プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
今回は「確実にファンに届いた“2人だけの世界”! ヒロムvsデスペラード戦は、“感情”と“歴史”のぶつかり合い!!」
テキスト/金沢克彦
※以下、コラムの「序盤部分」をWEBで無料公開!
■ヒロムvsデスペラードの優勝決定戦で見せつけられたものは特筆すべき内容。年間ベストバウト候補にあげられてもいい闘い模様を紡いでくれた
2020年、プロレス業界は当然として、社会的(全世界)に未曾有の事態をもたらした新型コロナウイルスの感染拡大問題。
そんな状況下、万全の態勢をしいて興行復活に取り組んできた新日本プロレスの年内最後のビッグマッチが開催された。
12.11日本武道館大会。『WORLD TAG LEAGUE2020』と『BESTOF THE SUPERJr.27』の同時開催という異例のシリーズの最終戦。
二大トーナメント(リーグ戦)の優勝決定戦を同日開催するという、これまた異例の天王山決戦を迎えた。
この日を迎えるにあたり、私がひとつ興味深く見守っていたのは試合順だった。ダブルメインイベントになることは予想できたことだが、はたしてトリとなるファイナルマッチを飾るのはどちらの優勝戦となるか?
結果的にトリをとったのは予想通り、『SUPER Jr』優勝戦の方だったし、この大会を会場で観戦したファン、またテレビ朝日CS放送、新日本プロレスワールドで観戦したファンも大いに納得したと思う。
もっと言うなら、納得どころか大満足であり、その顔合わせから自然と浮かんでくるドラマ、試合内容があまりに劇的であった。
ひとことで表現するなら、高橋ヒロムvsエル・デスペラードの優勝決定戦で見せつけられたものは特筆すべき内容。年間ベストバウト候補にあげられてもいい闘い模様を紡いでくれたと思うのだ。
それでは当日、日本武道館で行なわれた全6試合。ダブルメインイベント第1試合と第2試合に絞って総括してみたい。
■いつの間にか乱入してきたKENTAが赤いブリーフケースでジュースの脳天を一撃。この後、スーパーパワーボムを決めたG.o.Dが優勝トロフィーを強奪
『WORLD TAG LEAGUE2020』優勝決定戦のカードは、前年度覇者のジュース・ロビンソン&デビット・フィンレーと新日マット№1の実力派チームであるG.O.D(タマ・トンガ&タンガ・ロア)の顔合わせ。
昨年のジュース&フィンレーの優勝はまさにサプライズ。12.8広島サンプラザホールのメインの公式戦でEVIL&SANADAを破った瞬間、館内は大爆発した。おそらく誰もがEVIL&SANADAが優勝トロフィーを手にすると予想していたろうし、館内もロス・インゴ推しのムードが充満していた。
ところが、大逆転でジュース&フィンレーが勝利をゲット。その直後に、新日本プロレス本隊の選手たちが全員リングインして、2人の快挙を称えた。サプライズのあとには、いわゆる感動のフィナーレが待っていた。
まる1年前に目にしたハッピーエンド。あの光景はいまも私の目に焼き付いている。新日本プロレス野毛道場育ちの外国人留学生2人が、そろってニュージャパンドリームを掴んだ瞬間でもあった。
あれから1年……2年連続で、しかも今年は実力で優勝戦に駒を進めてきたジュース&フィンレー。一方、IWGPタッグ王座の戴冠歴では敵なしの様相ながら、ことタッグリーグ戦となると優勝に一歩届かないBULLET CLUBのG.o.D。
公式戦ではジュース組が勝利を収めており、今年だけでみても4度目の対戦。ちなみに戦績は、ジュース組の2勝1敗でこの日を迎えた。
まず試合開始早々に早くも不穏な動き(?)を見せたマネージャーの邪道を浅見レフェリーが見逃さず、強制退場を命じた。セコンド陣によってバックステージへと追いやられた邪道。これによって純粋なタッグ勝負が展開されていく。
スピード、パワー、連携・合体プレーと互角にわたり合う両チーム。だが、15分過ぎにふたたび竹刀を手に邪道が花道からリングサイドへ。それは計算済みという感じで2対3ながらジュース&フィンレーは粘る。
ところが、伏兵が現れた。いつの間にか乱入してきたKENTAが赤いブリーフケースでジュースの脳天を一撃。この後、スーパーパワーボムを決めたG.o.Dが優勝トロフィーを強奪した。
またも乱入によるバッドエンド。1年前とは正反対の光景。試合自体は見応えがあっただけに残念というしかない。
これも結果論になるが、やはりこちらの試合がファイナルに組まれなくてよかった。あらためて、そう思った。
ただし、この結末によってよけいファイナルマッチへの期待感が増してきた。館内のムードはそう感じられる。そこもまたナマモノである興行の不思議なところ。
■公式戦でヒロムに勝利しているデスペラードが1位通過、ヒロムが2位通過ということで両選手が優勝戦で相まみえることになった。
『SUPER Jr.27』優勝決定戦。公式リーグ戦の結果は、高橋ヒロム、エル・デスペラード、現IWGPジュニアヘビー級王者・石森太二の3選手が14点で首位に並んだものの、石森はヒロムとデスペラードに敗れているため脱落。
公式戦でヒロムに勝利しているデスペラードが1位通過、ヒロムが2位通過ということで両選手が優勝戦で相まみえることになった……。
※無料公開はここまで! 続きは有料サイトでご覧ください。
★加入するなら今! 新日本プロレス・スマートフォンサイトの詳細はコチラ!!
★月額=330円(税込)