大好評! 株式会社カプコンで、『ロックマン』シリーズ、『めがみめぐり』などのゲームのプロデュースを行っている、野中大三さんによるプロレスコラム!
今回は「オカダvsSANADA戦に見る“4作目の分岐点”」!
こんにちは。株式会社カプコンでゲームプロデューサーをしている野中です。
早いものでこの「ゲーム的プロレス論」も10回目となりました。読んでいただいている皆さん、ありがとうございます。
10月14日(月・祝)の両国大会が迫ってきました。
秋のビッグマッチに相応しい豪華なカードが多数ラインナップされましたね。
今回はその中でも最注目のIWGPヘビー級選手権試合、オカダ・カズチカ選手vsSANADA選手についてゲーム的プロレス論を展開してみます。
■4戦目ならではの正念場
この試合の着目点は「今年4戦目」であることです。
【1戦目】
・3月24日長岡大会
『NEW JAPAN CUP 2019』 決勝戦
〇オカダ[33分07秒 レインメーカー→片エビ固め]SANADA×
【2戦目】
・5月4日福岡大会
IWGPヘビー級選手権試合
〇オカダ[38分03秒 レインメーカー→片エビ固め]SANADA×
【3戦目】
8月3日大阪大会
『G1 CLIMAX 29』公式戦
〇SANADA[29分47秒 ラウンディングボディプレス→体固め]オカダ ×
観返してみると、どの試合も白熱した好勝負です。オカダ選手が2勝1敗と勝ち越していますが、3試合ともどちらが勝ってもおかしくない拮抗した試合でした。
好勝負を繰り返したうえ、『G1』でオカダ選手に勝利したSANADA選手には挑戦資格は十分あります。
しかし、今年4度目の同カードとなると課題も出てきます。
それは「4作目の分岐点」です。
短期間で濃密な攻防を繰り返してきた両者は手の内を知り尽くしています。
そしてそれを知り尽くしているのは両選手だけではなく、ファンも同じです。
今まで以上の何か、今までとは違う何かを求められる試合、それがこの4戦目なのです。
手の内を知り尽くしているがゆえに凡戦になる可能性もある4戦目はまさに正念場なのです。
■ゲームにある「4作目の分岐点」
4作目が正念場になるのはゲームにも共通しています。
人気が出たシリーズは当然続編が作られます。大抵のシリーズはパワーアップした2作目、ある程度の完結を迎える3作目を経由して正念場の4作目を迎えます。
僕は4作目を以下の3つに分類できると考えています。例となるゲームも合わせて挙げてみましょう。
●正当進化タイプ
そのゲームの世界観、システムを過去の延長線上で大幅にパワーアップさせたり、既存システムに合う新規要素を投入するタイプ。
例)
・オムニバスストーリーを導入した『ドラクエⅣ』
・プレイヤー視点を大きく変更させた『バイオハザード4』
・ヨッシーを投入した『スーパーマリオワールド』(実質4です。)
●路線変更タイプ
大きな新規要素を投入し、新展開を提案するタイプ。4作目がその後の路線決定をする分水嶺となるタイプです。
例)
・新主人公を投入した『逆転裁判4』
・完全ダブルヒーローシステムとなった『ロックマンX4』
●ファンサービスタイプ
これまで3作を遊んでくれたファンに向けた要素満載のタイプ
例)
・同シリーズのいろんな遊びを詰め込んだ『星のカービィSDX』
・お祭り的要素満載だった『マリオパーティ4』
そして具体名は伏せておきますが、4作目で終焉を迎えたゲームも数多くあります。
終わってしまう理由、それはシンプルで「飽き」です。
3作目までは勢いがあれば続きます。しかし4作目ともなるとユーザーは冷静に見てきます。どんなおもしろいものも続きすぎるとマンネリ感を生んでしまうのです。その分岐点が大体4作目に該当するのです。
4作目以降続けることができるかは4作目の打ち出し方、結果にかかっているのです。
■オカダvsSANADA戦の考察
話題を戻しましょう。
オカダ選手とSANADA選手の4戦目をゲームの4作目の分岐点3タイプになぞらえて考察してみましょう。
