プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
今回は「ライガー戦はみのる流の“恩返し”!? ラグビーW杯を観てプロレスに危機感!? 10.14両国決戦を大総括!!」
※以下、インタビューの「序盤部分」をWEBで無料公開!
■なぜに、そこまで両者はいがみ合うのか? おそらくビギナーファンの方には当初理解しがたい事態だったかもしれない。
来年の1.4&1.5東京ドーム連戦に向けて、今年度の首都圏最後のビッグマッチとなった10・14両国国技館大会。4大タイトルマッチ(東京ドーム・IWGPヘビー級王座挑戦権利証争奪戦を含む)を目玉に開催された大会であったのだが、想像をはるかに超える試合が生まれた。
言うまでもなく、スペシャルシングルマッチの獣神サンダー・ライガーvs鈴木みのるの因縁試合だ。今回は、最高のインパクトを放ったライガーvs鈴木戦と、メインイベントのIWGPヘビー級選手権の2試合に絞ってレポートしてみたい。
全9戦の第4試合に組み込まれた因縁マッチ。今年4月からスタートした両者の遺恨は、『G1 CLIMAX29』開幕から9・1(日本時間)英国ロンドン大会までは小休止状態であったが、9月シリーズに入ってふたたび火が点いた。
鈴木がライガーのマスクを剥ぐという暴挙に出れば、ライガーは鬼神ライガーに変身して怒り狂った。最後の前哨戦となった10・7後楽園ホールではマイク合戦。
鈴木が「テメェー、いつまでそんなもん被ってんだ! ヤマダー!!」とタブー発言をかますと、「両国は試合じゃねーぞ。殺し合いだ!」とライガーもブチ切れた。
なぜに、そこまで両者はいがみ合うのか? おそらくビギナーファンの方には当初理解しがたい事態だったかもしれない。それでも半年近くも感情剥き出しでやり合っていれば、自ずと2人の長きにわたる特別な関係はネット媒体や専門誌から情報収集できたことだろう。
当スマホサイトでも、依頼を受けて私が鈴木にインタビューを行なった。私は彼らの新人時代をリアルタイムで取材している。ライガー、船木優治(現・誠勝)、鈴木が藤原教室の生徒として1本の線でつながっていたこと。
それを間近で観ていた、いまでは残り少ない記者であるから。まあ、大袈裟にいうなら生き証人ということになるのだろう(笑)。
■10.14両国大会。ライガーが対ヘビー級のバトルライガーのコスチュームで入場してくると、館内は大歓声に包まれた――
これまで何度も書いてきたことだが、新日本プロレス一筋に生きてきたライガーと新日本→新生UWF→藤原組→パンクラスと流転のプロレス人生を歩んでいた鈴木が初めてリングで肌を合わせたのは、2002年11月30日、パンクラスの横浜文化体育館だった。
当初、鈴木の相手は佐々木健介に決まっていた。ところが、健介が怪我を理由に延期を申し入れ、同時に新日本に退団届を出した。もし試合中止となれば、パンクラスは1000万円ほどの損害を被ることになる。
また、度重なる怪我もあって鈴木のなかでは引退の二文字がちらついていたころ。最後に思う存分、若手時代のライバルである健介と闘いたいというのが鈴木の本音でもあった。
そのとき、自己判断で鈴木本人に電話を入れ対戦を直訴してきたのがライガーだった。
「オマエ、絶対引退なんかするなよ。オレでどうだ? 正直ここのところ練習サボっていたけど、残りの時間一生懸命練習していくから。オマエの気持ちを受け止めるから。それにさ、このままだったら新日本が逃げたと思われるから、オレはそれが嫌なんだ」
この言葉を聞いて鈴木は号泣しながら、「お願いします。試合してください!」と返答した。すぐにバリカンを買ってくると頭を丸めた。健介戦を消去してライガー戦1本に絞る気持ちの表れだった。
こうして実現した予期せぬ大一番。結果からいうと、チョークスリーパーで鈴木の激勝(1分48秒)。やはり短期間の練習でパンクラスの総合格闘技ルールの試合に挑むのはライガーであっても厳しかった。
写真協力/週刊プロレス
この1発勝負が、鈴木みのるの運命を変えた。ライガーと交わったことで、ふたたび原点である新日本プロレスの闘いに惹かれた鈴木は葛藤の末、新日本のリングで勝負することを決意。翌2003年6月、新日本マットに登場。プロレス界に完全復帰したのだ。
ところで、パンクラスルールの試合に臨むにあたり、ライガーは特別なコスチュームを用意した。両目の箇所と口の部分を大きく開け、視界を広げ呼吸をしやすくした特注マスク。もちろん上半身は裸で、タイツは総合格闘技仕様のショートタイツ。
いわゆるバトルライガーの特別バージョンだった。
10.14両国大会。ライガーが対ヘビー級のバトルライガーのコスチュームで入場してくると、館内は大歓声に包まれた――。
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