• 2019.8.19
  • #Media
【無料公開!】野中大三の『ゲーム的プロレス論』! 今回は「『SUPER J-CUP』とカルチャライズの話」

■日本で生まれた『SUPER J-CUP』が国際仕様としてアメリカに完全輸出される

こんにちは。株式会社カプコンでゲームプロデューサーをしている野中です。

今年も『G1CLIMAX』は最高に熱かったですね。

メンバーが大幅に入れ替わった今年の『G1』は優勝候補者が多く、例年以上にサバイバル感を強く感じたリーグ戦でした。誰が勝ち残ってもおかしくないメンバーの中で勝ち抜いた飯伏選手とジェイ選手の優勝決定戦はスーパーベビーフェイス対スーパーヒールというわかりやすい構図の上に、我々ベテランファンも舌を巻く超絶テクニックの応酬となりました。

両選手ともに初優勝がかかったフレッシュなマッチアップであった点には、令和元年にふさわしい新時代の足音を感じる『G1』だったと思います。

さて、『G1』の次は『SUPER J-CUP』がやってきます。

開幕は『G1』の10日後の8月22日! あっという間にジュニアの祭典の開幕なのです。
3年ぶり7回目の開催となる『SUPER J-CUP』は史上初の全戦アメリカ開催となります。

今回は16選手参加の3Daysトーナメントで、日本人選手は5人。アメリカ、メキシコ、イギリス、オーストラリアと様々な国から選手が参加する国際職の強い大会になりました。

日本で生まれた『SUPER J-CUP』が国際仕様としてアメリカに完全輸出されるのです。メイドインジャパンのコンテンツがアメリカのマーケットで販売され、アメリカのユーザーに提供されることになります。

こういった例はゲーム業界でも多々あり、今も昔もゲームの輸出は頻繁に行われています。今回はコンテンツを輸出する際に発生する「カルチャライズ」という作業の変化について書いていきます。

■カルチャライズとローカライズの違いとは?

はじめに「カルチャライズ」の説明をしましょう。

「カルチャライズ」とは「その国の文化に適した表現に再編集すること」と言ったところでしょう。誤解しやすいのが「ローカライズ」という作業です。ローカライズはほぼ翻訳作業を指します。

カルチャライズとローカライズの違いを例を挙げて説明します。とあるゲームの中でキャラクターが「おにぎり」というアイテムで体力を回復するとします。
この「おにぎり」を「Rice ball」という英語表記に変更するのが、ローカライズです。

しかし、アメリカをはじめ日本以外の国ではおにぎりはあまりメジャーな食品ではないので、体力回復のアイテムにしてもピンと来ません。「これは一体何を食べているんだ?」と疑問に思われます。そこで、「おにぎり」というアイテムを「回復薬(Recovery drink)」や「パン(Bread)」といった違う文化圏の人でもわかりやすい表現に変更するのがカルチャライズです。文化を壁を越えてユーザーにコンテンツを楽しんでいただけるようにするのがカルチャライズという作業なのです。

ゲームもプロレスも長く楽しんでいる僕ですが、近年感じるのが、このカルチャライズの変化です。

どんどんカルチャライズが弱く、緩くなってきているのです。個人的見解が強く入りますが、30年前の1980年代と2010年代を比較してみましょう。

※カルチャライズの対象はあらゆる国と地域ですが、今回は日本とアメリカに絞ります。

1980年代のカルチャライズはこんな感じでしょう。

田口選手は日本だと「たく゛ち」表記ですが、アメリカでは田口という日本名はポピュラーではないため、親しみが持てるようキャラ名が変更されます。読みやすさ優先で「Mr.TAG」あたりが妥当でしょう。

グラフィックもマンガ的表現が好まれる日本と写実的表現が好まれるアメリカでは、顔のグラフィック表現も違うものになるでしょう。日本版では田口選手のひょうきんなキャラクター性を活かしたマンガ絵に、アメリカ版ではマッチョで写実的なイラストになる。これが1980年代のカルチャライズです。

どちらも逆の国では全くウケそうにないですね。

1980年代はこれくらい強いカルチャライズが必要とされている時代でした。
実際の例だと武藤敬司選手がグレート・ムタとしてアメリカで大活躍したことが挙げられますね。当時のアメリカマット市場に見事にマッチしたカルチャライズだったと言えます。

