大好評!ゲームデザイナーの野中大三さんによるプロレスコラム。今回は「福岡ドームへのビッグカムバック」
■第44回「HERE COME NEW CHALLENGERS TO BOSJ29‼」
みなさん、こんにちは。
コラム「ゲーム的プロレス論」の野中です。
すごい興行を見ましたよ。5月1日の『WRESTLING DONTAKU』です。
これはまさしく“神興行”でした。
内容の濃い試合、感動のタイトル防衛劇と戴冠劇、そしてまさかのサプライズ。
感動と興奮で理解が追い付かず、感想をうまく言語化できない体験なんてなかなかできないことです。
プロレスのおもしろさがぎゅぎゅぎゅっと詰まった素晴らしい興行でした。
全く興奮冷めやらぬ中、新日本プロレスマットは待望のBest of Super Jr29を迎えます。
3年ぶりの単独開催にして従来の開催季節に戻ってきたBOSJをテーマにした今回のゲーム的プロレス論は初出場選手にスポットライトを当てて紹介していきます。
■初出場選手こそBOSJの華
今回のBOSJの最大の見所は初出場となる6名の選手でしょう。
ここ2年はコロナ禍のため参加選手を絞っての開催となっていましたが、本来BOSJは毎年初出場の選手が多く出るところが最大の特徴であり魅力です。
G1クライマックスと比較すると参加の敷居は低く、毎年一定数の初出場枠が海外選手、国内他団体選手に設けられているので「どんな選手が出るかな?」というドキドキ感と、レギュラー選手との初対決のワクワク感が味わえるシリーズなのです。
29回目となる今大会は全参加選手20名のうち6名が初出場となりました。
6名という数字は歴代でも多く、第19回以来の人数となります。
ちなみに第19回大会はヒロム選手とBUSHI選手が初出場した大会でした。
なお、3年前の26回大会は初出場は7名でしたが、これは代替選手を含めての数なので、開催前は初出場5名というメンバー構成でした。
20名参加はシリーズ最多タイ、そして初出場6名は最大規模。
これぞまさしく「ジュニアの季節」到来です。
ここからはリーグ戦のキーとなる6名の選手の解説をしていきます。
■LA DOJOの生え抜き クラーク・コナーズ選手
LA DOJOの道場長だったクラーク・コナーズ選手がヤングライオンを卒業し、BOSJに初出場を果たしました。
日本での試合はヤングライオン杯以来となりますが、NJPW STRONGで揉みに揉まれたコナーズ選手はワイルド・ライノのニックネームそのままの選手に変貌しています。
注目すべきムーブはタックルです。正面はもちろん、いろんな角度、いろんな位置関係で放つタックルは一発で試合の流れを変える強烈なムーブです。ハイフライヤーが多いBOSJではエプロンや場外を使うことが多くなりますが、そういった場所でもお構いなしにタックルをぶちかまします。
突貫ファイトでジャパニーズドリームを成し遂げるか楽しみです。
■破壊的大型ハイフライヤー アレックス・ゼイン選手
北米の様々な団体を渡り歩くハイフライヤー。NJPW STRONGでもおなじみです。ポイントは破壊力のある技の数々。飛び技もスープレックスもとにかく動きも落差も大きく破壊力抜群。危険度の高い技を持つのに落ち着いた試合運びをする曲者です。WWE離脱後は試合運びに独特のテンポが出てきました。
この選手、フィニッシュムーブをいくつも持っています。飛び技からボム系につなげられるとそのフォール率はすさまじく上がります。難点を挙げると日本での試合経験が少ないことでしょうか。
参加選手中最大となる184センチの体格も要注意ポイントでしょう。
■若き頭脳派王者 エース・オースティン選手
IMPACT! WRESTLINGからの参戦。なんと現Xディビジョン王者です。Xディビジョン王者は日本人選手も何人か戴冠している歴史ある王座です。そんな由緒ある王座の現役王者が参戦です。
奇術師のような装いで飛び技とキックを中心に試合を組む選手ですが、この選手の最大の特徴はインサイドワークのうまさです。相手の技を受けながらも得意の間合い、テンポに持っていき、隙をついて勝負を決める。
まさに達人と言える試合運びをする選手です。そんな試合巧者なのになんと年齢は若干25才。
試合巧者といえば田口選手と金丸選手。両選手とのマッチアップが楽しみです。
■AEWのシンデレラボーイ ウィーラー・ユウタ選手
