新日本のプロレスラーたちの子供のころから若手時代、そして現在に至るまでの知られざる“めしの光景”を紹介していく『レスラーめし』新日本スマホ出張版。今回めしの話をたっぷり聞かせていただくのはタイチ選手です。
2006年から新日本プロレスに参戦、時に小ズルく、時に大胆なヒールファイトで会場を沸かしてきたタイチ選手。2018年からヘビー級に転向、2月にはオカダ・カズチカ選手と地元・北海道のメインイベントで対戦。敗れこそしましたが、ルーツである全日本プロレスの選手を彷彿とするムーブでオカダ選手に負けぬ存在感を見せつけたのは記憶に新しい。
そんなタイチ選手が今回取材場所として指名したのが、川崎市溝の口の居酒屋『鮒忠(ふなちゅう) 溝ノ口西口第一ホテル店』。もう10年以上は通っているという常連も常連。さっそくハイボール飲みながらの取材スタートです。
※このインタビューは3月下旬に収録したものです。
聞き手/大坪ケムタ
撮影/山本正二
協力/『メシ通』編集部
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■何だっけなあの人、名前忘れちまったけど、俺も付き人やってた時代があって、その人に連れられて来たんだよ。
■今回、おじゃましたお店はコチラ!
『鮒忠(ふなちゅう) 溝ノ口西口第一ホテル店』
・住所:神奈川県川崎市高津区溝口2-3-12 川崎第一ホテル溝の口1F
・電話番号:044-856-9987
・営業時間:※2020年4月現在、17時~20時までの短縮営業中。(※通常時は、17時~朝4時まで営業)
タイチ「ここはもう何も言わなくてもオレの好きなもんを出してくれるからさ! まずは馬刺しとカルパッチョ。特に馬刺しはここの自慢の品なんでね。『鮒忠』の何がいいって、こっちが体重絞ってる時は、その辺を気使ってささみの焼き鳥とかにしてくれたりするんだよ」
※これが着席すると「自動的に出て来る」というタイチ選手の前菜セット! 「気まぐれ魚介のカルパッチョ」(580円)、名物の「馬刺し」(1080円)は熊本県産地直送!
――まさにタイチ選手の身体を作っている店なんですね。
タイチ「調子いい時はうな重とか唐揚げまで食べちゃうね。普通の居酒屋メニューに見えて、肉も柔らかくて何度食っても飽きない! オレがこんな褒めるのは珍しいだろ?」
※聖帝も絶賛する『鮒忠』の「とり唐揚げ」(480円)
――たしかに(笑)。ちなみになぜこの店に通うようになったんですか?
タイチ「その話するのか? 酒がマズくなるからしたくねぇんだけどさ……。最初は……何だっけなあの人、名前忘れちまったけど、俺も付き人やってた時代があって、その人に連れられて来たんだよ」
――タイチ選手のプロレスデビューは全日本プロレス、当時は川田利明さんの付き人でしたよね。
タイチ「その頃は365日中360日くらい一緒にいなくちゃ行けなくてさ。彼女でもそんなベッタリしねーだろ! でも新弟子も他にいないし、そういうもんなんだと思ってたら、新日本に移って他の選手に聞いたら『そんな付き人いないよ』って言われてビックリしたよ! そんな昭和の芸能人みたいな付き人やってたのはオレが最後なんじゃねーか」
――川田さんもよく息苦しくないですね(笑)。
タイチ「それがさあ、夜中3時とかにいきなり電話かかってきて、この店に呼ばれるんだよ。もちろん寝てるじゃん。でも怒鳴られてしぶしぶ原付に乗ってやってくると、だいたい後援会の人と一緒にいて『ちょっとおまえ、メシが余ってるから全部食べろ!』って言われたりして。それでがんばって食べると、周りの人は『うわあ、さすがプロレスラー!』って言ってくれるんだけど、要は自分の一声で若手がわざわざやって来て食べるところ見せたいだけなんだよ!」
――先輩っぷりを見せるために(笑)。
タイチ「しかも、それで食べ終わったら『食ったか? じゃあ帰っていいぞ!』って言うんだよ。これはマジだからな。何一つ盛ってない!」
――基本そんな関係の付き人だったんですね。キツイですねえ。
タイチ「あとは自分が飲みに行く時のタクシー代わりだったり、散々だったよ……。ただ、当時オレぜんぜん飲めなかったんだけど、『コイツは飲めないんで』ってブロックしてくれたのはありがたかったね。天龍(源一郎)さん相手にも止めてくれたし。オレが酔っ払ったら自分の用で働かせられないから、かもしれねーけど(苦笑)他にも昔から川田を知ってる人達に言わせれば、歴代の付き人の誰よりも可愛がってるよとか言われたり、一緒にいる時は昼夜と必ず飯食わしてくれたし、ガソリン代だって言って10万20万ポンってくれた事もあったしな。あの人なりには俺の事は可愛がってたのかもしれないな」」
■金払おうとしたら『お代はいいよ』って言ってくれてな。しかも『明日のぶんも持っていきなよ』って、チャーハン持たせてくれたりして
――でもそれをいい機会にタイチ選手は、こちらの『鮒忠』になじんでいったんですね。
タイチ「そうだな。とにかく何でお世話になったかって、その後フリーになって川田の付き人もやらなくてよくなったのはいいんだけど、それから1年くらい全然食えなかった。やっと新日本の別ブランド『WRESTLE LAND』に出れるようになったんだけど、あれも毎月じゃなかったからな」
――タイチさんが邪道&外道と並んで“北海道”を名乗ってた時期ですね。
タイチ「そんなことは忘れろよ! 他にインディー団体にも上がってたけど、それも試合なくて、いちばんひどい時は1ヶ月に1試合、以上! みたいな感じでな」
――タイチ選手にもそんな時代があったんですね……。
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