大好評！ 株式会社カプコンで、『ロックマン』シリーズ、『めがみめぐり』などのゲームのプロデュースを行っている、野中大三さんによるプロレスコラム！

■『釣り★スタ Presents THE NEW BEGINNING in OSAKA』
・2月9日(日)16時～大阪・大阪城ホール
★チケット情報はコチラ！
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※「ロイヤルシート」「1階アリーナ」「1階ひな壇」「2階特別席」は完売となりました。
※「2階指定席」は残りわずかとなりました。

みなさん、こんにちは。
株式会社カプコンでゲームプロデューサーをしている野中です。
札幌二連戦は好勝負連発で盛り上がりましたね！

後藤選手vs鷹木選手のNEVER戦は魂を燃やして命を削る、これぞNEVER！と言える好勝負でした。12年ぶり2度目のシングル対決となったオカダ選手vsタイチ選手はこれからももっと見たいと思える熱戦でした。新日本プロレスの目玉カードがまたひとつ増えましたね。

さて、札幌で熱を増したTHE NEW BEGINNINGシリーズは最終戦の２・９大阪城ホール大会に進みます。
今回はその大阪城ホール大会での“主役”についてゲーム的プロレス論を展開してみます。

■大阪城ホール大会の主役はKENTA選手

ドーム2連戦から一ヶ月後という短期間に設定されたこのビッグマッチで最も話題になっている選手、それは間違いなくKENTA選手でしょう。
1.5東京ドームでの二冠戦後の乱入劇により、大ブーイングの的となったKENTA選手は1.6大田区大会で二冠挑戦をアピールし、翌日1月7日に二冠戦を決定させました。

歓喜の大合唱をぶち壊したことに加え、前例のないタイトルマッチのスピード決定により、ファンの不満は一気に高まり、KENTA選手がその標的となっています。
二冠戦決定後は内藤選手を徹底的に批判し、ファンすらもバッシングする姿勢に会場、SNSでブーイングが殺到、とも言える状況になっています。

本来であれば一定の支持を集めるはずのチャレンジャーの立場にありながら圧倒的ヘイトを集め、対立構図は「とにかく憎たらしいKENATAと、それをやっつけて欲しい二冠王内藤」にしてしまいました。

この対立構図を作り上げた時点で、大阪城ドームの主役はKENTA選手であると言えるでしょう。

KENTA選手が新日本プロレスへの参戦を表明したのが2019年6月9日の大阪城ホール大会です。
二冠挑戦までたった八ヶ月しか経っていません。これは前例の少ないスピード挑戦です。

KENTA選手はこの八カ月間でそのポジションとファンの印象を大きく変えてきました。みなさんの記憶にも深く刻まれていると思いますが、変化の契機となったのは以下の２大会です。

・2019年8月12日　日本武道館
　柴田選手を裏切ってBULLET CLUB入り。

・2020年1月5日　東京ドーム
二冠戦後の内藤選手を急襲して二冠挑戦アピール。

KENTA選手はこの二度の契機で新日本プロレス最大のヒールになりました。
掲げた主張やスタイルをじわじわとファンに浸透させていく変化ではなく、急激に落差の大きな変化を遂げて絶大なインパクトを残しました。

■KENTA選手の変化は“アップデート”

この変化、ゲーム的に論ずると“アップデート”だと言えます。

しかもかなりの大型アップデートです。KENTA選手の主義、方向性の変化を瞬間的な行為によってファンに浸透、理解させているのです。KENTA選手がアップデートされたような感覚を受けますよね。

ここまでのKENTA選手のアップデート履歴を追うと以下のようになります。

●2019年6月9日＝ KENTA 2.0
　柴田選手に呼び込まれて新日本プロレス参戦と『G1』参戦を表明。

●2019年8月12日＝ KENTA 3.0
　タッグマッチで石井選手、YOSHI-HASHI選手を裏切りBULLET CLUB入りを宣言。柴田選手と決別。

●2020年1月5日＝ KENTA　3.1
　二冠戦後に乱入し、内藤選手のマイクアピールを妨害。二冠挑戦の意思表示。

３つの大会どれもが大きな話題となりました。

特にドーム二連戦のエンディングで内藤選手の大合唱をぶち壊してのアピールは大きな反感を買いながらも絶大なインパクトを残しました。KENTA選手にしてみれば「してやったり」の一手です。

この一段飛ばしのメリハリの効いた変化こそアップデートと形容するにふさわしいのです。

しかし、僕が注目すべきと考えるのは変化にメリハリが効いている点だけではないです。
もっとも注目すべきはファンの目線に合わせた変化である、という点なのです。

■アップデートはファンに合わせた変化である。

ゲームは発売済みのものであってもアップデートデータを配信することがよくあります。

アップデートには不具合の修正や新機能の追加などいろんな種類がありますが、どのアップデートにも共通しているのが「ユーザーといっしょにゲームの完成度を上げる」という思想です。

実際に遊んでみたユーザーの「もっとこうした方がいい」「ここはよろしくない」といった声を反映してゲームに変更を加えることで、ユーザーの期待にそったゲームにしていくのがアップデートの意義なのです。

これもまたKENTA選手の変化に通ずるところがあると思います。

KENTA選手はファンの反応を見て行動しています。逆転のヒーローとなった内藤選手の晴れの舞台をぶち壊し、内藤選手の名言を否定し、SNSではファンをつるし上げて攻撃する。

ファンの反応を見つつ、ヘイトを高める行為を繰り広げています。
まさに「ファンといっしょにヒールの完成度を上げる」行為で成果を上げているのです。

アップデートするヒール、これこそKENTA選手がもたらした新時代のヒールフォーマットではないでしょうか。

■アップデートは終わらない

アップデートするヒール、KENTA選手の大一番がいよいよ迫ってきました。

二冠統一戦が史上初なら二冠防衛戦も史上初です。IWGPヘビーもIWGPインターコンチネンタルもKENTA選手にとっては初挑戦のタイトルです。初物づくしで話題盛りだくさんの内藤戦ですが、この二冠戦はもちろんのこと、この先のKENTA選手にも注目しています。

二冠戦でのアップデートだけではなく、二冠戦を終えたあとにも新たなアップデートを見せてくれるのではないでしょうか。

KENTA選手のアップデートはファンを裏切り、想像の斜め上を行くことで作り上げてきました。

ファンといっしょにヒールの完成度をドンドン上げていくKENTA選手に期待せずにはいられません！

■野中大三（のなかだいぞう）
株式会社カプコン　プロデューサー
『ロックマン』シリーズ、『めがみめぐり』などゲームタイトルのプロデュースを行っている。
プロレス観戦歴、ゲーム歴ともに36年。

Twitterアカウントはコチラ！
https://twitter.com/daizonnonaka

●お知らせ
ロックマンシリーズ最新作『ロックマン ゼロ＆ゼクス ダブルヒーローコレクション』
今月発売です！
http://www.capcom.co.jp/rzzxc/

■『釣り★スタ Presents THE NEW BEGINNING in OSAKA』
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※「2階指定席」は残りわずかとなりました。