まず、「正当進化タイプ」の場合、ここまでの3試合の延長となります。ドロップキックの打ち合い、レインメーカーとSkull Endを巡る切り替えし合戦のその先を切り拓く展開となります。
逆さ抑え込み、逆上がり式Skull End、ムーンサルト式Skull End、ツームストン合戦…とここまでファンの予想を超える切り替えしを見せてきましたが、その先を見せる戦いが正当進化タイプになります。試合時間は30分を大きく越えて60分近いものになるでしょう。相手のフェイバリットを使うことは見せてきたので、その先の展開となると、レインメーカーとレインメーカーの打ち合い、Skull Endの掛け合い、といったところでしょうか。
いずれにせよ、肉体も魂も削り合う、引き分けスレスレの展開になりそうです。
次のタイプは「路線変更タイプ」です。
これはいろいろと想像が膨らみます。SANADA選手が終盤でリバース・ネックブリーカーを出したり、オカダ選手がオコーナーブリッジを出したりするかも知れません。SANADA選手がレインメーカーを出したことありますが、オカダ選手がラウンディングボディプレスを出す可能性もゼロではないです。
オカダ選手のラウンディングボディプレス…。これが出たらびっくりする路線変更になりますね。
SANADA選手が矢野選手戦で見せるような奇策に走る展開も意外性がありおもしろそうです。
試合スタイルの幅の広さから、このタイプの展開になるとSANADA選手が有利でしょう。
3つ目は「ファンサービスタイプ」です。
ここまでお互いの引き出しを全開にしてきただけに、ファンサービスとなるとそれ以上の引き出しを、となります。
例えば、お互い所属ユニットメンバーの技を使うなど、熱くないでしょうか?
オカダ選手がGTRやカルマを繰り出し、SANADA選手がデスティーノやEVILを繰り出す。
個ではなくユニットの絆も総動員しての決戦はファンが熱狂すること間違いありません。
うーん、どのタイプで考察してみても、熱い試合になりそうですね。
今回はタイトルマッチであることを考えると奇策がフィニッシュにつながることはないでしょう。
しかし、SANADA選手が大阪で出したポップアップ式TKOで終盤の流れを変えたように、勝負のきっかけ作りにはなります。
■ファンの期待を詰め込んだ展開の先の結果は…。
最後に僕の予想です。
削り合いのようなロングマッチになり(正当進化タイプ)、終盤にはSANADA選手がロスインゴメンバーの技を突如繰り出し、流れを変える(路線変更タイプ)。それでも踏ん張るオカダ選手が正調、ローリング式に続く第3のレインメーカーを繰り出し(ファンサービスタイプ)、タイトル防衛!
「4作目の分岐点」の全ての要素を盛り込んだ試合になると予想します!
ちょっとズルい予想になりましたが、この試合はファンが求めるあらゆる期待を実現してくれるポテンシャルを感じるからこそ、こういった予想をしてみました。
決戦の両国大会までみなさんも過去試合を新日本プロレスワールドでおさらいして想像を膨らませて楽しんでください。
果たして、4作目の分岐点はどうなるのか!?
■野中大三(のなかだいぞう)
株式会社カプコン プロデューサー
ロックマンシリーズ、めがみめぐりなどゲームタイトルのプロデュースを行っている。
プロレス観戦歴、ゲーム歴ともに35年。
Twitterアカウントはコチラ!
https://twitter.com/daizonnonaka
お知らせ
ロックマンシリーズ最新作『ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション』
http://www.capcom.co.jp/rzzxc/
■『保険見直し本舗 Presents KING OF PRO-WRESTLING』
10月14日(月・祝)17時~東京・両国国技館
★カード情報はコチラ!
★チケット情報はコチラ!
※「砂かぶり」「2F特別席」「2F指定席」は完売となりました。