■キャラタイプで分析する『BEST OF THE SUPER Jr.26』
こんにちは。株式会社カプコンでゲームプロデューサーをしている野中です。
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ついに『BEST OF THE SUPER Jr.26』の出場選手とブロック分けが発表されましたね。この時期にプロレスファンがすることは優勝予想の一択です。寝食もゲーム作りも惜しんで優勝予想に明け暮れる毎日です。
今年の『SUPER Jr.26』は例年以上に見所が多くて優勝予想も盛り上がりますよね。
最大の見所は何といっても出場選手が多いことでしょう。なんと過去最多の20人!アメリカ、メキシコ、イギリス、オーストラリアと世界中から一流選手が集まり、充実したメンバーだなあと感心していると、土壇場でヤングライオン成田選手と逆輸入ルチャドールDOUKI選手が代打参戦決定!
結果的に、これ以上ない多彩な顔触れがそろいましたね。
メンバーも豪華なら、舞台も豪華です。優勝決勝戦は両国国技館ですからさらに盛り上がりますね。
今回のお題はド定番の『SUPER Jr.』優勝予想ですが、ゲーム業界人らしく、ゲーム的分析をしてみようと思います。選手にゲームキャラクターのようなパラメータを設定して、実際の選手の能力を表現していきます。
パラメータというのは「変数」のことで、ある狭義の指標において明確な数値設定をするものです。
数値で表現することが多いのですが、「あり/なし」のように選択式の変数もパラメータに含まれます。
今回はわかりやすく選択式のパラメータを使って選手をゲームキャラクターのように表現していきましょう。
設定するパラメータは、「スタイル」「攻/受」「ペース」の3つにしました。
まず、「スタイル」というパラメータから説明しましょう。
このパラメータは、選手をファイトスタイルに応じて4つに分類します。
定義するスタイルは下記の4つです。
・テクニックスタイル …卓越されたレスリング技術で相手をコントロールするスタイル
・パワースタイル …力を前面に押し出したスタイルで相手をねじふせるスタイル
・スピードスタイル …素早いフットワークや飛び技を得意とするスタイル
・クレバースタイル …大きな技や派手な技術に頼らず頭脳プレーで試合を制するスタイル
スピードもパワーもある選手は分類が難しいところですが、キャラは個性が大事です。思い切って振り分けてみましょう。メリハリがあった方が個性が引き立ちます。
次に「攻/受」です。
このパラメータは試合運びにおいて、攻めを中心にするのか、受けを中心にするのかの2択とします。
技をガンガン出して試合を組み立てる選手は「攻」に、相手の技を受けながら試合を展開し、終盤で逆転するような選手は「受」に設定します。
最後に「ペース」です。
この指標は試合の進行ペースを表します。スピーディーな展開の試合が得意な選手は「HIGH」を、じっくりとした展開を得意とする選手は「LOW」と設定します。
では、このルールで出場20選手のパラメータ設定をしてみましょう。
パラメータ設定ができました。
ものすごくゲームキャラクターらしくなりました。(こういうプロレスゲーム作りたいなあ。)
遠目で見ると両ブロックにカラーが出ていることがわかりますね。
では、カラーが出たところでブロック別の予想を進めてみましょう。
なお、DOUKI選手は生で見たことがないためパラメータ設定に一抹の不安はあります。
【Aブロック】
スタイルでは「テクニック」と「パワー」が多く、「攻/受」では圧倒的に「攻」が多いですね。
ペースは「LOW」が1人多くなりました。
このブロックの特徴は、「パワー」「攻」「HIGH」の組み合わせになる選手がSHO選手、リー選手、石森選手、鷹木選手の4人もいることです。この4選手がいることでAブロックのカラーは激しい技の応酬による超攻撃型ブロックになりそうです。
他の6選手はこの4選手と戦うことになるので、かなり辛そうです。「受」タイプの選手といえど、超攻撃型タイプ相手の連戦は厳しいと思われます。
ブロック代表候補もその4選手に絞って、そこから先の差を生むのは攻撃力、決定力になると読みます。
そうなると、超攻撃型ブロックのAブロックを突破するのは…、
ドラゴン・リー選手です!
固い予想ではありますが、MSG以降の充実感は頭ひとつ抜けていますからね。ベルトを巻いたまま優勝決定戦にコマを進めると読みました!
【Bブロック】
パワータイプ不在のBブロックは「HIGH」ペース選手が過半数を占めるのが特徴です。
飛び技を得意とする選手が多いことから空中戦主体になる、ハイフライヤーブロックになることが予想されます。
このメンバーで注目すべきは「受」「HIGH」タイプを持つ、YOH選手とBUSHI選手でしょう。
スピーディーな試合展開についていきながらも、派手な飛び技をきちんとさばく受け身の技術を持っている両選手は相性がいい対戦相手が多いと思われます。
下馬評はきっとオスプレイ選手に集中するでしょうが、そのオスプレイ選手を抑えて優勝決定戦に進むのは…、
YOH選手と予想します!
