プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
今回は「二冠統一をめぐる飯伏vs内藤戦、デスペラード初戴冠、オカダの主張…、怒涛の大阪城2連戦を大総括!!」
テキスト/金沢克彦
※以下、コラム記事の「序盤部分」をWEBで無料公開!
■やはり介入なしでもEVILの底力はオカダと渡り合えるだけのものがあるのだ。ただし、オカダの執念、気迫はそれを上まわった。
2月27日、28日に開催された大阪城ホール大会2連戦によって、IWGPヘビー級王座&IWGPインターコンチネンタル王座の2冠王者問題に決着。結果的に、IWGPヘビー級ベルト34年の壮大な歴史とインターコンチネンタルベルト10年の歴史が合体するカタチで、新日本マットの最高峰は新たな歴史を歩むこととなった。
まず、初日のメインイベントに組まれたのが因縁のオカダ・カズチカvs EVILの一騎打ち。2勝2敗で迎えたCHAOSvs BULLET CULB5対5対抗戦の決着戦でもあった。
「すべては、昨年の『NEW JAPAN CUP』決勝戦でEVILに敗れたことから始まった」
そうオカダが繰り返し言うように、昨年から乱入・介入による不透明決着が続出するキッカケとなったのが、場所も同じ7.11大阪城ホール大会だった。オカダvsEVIL戦の後半に外道、高橋裕二郎が乱入してロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのEVILをアシスト。
オカダを破ったEVILは電撃的にBULLET CLUB入りを表明して、翌12日の大阪城ホール大会のメインで行なわれた2冠戦(内藤哲也vsEVIL)には新たにディック東郷まで呼び込んで、2冠王座を強奪した。たしかに、ここから新日本マットの磁場が狂いはじめたのだ。
BULLET CLUBによる乱入・介入のやり放題によって、ビッグマッチのエンディングが微妙な空気に包まれる。新日本らしからぬカタルシスのない結末にファンも拒絶反応を示しはじめた。
おそらくオカダ自身はその責任を痛感していたのだろう。昨年、ベルト戦線から遠ざかっていたこともふくめ、今年の1.4東京ドーム(ウィル・オスプレイ戦)から大爆発。いよいよ真打ちの逆襲が始まったわけである。
本気になったオカダはやはり強いし、自信にも溢れていた。かといって、EVILもヤワな男ではない。セコンドのディック東郷を巧みに介入させつつ、ペースを渡そうとしない。
やはり介入なしでもEVILの底力はオカダと渡り合えるだけのものがあるのだ。ただし、オカダの執念、気迫はそれを上まわった。
EVILが急所打ちから、あの悪夢を思い起こさせる金的ストンピングの体勢に入ると、下からEVILの股間へ蹴りを放った。目に目を……そこに躊躇はなかった。
25分が過ぎて、互いに切札のレインメーカーとEVILを狙っての切り返し合戦へ。ここでオカダが開脚式のツームストンパイルドライバー。そして、トドメのレインメーカーをズバリと決めた。
■“IWGPヘビー級王座至上主義”のようにも聞こえるが、最強の証である同ベルトをもっとも長く腰に巻いてきた男の誇りがそう言わせるのだろう。
7カ月越しのモヤモヤ気分を吹き飛ばし、ついにEVILを完璧に沈めてみせた。この決着をもって、オカダがようやくIWGPヘビー級王座に照準を絞ったこと、さらに2冠王座問題に関して堂々と口を開いた。
「そろそろ行っていいよね? IWGPの闘いに行っていいよね。オレはみんなの気持ちわかってるよ。2冠戦つまんねえなって。オレがここ大阪で投票しようと言ってしまったから、つまらない闘いが始まってしまって。オレの責任でしょう。しっかり、『NEW JAPAN CUP』優勝して、IWGPヘビーのベルトを獲って、また新日本プロレスを盛り上げていきたいと思います」
リング上でスッキリした晴れやかな気持ちと、ファンに対する懺悔の思いを口にしたオカダ。バックヤードではさらに突っ込んだ本音を吐きだした。
「なんで誰も口に出さないのかなと。統一だとか、インターコンチだけだとか、そんなの関係なく強いやつがベルト巻けばいいんですよ。そんな単純なことなのに、なんか違うことで闘って。べつに統一だろうと、インターコンチだけだろうと、ボクは知ったこっちゃないですけど。強ければ、『NEW JAPAN CUP』優勝して、IWGP(ヘビー級戦を)闘って、強ければチャンピオンになるだけですから」
出撃準備が整ったオカダはハッキリとそう言いきった。“IWGPヘビー級王座至上主義”のようにも聞こえるが、最強の証である同ベルトをもっとも長く腰に巻いてきた男の誇りがそう言わせるのだろう。
■棚橋はバックヤードインタビューで充実の笑顔を覗かせた。かつて、IWGPヘビー級王座の代名詞だった男が、またべつの手段で成り上がろうとしている。
オカダがひさしぶりにメインをハッピーエンドで締めくくった初日につづく、2日目の2.28大阪城ホール大会。この大会は新日本らしさが全開となり、今年の1.4&5東京ドーム2連戦に次ぐような中身の濃い興行となった。
まず第4試合のNEVER無差別級選手権(棚橋弘至vsグレート‐O‐カーン)で火が点いた。1.30愛知大会で鷹木信悟を大激闘の末に下し、NEVER王座初戴冠を果たした棚橋。最高の闘いを締め括ろうとした棚橋を急襲したのがオーカーンだった。
1.4東京ドームで棚橋に破れ去ったものの、その後のオーカーンのファイトぶりはファンはともかく、関係者からは高い評価を受けてきた。
見た目は“イロモノ”かもしれないが、随所でみせるパワー、スピード、テクニックにはホンモノの強さを感じさせるのだ。
はたして2度目の一騎打ちは1.4をはるかに凌駕する好勝負となった。ベルト仕様のガウンを身に纏いながらNEVERのベルトを巻くことなく、肩に掛けて入場してきた棚橋。それでも鷹木戦の前と鷹木戦以降では、心境の変化があったことが垣間見える。
「IWGPヘビーへのステップ、通過点」と位置づけしてきたNEVERのベルトを、「NEVERの格を上げてIWGPヘビーに近づける」と口にするようになった。これこそ、ベルトは巻いたものが価値を上げるものというプロレス界の理念に沿ったもの。
鷹木信悟という未知の強者との闘いを経て、それだけ思うところがあったのかもしれない。あの試合、ひさびさに棚橋らしさが全開となったからである……。
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