今ものすごく勢いに乗っている選手です。AEWマットではBlackpool Combat Clubというユニットに属していますが、このユニットのメンバーがすごい。ジョン・モクスリー選手、ブライアン・ダニエルソン選手にウィリアム・リーガル選手というトップ選手揃いの少数精鋭ユニットなのです。
ユウタ選手がこのユニットに加入した経緯が熱い。ユニット入りを反対するモクスリー選手と大流血戦を繰り広げ、敗れはしたもののモクスリー選手が認める形でユニット入りを果たしました。
実力でモクスリー選手もファンも納得させたのです。
そんな今をときめくシンデレラボーイがこれまたまさかのBOSJ参戦。
キャリアこそ浅いものの、勢いだけで比べると参加メンバー中ナンバーワン。勢いに乗って優勝することも考えられるでしょう。なんらかのサプライズを起こしてくれそうな雰囲気をまとった選手です。
■G―REX無差別級王者 エル・リンダマン選手
新日本マットではすでにおなじみの存在となったリンダマン選手がついにシングル戦に登場です。
体格の小ささが全く気にならないほど鍛え抜かれた肉体から繰り出すスープレックスが得意技。
ショートタイツとシューズのみという最小限のコスチュームが鍛え抜かれた肉体をひときわ目立たせています。
GLEATの王者であるリンダマン選手はベルトを持っている以上、団体を背負っていると見られて当然のシチュエーションとなります。強心臓と突貫ファイトでフォールの山を築きそうな予感がしますね。
気になるのはシリーズ中にG-REXの防衛戦が組まれていることです。王者の他団体参戦なので仕方ないことではありますが、過密日程は肉体的に不利に働くかもしれません。
■連合帝国の秘密兵器 フランシスコ・アキラ選手
初出場6選手の中で、唯一参戦宣言をした選手です。その行動からもBOSJに賭ける気持ちの強さが伝わってきます。全日本プロレスではジュニアヘビー級のリーグ戦での優勝経験と世界ヘビー級王座の戴冠経験があります。それでいてなんと22歳というとんでもない若さです。日本での試合は久しぶりですが、全日本プロレス参戦時代と比較すると体が大きくなったようです。
アキラ選手の注目ポイントは、オスプレイ選手と似たムーブを使う点です。
トラ―スキックやオスカッターを以前から使っていたアキラ選手がオスプレイ選手のバックアップを受けてどんなスタイルに進化をしたのかは注目ポイントでしょう。
以上初出場の6選手のレビューでした。
気になる選手は見つかりましたか?
なお、BOSJの歴史で初出場初優勝は第14回のミラノ・コレクションAT選手と第23回のウィル・オスプレイ選手が達成しています。つまり、全然“ある”話なのです。
個人的に今年の初出場メンバーは強敵揃いで、新日本プロレスのレギュラー陣はかなり苦戦するのではないかと見込んでいます。
最後に強豪ぞろいのBOSJ29の優勝予想です。
今回の予想はものすごく難しいです。
レギュラー陣からはIWGP Jr王者の石森選手、ヒロム選手、デスペラード選手を挙げますが、エース・オースティン選手、エル・リンダマン選手、ティタン選手の他団体チャンピオンもノーマークにはできません。
そろそろシングルの勲章を取りそうなのはファンタズモ選手、SHO選手にTJP選手。
勢いの点で評価するならマスター・ワト選手、ウィーラー・ユウタ選手が挙げられます。
全く読めないのがフランシスコ・アキラ選手。さわやかな風貌と真逆で不気味な存在です。
むむむ…。
全然予想できない…!
今回は開き直って優勝予想は僕の希望にします。
Aブロックはクラーク・コナーズ選手。Bブロックはウィーラー・ユウタ選手。
そして優勝はクラーク・コナーズ選手を挙げます!
若い二人が勝ち進むことでプロレス界の新しい景色を作り出してくれるのではないでしょうか。
ほとんど初対決となる両選手なので可能性は大いにあると思います!
さあ、予測不能で大混戦必至のBOSJ29がまもなく開幕です!
世界中の注目するジュニアの祭典を思い切り楽しみましょう!
■野中大三(のなかだいぞう)
dotswreslerアーティスト、コラムニスト
プロレス観戦歴、ゲーム歴ともに38年。
プロレスラーをドット絵で表現するdotswrestlerをTwitterで公開中。
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