プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
「間違いなく階段を一段駆け上ったYOH、独り立ちできたという自信を摑んだYOSHI-HASHI」12.15両国大会を大総括!
2022年1月4日(火) 15:00開場17:00試合開始
東京・東京ドーム
★チケット情報/★対戦カード情報
※「ロイヤルシート」「バルコニースタンド」は完売となりました
■柴田のスーツとネクタイ姿、身も心も新日本プロレスのリングに捧げる覚悟の証が、この正装にあったのではないだろうか?
12・15東京・両国国技館大会の第4試合終了後、待ち続けていた瞬間が訪れた。約2カ月前の10・21日本武道館(『G1 CLIMAX31』最終戦)で、ザック・セイバーJr.を相手に5分間のエキジビションマッチ(グラップリングルール)を挙行した柴田勝頼。
あのときは、観客ばかりかほとんどの選手も知らされていない状況でのサプライズマッチだった。みんなが夢を見ているような5分間の闘いを終えたあと、柴田は力強く言い放った。
「次、このリングに立つときはコスチュームで。以上!」
事実上の復帰宣言に館内もマスコミ陣も騒然となった。今回はサプライズ登場ではなく、あらかじめ新日本プロレスから発表があった。
柴田自身の口から重大発表があるとのことである。事実上ではなく、正式な復帰宣言が飛び出すことは間違いない。
柴田のテーマ曲『テイクオーバー』が静かな旋律を奏でるなか、コスチュームではなくスーツを着用し正装で入場してきた柴田。
四方に向かって礼をしたあと、マイクを手にする。
声を出しての応援は厳禁だから、ファンは手拍子で迎え入れる。「シ・バ・タ」とコールする代わりに、パン・パン・パンと手拍子での柴田コール。自然発生的に起こった観客による最高の演出。これはたまらない。
柴田の表情がみるみる崩れていき、涙が溢れ出てくる。なかなか言葉を発することができない。しばしの沈黙。ただ柴田に涙声は似合わない。意を決したような顔つきに代わると声を絞りだした。あの野太い声。
「1月4日、1月4日、試合するぞー!! 以上!」
ふたたび四方に頭を下げて退場。その柴田の姿を見ていて感じたことがある。本人の口から出たわけでもないし、バックヤードでのオフィシャルインタビューでもそれに関する質問は出なかったようだ。
私が注目して、勝手な想像を膨らませたのはそのスーツとネクタイの色に関して。スーツは明るめの紺色、ネクタイは赤だった。
明るい紺のスーツは、新日本マットのセルリアンブルーを象徴したもので、赤は闘魂カラー。言うまでもなく、新日本プロレスの創設者であり、いま病気と闘っているアントニオ猪木を意識したものなのではないか?
身も心も新日本プロレスのリングに捧げる覚悟の証が、この正装にあったのではないだろうか? それがデビュー戦のときから彼を見てきた私の想像(妄想)である。バックヤード・インタビュー。
「ひとつ言いたいのは、オレは死にに行くんじゃなくて、リングに死にに行くんじゃなくて、生きるためにリングに行く」
この言葉がすべてだろう。柴田というレスラー、柴田勝頼という人間は特別な男。特別というのは、彼は身体と心の痛みをもっとも知っている人物であるからだ。
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