分ではWWE時代、アンダーソンにストレスが溜まっていたであろうことは容易に想像できる。
両者が6年4ヵ月の空白を埋める闘い。タマはその間、堂々たるヘビー級戦士となりスピードだけではなく、パワフルになった。
一方、アンダーソンはどう変貌しているのか? アンダーソンもひとまわり分厚くなっていたが、スピードに衰えは見らない。そして何より、インサイドワーク面でさらに狡猾になっていた。長年苦楽をともにしてきたパートナーのギャローズがセコンドに付いていることも脅威。まさに阿吽の呼吸だった。
新旧ガンスタン合戦ではどちらも退かない。つまり、切り返したり、踏ん張って堪えたりと、意地でも絶対に食らわない。オッと思ったのが、アンダーソンがバーナードライバーを炸裂させたシーン。アンダーソンが初めてIWGPタッグ王座についたときの名パートナーがジャイアント・バーナード。そのバーナードの必殺フィニッシャーを繰り出したのだ。やはりこの男、「根っからの新日本育ちだなあ」というのがうかがえる。
決着は唐突に訪れた。アンダーソンのピンチにリングインしてきたギャローズにタマがガンスタンを見舞って排除。しかし、これはオトリだった。背中を向けていたタマが振り向いた瞬間、本家ガンスタンが炸裂。
アンダーソンが復帰戦で、NEVER無差別級ベルト強奪に成功した。振り返ってみると、このNEVERベルトはアンダーソンに関わりのあるベルト。
というのも、2012年11月に新設されたNEVER無差別級王座の初代王座決定トーナメントで決勝まで勝ち進んだのが、アンダーソンと田中将斗(現ZERO1)だった。
結局、初代王者となったのが田中で、それ以降アンダーソンはNEVER王座に一度もからむことがなかった。ある意味、10年越しであのとき逃したベルトを巻いたことになる……。
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