プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
「50周年イヤーの幕開け、“主役になるべき男”が主役として帰ってきた」東京ドーム2連戦を大総括!!
■東京ドーム大会のオープニング。あの人がビジョンに登場するという、嬉しいサプライズからスタートした
今回が3度目の開催となる1.4&5東京ドーム大会2連戦。本当に、いろいろなドラマを見せてもらったし、これほど多くのテーマを内包し、語るべきトピックが散りばめられた東京ドーム大会というのは過去に例がないと思う。
ただし終わってみれば、すべては一点の壮大なテーマに向けられていた。2022年は、新日本プロレスにとって旗揚げ50周年イヤーであること。その50周年とは、ひとつの区切りであるとともに、新たなスタート地点としても位置付けされるものである。
だからこそ、50周年イヤーの闘いはじめとなるドーム2連戦は新日本の真価を問われるビッグイベントであった。 おそらく、そこの部分に関しては、ドーム2連戦に出場したすべての選手が強く意識していたと思う。
かといって2連戦のすべてを振り返ろうとすれば、一冊の本ができてしまうほどの文字数となってしまうだろう(笑)。だから、そこのところは選抜して総括していきたい。
4日、東京ドーム大会のオープニング。あの人がビジョンに登場するという、嬉しいサプライズからスタートした。新日本プロレス創設者のアントニオ猪木だ。
「この前、オカダ選手とインタビュー(対談)をしたときに、もう一回新日本のリングに上がってくれと。いまなんとか一日一日前進して、回復に向けてがんばっています!」
猪木からのビデオメッセージ。難病と闘いながらもカメラがまわると、‟燃える闘魂“健在を感じさせてくれるのだからさすがは稀代のスーパースター。
新日本プロレスと袂を分けたわけではないのだろうが、ここ数年、新日本と猪木の間には接点がなかった。このオープニングVTRが東京ドーム2連戦のベクトルを示唆したものだった。
■感傷的な気分はいっさい沸いてこなかったのだ。なぜなら、そこには4年9カ月前と変わらない柴田がいたから
第4試合を前に会場の空気が緊張に包まれる。ある意味、裏メインとも目されていた柴田勝頼の復帰戦。対戦相手はⅩとして伏せられ、試合形式は打撃技のみ禁止のキャッチレスリングルール。
先に入場してきたⅩの正体は、LA DOJOで修行中の成田蓮だった。ヤングライオン時代に柴田に直訴して弟子入りした男。
つづいて、テーマ曲『テイクオーバー』が響く中、柴田が姿を現した。花道ステージ中央に立ったとき、一瞬感極まったような表情を浮かべたものの、歩き出すとガラッと顔つきが変わった。
柴田勝頼そのもの。戦場に向かう表情。多少くさい表現になるかもしれないが、これぞ闘魂フェイスという感じ。コールを受けたときにはすでに臨戦態勢だった。なぜか試合前にマイクを要求する。柴田にしては極めて珍しい光景だ。
「ルール変更しよう。プロレスだ! 成田、やれんのか!?」
またも大逆転。どこでどう事態が変わったのかは不明だが、それが柴田の意思であることだけは間違いない。前半はキャッチレスリングの攻防。柴田が二度マウントをとってみせた。
ともにレスリング出身の両者であるが、経験値では師匠に分がある。それにしても、2人はよく似ている。黒タイツに黒シューズ。
体格も同じくらい。成田はモミアゲを伸ばし薄っすらと髭を蓄えていたから、風貌まで似ている。
両者がグランンドで絡み合うと、どっちが柴田かわからなくことも何度かあった。まるで合わせ鏡のようだ。
中盤から激しく動きだして、柴田は武者返し、コーナーへの低空串刺しドロップキックも決めた。成田も遠慮なくヘッドバット、ミドルキックを連射する。しかし最後は柴田が渾身のPKを決めて3カウント奪取。
それにしても不思議な感じがした。私自身、感情を揺さぶられて泣いてしまうかもしないとか、怖くて見ていられないかもしれないなどと戦前は思っていた。
ところが、実際に柴田のすべてのパフォーマンスを見とどけたあと、そういう感傷的な気分はいっさい沸いてこなかったのだ……。
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