ゲームの方でも好例があります。1987年に発売されたロックマンはアメリカでは「MEGAMAN」というタイトルで、パッケージイラストも日本版とは大きくイメージの異なるものとして発売され、日米ともに大ヒットゲームとなりました。こちらもカルチャライズの成功例と言えるでしょう。

いろんな表現が文化圏によって大きく編集されるカルチャライズですが、ここ数年はめっきり弱くなってきたと感じています。言葉の壁はいつの時代も存在するのでローカライズは大きな変化を感じませんが、カルチャライズについては年々薄味になってきています。

プロレス界だと好例が2名います。中邑真輔選手とクリス・ジェリコ選手です。どちらも日本、アメリカともに同じリングネーム、同じファイトスタイルを選択しています。

ゲーム業界でも、昨今の新作タイトルは世界中で同一タイトルを使用することが多くなっています。

今回、『SUPER J-CUP』に出場する田口選手で表現するとこんな感じです。


はい。何も違いはありません。(※解像度は上げてみました。)

このカルチャライズの変化はズバリ、インターネットの普及が原因です。

今や世界中の人がインターネットを通じて好きな情報を入手することができます。新日本プロレスなら新日本プロレスワールドがまさにそれです。かつて闘魂Vスペシャルを通販で取り寄せていたアメリカのプロレスファンも今やネットでLIVE配信で観戦することができます。

自国に選手がやってくる前にネットでその選手の試合を確認することができるのです。

ゲームの世界も同様です。インターネットで世界中のゲーム情報を手に入れることができるため、ユーザーから率先して情報を集め、適応してくれるのです。気を使って編集をしてしまうと「オリジナルと違うじゃないか」と逆にお叱りを受けてしまいます。

もちろん国家間問題、宗教、人種といった国ごとに大きく捉え方が異なる要素についてのカルチャライズは必要ではありますが、先に挙げた「おにぎり」のような文化的な差異は近年解消しつつあります。

そう、世界はインターネットで本当にひとつになろうとしているのです。プロレスもゲームもインターネットでグローバリゼーションが加速しているのがわかりますよね。

■カルチャライズ不要! アメリカのプロレスファンは『SUPER J-CUP』がどのような大会か知っている

さて、お話を『SUPER J-CUP』に戻しましょう。

7回目となる今大会はアメリカ開催となりますが、アメリカ開催となっても内容を変える必要はないのです。理由はシンプルです。現時点でアメリカのプロレスファンは『SUPER J-CUP』がどのような大会か知っているからです。カルチャライズ不要と言っていいでしょう。それくらいアメリカのファンは過去大会をネットで見て情報を仕入れています。

むしろ、現役バリバリのジュニア選手たちが頂点を賭けて競うトーナメントを生で観戦することにこそ最大の価値があるのです。アメリカのプロレスファンにとって『SUPER J-CUP』というコンテンツがカルチャライズ不要のグローバルIPとして受け入れられているのです。

異なる国のプロレスファンと同じものを楽しめるというのはなんとも素敵なことですよね。

かつては文化の違いはコンテンツビジネスの壁となっていたのに、ネット普及のおかげでプロレスやゲームといった文化で世界の距離が縮まり、コンテンツビジネスのグローバリゼーションはどんどん加速しているのです。

世界をひとつにする文化のひとつ、『SUPER J-CUP』が日本のプロレス界から生まれたことは我々日本のプロレスファンにとって誇るべきことでしょう!プロレスって本当にすごいですね。

さて、世界が注目する第7回『SUPER J-CUP』開催まであとわずかです。

世界最高峰レベルの大空中戦を世界中の仲間たちといっしょに楽しみましょう!

最後に個人的優勝予想を挙げておきます。

●本命=ドラゴン・リー選手
●対抗=石森太二選手
●注意=TJP選手
●大穴=クラーク・コナーズ選手

優勝予想はズバリ、本命のドラゴン・リー選手です! 僕個人では『G1』に続いて予想2連勝なるか!?

■野中大三(のなか・だいぞう)
株式会社カプコン プロデューサー
ロックマンシリーズ、めがみめぐりなどゲームタイトルのプロデュースを行っている。
プロレス観戦歴、ゲーム歴ともに35年。

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http://www.capcom.co.jp/game/content/rockman/30th/

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