天山広吉選手公開練習/「猛牛が解き放たれる時が来た」(邪道)
10月9日 両国国技館大会「Explosion〜爆発〜」で、棚橋弘至選手とIWGPヘビー級タイトル戦を行なう天山広吉選手が、9月29日 11:00より、新日本プロレス野毛道場で公開練習を行なった。
天山選手は、今年6月ごろから“ウェートトレーニング”のエキスパートである邪道選手に自ら弟子入り。キャリア16年目にして肉体改造に取り組んだ。筋力アップだけに限らず、食事や生活習慣までも改善するという過酷な挑戦の成果は、「G1 CLIMAX 2006」全勝優勝という輝かしい記録に繋がった。
その後も天山選手と“邪道コーチ”の二人三脚は続き、肉体改造はさらに進行。天山選手のコンディションは「新日本の中で一番いい」(邪道)というレベルにまで達したという。
この日行なわれた公開練習では、腕の筋力をアップさせるためのウェートトレーニングを、邪道選手がマンツーマンで指導。歯を食いしばり、顔を真っ赤にして巨大なウェートを持ち上げようとする天山選手に対し、「自分の力で上げろ!」と邪道選手が激を飛ばす。
天山選手は一つのメニューが終わるたびに「トレーニング・ダイアリー」という手帳へ、その内容を記録して行く。日々の練習を記録していく事で、次に何をすればいいかがすぐに導き出される。2人のトレーニングが開始される時、邪道選手からプレゼントされた大事な手帳だ。
練習の仕上げは過酷を極めた。邪道選手のショルダータックルを天山選手が延々と受け続けるのである。しかも、時折、邪道選手がフォールの体勢に入るため、天山選手はそのたびにキックアウト(体の反動を利用したフォールの返し方)で返さなければいけない。これが5分、3分、1分(各インターバル2分)と、ランダムに繰り返される。
さらに邪道選手は“プロレスラーの裏技”により、天山選手のみぞおちへ集中的にウェートをかける。天山選手は次第に立ち上がるスピードが遅くなり、受け身を取りそこなって後頭部をマットに打ち付け事が多くなってしまう。それでも天山選手は、約70回の受け身を取り続け、90回以上、フォールを跳ね返し続けた。
この壮絶な反復練習で、約1時間半に及んだ公開練習は終了。「16年のキャリアでこの(受け身の)練習ができる人はいない。今のチャンピオン(棚橋)には絶対にできない。だから天山選手は凄いですよ」と、邪道選手は天山選手を絶賛。
さらに「筋力とスタミナがアップして、キャリアもある。言う事はない。鎖が取れて猛牛が解き放たれる時が来たんですよ」と、天山選手のIWGPタイトル奪取に太鼓判を押した。
それまでの自己流を捨て去り、理論に裏打ちされた“邪道流”のトレーニングに変えた手応えを天山選手は強く感じている。「やった分だけ、(結果が)返ってくる。3ヶ月でこうなのだから、1年続ければどうなるか?」と話す天山選手は、さらなるトレーニングの続行を邪道選手に希望。そしてなんと、新たに結成を目論む“猛牛軍団”への勧誘という大胆な行動に出た。
これに対し邪道選手は「どっちもこれ(手でお金のサイン)次第だな(笑)」と即答を回避。とはいえ、公開練習で報道陣に見せた2人の絆は固く、驚きの新コンビ誕生という可能性も否定できない状況だ。