プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
「優勝決定戦は“令和のストロングスタイル”だった!? 『G1 CLIMAX 30』両国3連戦を大総括!」
テキスト/金沢克彦
※以下、コラムの「序盤部分」をWEBで無料公開!
■異例にして過酷な状況下、『G1』エントリーメンバー20名が最後まで走り抜けた。
1991年からスタートした真夏の祭典『G1 CLIMAX』が30回目にして初めて秋に開催された2020年の『G1 CLIMAX30』。もともと東京五輪開催(※来年に延期)の日程を睨んで昨年から決まっていたものだが、そこに新型コロナウイルス感染拡大が社会問題化したために、異例の環境のもとでの『G1』開催の運びとなった。
各会場では地方自治体による制定基準に従い、集客数はほぼ半数に抑えられたし、マスク着用は当然として声を出しての応援、歓声は禁止とされた。観客が意思をアピールする手段は拍手と手拍子のみ。
選手、スタッフの数も最小限に絞られて、地方大会においては、選手は外出禁止。おそらく大いにストレスも溜まったことだろう。
そんな異例にして過酷な状況下、『G1』エントリーメンバー20名が最後まで走り抜けた。
最初に結論をいってしまうなら、新日本プロレスの大勝利である。選手、スタッフ、テレビ中継に代表されるマスコミ、そしてマナーを厳守して応援してくれたファンの人たち。みんなの勝利。
今回の『G1』を無事やり遂げたこと。新日本プロレス、プロレス界は現況におけるスポーツイベントの在り方を示し、最大限の努力を結晶させた興行形態を実践したわけだから、胸を張っていいと思う。
■2人は互いを兄弟のような関係と認め合ってきた。ただし、今回はその思いを封印して闘うという趣旨の発言をアピール。それがとんでもない事態を招いた。
その全19大会のなかから、今回の総括では後半の天王山である両国国技館3連戦に関して記してみたい。まず、A、B両ブロック最終公式戦の試合順は、それぞれ8戦目の公式戦が終わった時点での発表となった。
ブロック代表、優勝決定戦進出に一番可能性の高い勝ち点を残している選手の試合がメインに組まれる。もし、メインイベントを前にブロック代表が決定してしまったら、メインは消化試合の様相を呈してしまうからだ。
そういう意味で、Aブロックの最終戦が行われた10・16両国大会の試合順はじつに興味深いものとなった。最高得点(12点)でオカダ・カズチカ、飯伏幸太、ジェイ・ホワイトの3者が並んでいるものの、公式戦の直接対決で飯伏、ジェイに敗れているオカダが第4試合に登場。辛うじて首の皮一枚(勝てば3者同点進出者決定戦の可能性あり)を残したウィル・オスプレイ(10点)と対戦した。
いずれにしろ、両選手とも勝利をあげることが可能性を残す絶対条件。過去のオカダ戦で4戦4敗のオスプレイだが、今大会には完全にヘビー級の肉体(105㎏)を作り上げ臨んできた。もともと5年前にイギリスで対戦した際に、その素質に惚れ込んだオカダがオスプレイをスカウトするカタチで2016年4月からオスプレイは新日本マットの常連、CHAOSのメンバーとなった。
だから、2人は互いを兄弟のような関係と認め合ってきた。ただし、今回はその思いを封印して闘うという趣旨の発言を両選手ともアピールしていた。
それが、とんでもない事態を招いた。白熱の攻防はマネークリップ(変型コブラクラッチ)で決着寸前となった。そこへ介入してきたのが、オスプレイの恋人でありスターダムのリングでトップ外国人として活躍するビー・プレストリー。レフェリーがプレストリーを制止している間に、大男が乱入してきた。
イギリスで暴れまわっていたグレート‐O‐カーンがオカダを襲撃し、エリミネーター(アイアンクロ―スラム)で叩きつけた。トドメは復活したオスプレイのストームブレイカー。まさかの造反劇にオカダは脱落。オスプレイがなんとか生き残った。
■この結果を受けて飯伏は14得点で終了。これでオスプレイが脱落。飯伏の命運はメインに委ねられた。
セミファイナルの第5試合では、飯伏がタイチを迎え撃った。周知のとおり、今年の『NEW JAPAN CUP』2回戦(7.1後楽園ホール)ではタイチが勝利を収めている。なんと両者は組み合うことなくひたすらローキックを打ち合う。
タイチの仕掛けに飯伏が呼応した格好だ。互いに繰り出した蹴りは計160発だというから驚き。ともに左足を引きずる大ダメージを負いながらもキック合戦は続く。最後に勝負を決めたのは、カミゴェだった。この結果を受けて飯伏は14得点で終了。これでオスプレイが脱落。飯伏の命運はメインに委ねられた。
ジェイが敗れたら飯伏が進出。ジェイが勝って同点になった場合、公式戦の直接対決に勝利しているジェイの進出が決まる。
■大変なドラマがあることに気が付いた。レスラー生活24年にして、石井が両国国技館のメインイベントに登場するのは初めてのこと。
メインカードは、ジェイ・ホワイトvs石井智宏。ここまで3勝5敗(6点)の石井はすでに脱落が決まっている。ただし、石井の闘いへ向けてのモチベーションはどんな試合であろうと変わらない。それと同時に、大変なドラマがあることに気が付いた。
レスラー生活24年にして、石井が両国国技館のメインイベントに登場するのは初めてのこと。後楽園ホール、地方のビッグマッチなどで石井のメイン登場は珍しいことではない。ただし、新日本の聖地ともいうべき両国のメインだけは一度も経験していないのだ……。
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