プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
今回は「飯伏vsSANADAは、まだまだ“発展途上”、ノビシロのある名勝負数え唄!」 広島2連戦を大総括!!
テキスト/金沢克彦
※以下、コラム記事の「序盤部分」をWEBで無料公開!
■率直なところ、タイチ&ザックのコンビはひさしぶりにIWGPタッグ戦線に活気を与えてくれた好チームである。
約1ヵ月近い前哨戦を経て、2月最初のビッグマッチが2月10日&11日の広島サンプラザホール2連戦で開催された。今回は両日のメインイベントとセミファイナルに絞って総括してみたい。
初日(10日)のセミファイナルは因縁のIWGPタッグ選手権ダイレクト・リターンマッチ。王者G.o.D(タマ・トンガ&タンガ・ロア)と前王者であるタイチ&ザック・セイバーJr.の顔合わせ。
遺恨は昨年の『WORLD TAG LEAGE2020』までさかのぼる。11・22佐久大会で行なわれた両チームの公式戦で、タマがタイチから奪ったアイアンフィンガーフロムヘル(以下、アイアンフィンガー)でザックを一撃しピンフォール勝ち。これにタイチが激高した。
つづく本番となった1.4東京ドームのIWGPタッグ戦でも、タマはアイアンフィンガーでタイチに地獄突きを見舞い、その直後、タンガのエイプシットを食らいフォール負け。
これによってIWGPタッグレコードとなる7度目の王座戴冠を達成したG.o.Dと、魂であり守護神としていたアイアンフィンガーを奪われたタイチの明暗はクッキリと分かれた。さらに、1・6TDC大会ではそのアイアンフィンガーをタマに奪われてしまった。
以来、IWGPタッグ奪還よりもアイアンフィンガー奪回のほうが使命であるかのように、タイチは荒れ狂った。
そんなタイチをあざ笑うかのように、福袋のような大きなビニール袋のなかにいくつもの紙包みを入れて入場してきたタマ。その紙袋をタイチが一個一個開けてみると、中から出てきたのは、食パン、ボクシンググローブ、ヌイグルミ、卓球ラケット、手袋、さらに女性用の下着と意味不明のものばかり。
これでタイチの錯乱ぶりは増すばかり。本来チームワーク抜群だったはずのタイチ&ザックのチーム力がなかなか機能しない。それでもザックの奮闘もあり、なんとか試合を五分に戻す中、ついに邪道がアイアンフィンガーを装着して花道から入ってくる。ここからリング上はアイアンフィンガー争奪戦と化した。
最後は自制心を失ったタイチが、レフェリーを突き飛ばし、邪道、タマの順にアイアンフィンガーを叩き込み反則負け。なんとも後味の悪い結末となってしまった。
タイチがノーコメントで引き揚げる一方で、呆然とするザックは「チームを解消するわけじゃないが、お互いのためにすこしタッグ戦線から離れたほうがいいかもしない」と言葉を振り絞った。
率直なところ、タイチ&ザックのコンビはひさしぶりにIWGPタッグ戦線に活気を与えてくれた好チームである。昨年、圧倒的ヒーロー感をもって王者に君臨したゴールデン☆エース(棚橋&飯伏)にタイトル戦で2連勝した実力はホンモノ。ようやくIWGPタッグ選手権に光が当たりはじめてきただけに、このままチーム休止となってはなんとも惜しい。
気が付くと、またもIWGPタッグ戦線は外国人天国となってしまう可能性もある。テンコジ(天山&小島)の記録を更新したG.o.Dの実力は認めるところだが、この抗争はどんな手段を使っても……たとえば『ノーDQマッチ』などの特別ルールを採用しても完全決着に期待したいものだ。
■Ⅴ1に成功したヒロムは盤石の王者ぶりを見せつけたし、SHOは頂点へ向けてついにスタート地点に立った
10日のメインに組まれたのはIWGPジュニアヘビー級選手権。王者は1.4で石森太二からベルトを奪還した高橋ヒロム。挑戦者は、これが同タイトル初挑戦となるSHOである。
昨年後半のSHOの躍進ぶりは説明を要しないだろう。『NEW JAPAN CUP2020』1回戦で宿敵である鷹木信悟からついにピンフォール勝ちを奪い、『BEST OF THE SUPERJ.27』公式戦(12.2大阪)では優勝者のヒロムから見事に勝ち星をあげている。
この敗戦に関してヒロムが、「悔しいけど、なんか嬉しい」と独特の言いまわしてコメントを残したことも話題となった。31歳の同い年で、SHOは2年後輩にあたる。歩んできた道程も似ている。ヤングライオンを経て、メキシコCMLL遠征から米国ROHへ。
ROH遠征時には、ともにブラジリアン柔術の道場にも通っていた。SHOにいたっては、「強くなりたい」の思いが高じてなんと総合格闘技の大会にも参戦した経験がある。
そして、両選手の一致した思いは、翌日のIWGPヘビー&インターコンチネンタル2冠選手権を食うような闘いを披露すること。
強い向上心と新日ジュニアで闘うことのプライド。その後、ヒロムは、「いま、新日本生え抜きということにこだわる時代ではないけど、ことSHOに関してはそういう気持ちになってしまう」とも言った。
タイプはまったく違うが、志は同じ。その特別な関係にある2人のタイトルマッチは、現代ジュニアの攻防とは一線を画すゴツゴツの闘い模様となった……。
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