得意の丸め込みにドラゴン殺法が加わったYOH選手は高い決定力を身に着けました。
並み居るハイフライヤーの爆撃を耐えきり、一瞬の隙を突いてフォールを奪ってくれるでしょう。
【優勝決定戦】
僕の予想する優勝決定戦はドラゴン・リー選手vsYOH選手です。
IWGPジュニアヘビー級チャンピオンと、IWGPジュニアタッグチャンピオンのマッチアップとなる決勝は次世代の到来を感じさせるフレッシュな対戦になります。
「パワー」「攻」タイプのドラゴン・リー選手と、「テクニック」「受」対応のYOH選手ペースはファイトスタイルは真逆です。逆といっても水と油ではなく、パズルのピースのようにバッチリかみ合うことでしょう。
持前のパワーで攻め立てるリー選手を、テクニックで受け流しつつチャンスを狙うYOH選手、という構図になりますね。どちらも一撃必殺のフェイバリットを持つだけに緊張感のある一戦になりそうです。
最終的に両国国技館のメインイベントでトロフィーを掲げるであろう選手は…、
ドラゴン・リー選手!!
粘るYOH選手をひらめきのある攻めで押し切ったリー選手が『SUPER Jr.』初優勝を飾ります。
チャンピオンはマークが厳しいので優勝するのは難しいと言われますが、現在のリー選手の勢い、充実感はどんなプレッシャーもはねのける力強さがあります。
ジュニア2冠王となって新日本ジュニアを世界の頂点に引っ張っていってくれる可能性を感じます。
最後に個人的に注目している公式戦カードをご紹介します。
【Aブロック】
■5月24日(金)東京・後楽園ホール
ティタンvsドラゴン・リー
CMLLのルチャドール同士の一戦です。目を見張る大空中戦になること間違いなしの好カードです。
個人的にこのティタン戦をクリアすればリー選手は優勝決定戦進出が見えてくると思いますね。
■5月31日(金)愛媛・アイテムえひめ
石森太二vs鷹木信悟
注目のシングル初対決です。どちらもジュニア離れしたパワーとスピードを持った選手で優勝候補同士の対戦となります。リーグ戦最終戦なので決勝進出がかかる可能性も高い一戦です。
【Bブロック】
■5月14日(火)宮城・仙台サンプラザホール
田口隆佑vsYOH
仙台で宮城県出身の両選手がぶつかります。会場の熱気は異常なくらい高まることが予想されます。テクニシャン同士の対決で試合クオリティも間違いなく高くなる好カードです。ワールド観戦の方は牛タンを食べながら応援しましょう。
■5月30日(木)大阪・大阪市中央体育館・サブアリーナ
ウィル・オスプレイvsDOUKI
Bブロック終盤戦の山場です。おそらくオスプレイ選手は優勝戦線に残っているので、ここをクリアすることがブロック突破の必要条件になるでしょう。
対するDOUKI選手にとって、オスプレイ選手はまさに横綱です。ここで大番狂わせの金星を勝ち取れば下半期の新日本ジュニアに新たな台風の目にもなりかねません。この一戦は決してチャレンジマッチではないです。DOUKI選手飛躍の一戦になる可能性大です。
『BEST OF THE SUPER Jr.26』のゲーム的分析、いかがでしたか?
ゲーム脳の僕はプロレスを見るときにこういった脳内遊びをよくしています。
肉体を極限まで鍛え上げて、高いモチベーションで試合に臨む選手の能力をパラメータといったものさしで測ることはナンセンスかも知れません。しかし、パラメータ設定をすることで見えなかった選手の強みや個性が際立って見えてくることもあります。
ゲーム的分析をしないとYOH選手を優勝決定戦に挙げることはなかったと思いますが、分析を振り返って見てみると案外当たるかも、と感じています。
ゲーム的分析に興味を持っていただいた方はぜひ、みなさんなりのゲーム的『SUPER Jr.』分析をして楽しんでみてください。
いよいよ開幕する『SUPER Jr.』をいろんな角度で思いっきり楽しみましょう!
■野中大三(のなかだいぞう)
株式会社カプコン プロデューサー
ロックマンシリーズ、めがみめぐりなどゲームタイトルのプロデュースを行っている。
プロレス観戦歴、ゲーム歴ともに35年。
忘れられないスーパージュニアは第二回トップオブ~の決勝戦。
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