プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
今回は「“大阪城の乱”後に実現したEVILvsヒロム戦! はたして神宮球場でカタルシスはもたらされるのか?」7.25愛知決戦を大総括!
テキスト/金沢克彦
※以下、コラムの「序盤部分」をWEBで無料公開!
■ここで問題なのは、前記したようにEVILのことを“偉業”と素直に称えていいのかどうか、にある。
7.11&12大阪城ホール2連戦で勃発した“大阪城の乱”にファンもマスコミ関係者もドギモを抜かれた。バッドエンドを超えたスーパー・サプライズに騒然・呆然というのが正直な感想だった。
その主役となったのは、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(以下、ロス・インゴ)を裏切ってBULLET CLUB入りすると同時に、連日のメインイベントで勝者として仁王立ちする“キング・オブ・ダークネス”EVILの存在であった。
初日(11日)には『NEW JAPAN CUP2020』(以下、『NJC』)のトーナメント決勝戦でオカダ・カズチカを粉砕。
翌12日、内藤哲也が保持するIWGPヘビー&IWGPインターコンチネンタル王座の2冠を奪取。わすか2日間で、3冠制覇という偉業を達成した。
ここで問題なのは、前記したように“偉業”と素直に称えていいのかどうか、にある。
「勝つためには手段を選ばない」と言いきって『NJC』に挑み勝ち進んできたEVILは、急所へのストンピングから必殺EVILへという必勝パターンを確立させた。
通常であれば、急所へのストンピングは即反則負けをとられて当たり前のあからさまな反則行為。ただし、その場面になると介入者、乱入者がかならずレフェリーの目を引き付けている。
オカダ、内藤からの連勝もBULLET CLUBの介入を借りての勝利。EVILの変貌ぶりがあまりに急激だったことも驚きに拍車をかけた。そのキャラクター(EVIL=邪悪)はともかくとして、もともとEVILの試合は正統派に属するからだ。
衝撃の“大阪城の乱”をそのまま受けるカタチで次なるビッグマッチ、7.25愛知県体育館大会は開催された。
■オカダは裕二郎に対し、余裕のコメントを残しているが、手応えのない相手に対しては絶対にこういう発言はしない。
今回は大会後半の3大シングルマッチについて総括してみたい。まず、第5試合に組まれたのが、オカダ・カズチカvs高橋裕二郎のスペシャルシングルマッチ。
7.11大阪城ホールの『NJC』トーナメント決勝戦での出来事。試合の終盤で乱入してきた裕二郎がオカダにマイアミ・シャインを放った。事実上、このダメージが尾を引いてオカダは敗戦を喫している。
興味深いのは、両者の一騎打ちはじつに5年ぶり。2015年の『G1 CLIMAX25』以来のシングル戦となること。この5年という数字、期間が両者の明暗をそのまま分けているといってもいいだろう。
その前年に裕二郎はCHAOSを脱退して、BULLET CLUBにはしった。このときもオカダ絡みの因縁がある。
2014年5月3日の『レスリングどんたく2014』ではIWGPヘビー級王者のオカダにAJスタイルズが挑戦。この大一番に乱入した裕二郎は同門のオカダにラリアット、東京ピンプスを見舞いAJのベルト奪取をアシストしている。これによって、まさかのBULLET CLUB入りを果たしたわけだ。
“ミスター・R指定”として独自のポジションを掴みつつあった裕二郎。ところが、2015年の『G1』出場を最後に、裕二郎の名前は『G1』のメンバーから消えた。
首の負傷、目の負傷と、次々と大怪我に見舞われた不運もある。ただし、その一方では同年デビューのオカダがトップに駆け上がり、かつてのパートナーである内藤はカリスマ的な人気を勝ち得ている。
「あいつ(オカダ)を引きずり降ろしてやる」という裕二郎の言葉は本音そのものだろう。その一方で、オカダも裕二郎との過去をしっかりと憶えている。だからこそ、「ただの乱入屋でいいんですか?」という挑発的なセリフを余裕たっぷりにぶつけてきた。
ここ数年の裕二郎はピンプジュースをフィニッシュホールドとして使ってきた。なぜか、かつてのフィニッシャーである東京ピンプス、マイアミ・シャインはほとんど試合で使わなくなった。大阪城ホールでオカダに見舞ったのはマイアミ・シャイン。そこにも裕二郎の積年の思いが込められていたように感じる。
試合は13分43秒、変型コブラクラッチでオカダの勝利に終わっている。タイムだけをみれば、オカダの完勝と映るかもしれないが、内容的には接戦だった。
この一戦を大いなるチャンス、ひさびさに巡ってきた大一番と捉え挑んできた裕二郎は、やはり地力をみせつけた。日体大レスリング部時代に全日本学生選手権(グレコローマンスタイル)を制した実力はホンモノなのだ。
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