日本時間・8月8日(土)朝11時より新日本プロレスワールドでスタートする、“アメリカ初”の配信限定番組『NJPW STRONG』!
今回も柴田勝頼選手と同番組の解説を担当する棚橋弘至選手にインタビュー。前回の『Lion’s Break Collision』振り返り、そして『NEW JAPAN CUP in the USA』を展望!
撮影/山本正二
■『NJPW STRONG』第1回放送
『NEW JAPAN CUP 2020 in the USA』1回戦
日本時間:8月08日(土)午前11時~
★新日本プロレスワールドで配信!
■柴田さんの解説は“辛い”んですよね、基本的に。一方で、長所を褒める棚橋と(笑)。そのへんのコントラストが非常におもしろいかたちで出てましたね。
――前回までは『Lion’s Break Collision』というニューカマーや若手中心、LA道場を中心とした番組はどういう風にご覧になりましたか?
棚橋 やっぱり、「LA道場生には、柴田イズムが流れているな」っていうのを感じますよね。柴田さんが解説中も言っていましたけど、「心・技・体」じゃなくて、「心・体・技」の順番だと。
――ええ。順番が違うんですね。
棚橋 順番が違うんだ、という部分があって。「ああ、なるほどな」と納得しましたし、もちろん柴田さんは道場生と一緒に生活していて、凄く思い入れを持って教えているんですけど、トライアウトに来た選手もよく覚えているんですよ。
――そうでしたね。
棚橋 今回『Lion’s Break Collision』に上がっていた選手たちも、道場に入れるかどうかってギリギリ迷っていた選手が多かったようで。「この選手はここはいいけど、ここは変えたほうがいい」とか。そういった部分でコーチ目線でしたね
――いままでカール・フレドリックス選手、クラーク・コナーズ選手、アレックス・コグリン選手というのは若手としての完成品というか、かなり仕上がった状態を我々は見ていたじゃないですか。逆に今回、キャンプに来ていた原石のような選手たちを見て、そこに解説が入ると柴田選手が「何を大事にしているか」がより鮮明になるというか。
棚橋 そうですね。そこは凄く思いましたね。「この選手は、ここがいいんだけどね、惜しいよね」みたいな言い方をするんですよ。そういった柴田さんの解説にボクが受けるかたちで色付けはしたんですけど……。まあ、柴田さんは“辛い”んですよね、基本的に。
――その辛口の柴田選手、そして甘口とは言わないですけどちょっとマイルドな……。
棚橋 長所を褒める棚橋と(笑)。そのへんのコントラストが非常におもしろいかたちで出てましたね。
■昔、新しく入ってきた新弟子が「辞めます」と言って、ボクは止めたんですけど柴田さんは止めなかったっていうエピソードがあって……。
――ラスト・テイラーvsTHE DKCの試合では、それが顕著に見られたなと。柴田選手は辛口でしたけど、棚橋選手は「テイラー、好きですよ」というコメントをされていて。
棚橋 ハイ。テイラーは器用な選手ですよね。あのグラウンドが得意な。
――ええ。棚橋選手が若手の選手を見る時に注目するところは、また独特の目線がありますよね
棚橋 ボクは細かいところは、「あとでどうにでもなる」と思っているんですよ。ま、細かくもないですけど、身体は練習で大きくなるし、技術的なことも教えればなんとかなる。習得の早い・遅いはありますけど、がんばればレスラーとしてのベースは必ず身に付けることはできるんです。
――なるほど。
棚橋 ただし、ボクらやコーチが変えられないのは根本にある向上心であったり、性格であったり、ヤル気だったりという部分。応援してハッパをかけることもできるんですけど、その選手が本来持っている「プロレスで自分がどうなりたい」っていう熱量だけは、ボクたちでは変えられない。だから、ボクはけっこう選手の“全体”を見ていますかね。その人から伝わるエネルギー量を。例えるならドラゴンボールのスカウターみたいな、「ピピピッ」っていう感じで。
――柴田さんと近い部分もありますけど、見ているレンジが少し違うなのかなと。
棚橋 そうですね。……昔、道場で若手の時のエピソードでボクと柴田さんが寮にいて、新しく入ってきた新弟子が「辞めます」と言って、ボクは止めたんですけど柴田さんは止めなかったっていうエピソードがあって。
――おもしろいですね。そこも、まさに解説と一緒の感じで。
棚橋 いや本当に。その時、柴田さんが荷物を窓からブン投げて「もういいから、帰れ!」と言ったんです。その時、ボクは先輩の柴田さんに珍しくキレたんです。「そんなことしなくていいじゃないですか!」「ヒドいじゃないですか!」と。ところが、そのまま新弟子はその荷物を拾って、角に待たせてあったタクシーに乗ってさっさと帰っちゃったんですよ。その時、柴田さんが「ほらね」と言って(苦笑)。
――その新弟子は帰る気マンマンだったと。
棚橋 だから、やっぱり柴田さんの選手を“見る目”は、「たしかだな」と思うんですよ。ボクは、せっかく厳しい入門テストを受けて、寮にも入ってデビューする前に辞めちゃうのはもったいないし、道場を逃げるように出ていくのはくやしいだろうと。「もうちょっとがんばりなよ」って声をかけていたんですけど。柴田さんはシッカリ本質を見抜いていたというか。
■DKCは持ってる雰囲気が非常に明るい印象。ジュニアの中でも小さい方なんですけど、さっき言った“エネルギー量”が凄く多い選手だなって
――今回『Lion’s Break Collision』では、カール・フレドリックス選手が凄くフィーチャーされていました。今後のスター候補だと思いますが、どうご覧になりましたか?
棚橋 カールはLA道場生の中でも一番年長で、身長もあって、ルックスも良くて、バネもあって。ボクから見ると「順調に育っているな」って感じでしたね。ただ、柴田さん的には「コイツ、蹴りの練習が足りてねーな」とか。観る目が厳しかったんで。ボク的には、カールは非常にたくさんの才能を持っているので、単純に「うらやましいな」と思って見ちゃうんですけど。柴田さんには、あまりそういう感情がないんですよね。
――そこは完全にコーチ目線であり、親目線というか。
棚橋 ボクは、人の持っているものは、すぐうらやましく見えちゃうんで(笑)。
――ムード的には、レインメーカーになる前のオカダ選手のような印象すら感じますね。
棚橋 いやー、本当に逸材だと思いますよ、もう完全に。ただし、みんなが逸材ですけどね、LA道場にいる子たちは。
――あと他に気になった選手、今回の『Lion’s Break Collision』でいますか?
棚橋 うーん。やっぱりTKGですかね
――TKG?
棚橋 いや、DKCでした。TKGは卵かけご飯ですね(苦笑)
――似てますけど、そこは間違えずにお願いします(笑)。
棚橋 失礼しました!(笑)。DKCは背は小さいんですけど、小気味いいファイトがとても良かったですね。いまの新日本のジュニア戦線にも凄くマッチしそうな選手だなと思いました。
――身体の面ではこれからかもしれないけど、姿勢の面を評価されているというか。
棚橋 なんかDKCが持ってる雰囲気が非常に明るい印象なんで。なんかね、ジュニアの中でも小さい方なんですけど、さっき言った“エネルギー量”が凄く多い選手だなって感じましたね。
――若手の頃の大谷晋二郎選手みたいにとにかく気合が凄いというか。あとクラーク選手やコグリン選手も成長著しいですよね。
棚橋 ええ。加えて言っておきたいのは、このLA道場生の中で日本にこのタイミングで残ったゲイブ(ゲイブリエル・キッド)の急成長が凄いです!
――ゲイブリエル選手、素晴らしいですよね。
棚橋 ちょっと話が逸れちゃうんですけど、最初はカール、クラーク、コグリンが1本抜けていて。ゲイブっていうのはLA道場にあとから入った“第4の男”だったんですけど。もうね、いま日本で急成長していますんで。LAにいる子たちは、いまのゲイブの恵まれた状況をうらやましく思っていると思うんで。こうした道場生の中での競争意識が凄くプラスに働くんじゃないかなって思いますね。
――コロナの影響で柴田選手がLAに行けず、ゲイブリエル選手は日本に残ったことでたくさん試合ができている。ある意味、柴田さんを独り占めできる感じもあるし。LAの選手もジェラシーを感じてそうですよね。
棚橋 ますます出世レースが楽しみですよ。
■ボクはジェフ・コブが好きなんですよ。このへんで「新日本でも、さらにスターダムを駆け上がって欲しい」っていうのがある。
――ここで、『NJPW STRONG』で、始まる『NEW JAPAN CUP in the USA』の見どころをお願いしたいんですけど。
棚橋 そうですね……(トーナメント表を見ながら)。堅くいくと、ボクはジェフ・コブが好きなんですよ。彼には、グラウンド的な強さも投げ技的な強さもあるし、アメリカマット界、新日本プロレスにも上がっていますけど、インディシーンでは引っ張りだこの売れっ子選手なんで。このへんで「新日本でも、さらにスターダムを駆け上がって欲しい」っていう気持ちがあるかな。
――このトーナメントを期に、最強外国人の位置に駆け上がってほしいと。
棚橋 そういった実力がもともとある選手ですよね。エントリーした他のメンバーだと、もちろんタンガ・ロアとかタマ・トンガも“そっち側”に入るんですけど。あとは、そっち側じゃなく、カールとかデヴィット・フィンレーがどれだけ伸びているかなっていうのが気になりますね。彼らには、しばらく会ってないんで。そのへんも注目ですね。
――このコロナ期間、新日本プロレスの選手も肉体やスタイルの変化があった選手もいましたが、その部分が見えてくるというか。
棚橋 そうですね。この3月、4月、5月、6月……。7月もそうですかね。この試合がなかった期間をどう過ごしたかっていうのは、試合に出てくるので。トーナメントでは優勝の行方と同時に、彼らの成長ぶりにも注目して見たいなと思います。
(了)
■『NJPW STRONG』配信日程
※新日本プロレスワールドにて配信!
●『NEW JAPAN CUP 2020 in the USA』1回戦
日本時間:8月08日(土)午前11時
※アメリカ時間:8月7日(金)10:00PM(ET)
●『NEW JAPAN CUP 2020 in the USA』準決勝
日本時間:8月15日(土)午前11時
※アメリカ時間・8月14日(金)10:00PM(ET)
●『NEW JAPAN CUP 2020 in the USA』決勝戦
日本時間:8月22日(土)午前11時
※アメリカ時間:8月21日(金)10:00PM(ET)