プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
今回は「『レスリングどんたく』2連戦! 福岡が燃えた“4つのシングルマッチ”を徹底分析!」
※以下、インタビューの「序盤部分」をWEBで無料公開!
■きっと噛み合うだろうという期待感と、両選手の力量に信頼感を持っているからこそのメイン抜擢となったのだろう
5月3日、4日に開催された『レスリングどんたく2019』(福岡国際センター)は両日ともカード編成に試合内容が伴う理想的な2連戦となった――。まず、それが率直な感想となる。
というのも、昨年の2連戦を思い起こしたときカード編成がやや偏ってしまったせいか、2日目の盛り上がりに比べて、初日が今一つと映ってしまったからだ。
昨年、初日(5.3福岡)のメインカードはケニー・オメガvsハングマン・ペイジで、セミファイナルがCodyvs飯伏幸太のスペシャルシングルマッチ。つまり、BULLET CLUBの内紛劇に焦点を当てたマッチアップだった。
2日目(5.4福岡)のメインはオカダ・カズチカvs棚橋弘至のIWGPヘビー級選手権で、セミがウィル・オスプレイvsKUSHIDAのIWGPジュニアヘビー級選手権。
絶対王者・オカダの防衛新記録であるⅤ12を阻止するために、Ⅴ11の記録で並ぶ棚橋が挑むという極上カード。さらに、ジュニアのタイトル戦もテッパンの顔合わせである。
結果的に、満身創痍の棚橋はオカダに完敗を喫した。切なささえ感じる壮絶な結末。また、ジュニア黄金カードはゲスト解説の獣神サンダー・ライガーが、「ボクがいままで見てきたジュニアの試合のなかで一番でした。本当に最高の試合だった」と総括するほど素晴らしい内容を残している。
2連戦を終えて、テレ朝スタッフ、実況陣による感想はみんな一致した。
「IWGPジュニア戦を初日のメインに持ってくれば、もっと盛り上がっただろうね」
おそらく、新日本サイドも同様の思いを抱いたのではないだろうか? あれから1年、初日のメインイベントを飾ったのは、IWGPジュニアヘビー級選手権だった。しかも、冒険的なカード。4.6米国ニューヨークMSG大会の3WAY戦(石森太二vsドラゴン・リーvsバンディード)でバンディードを破り新王者となったリーに前王者の石森が挑む。
冒険的と書いたのは、オスプレイvsKUSHIDA戦のようにテッパンとはまだ言えないため。というのも、シングルマッチでは初対決となるからだ。それでも、きっと噛み合うだろうという期待感と、両選手の力量に信頼感を持っているからこそのメイン抜擢となったのだろう。
■極めて鈴木軍らしくない、このエンディングシーンがタイチの充実ぶりを象徴していた
果たして、初日の盛り上がりっぷりは予想以上だった。まず、セミに組まれたジェフ・コブvsタイチのNEVER無差別級選手権が好勝負となった。こちらもシングル初対戦だから、どういう展開になるか予測不可能な顔合わせ。
この試合はタイチしだい。キャリアでコブを上まわるタイチが、どういう戦法で勝負するのか? ノラリクラリでいきつつ、ピンチに陥ったら鈴木軍の同志を乱入させる常とう手段も考えられる。
たしかに序盤はノラリクラリと相手を透かしつつ、セコンドの金丸義信が介入したり、ディーバのあべみほをうまく利用したりと、小狡さ全開。ところが、中盤から真っ向勝負となった。
コブの“スープレックスパーティ”から危険なジャンピング・パイルドライバーで勝負あり。そうだれもが思ったところで、タイチは歯を食いしばってキックアウトする。
顔面へのジャンピング・ハイキック、急角度バックドロップと一歩も退かない。まるで師匠の川田利明が乗り移ったかのようだ。かつて全日本マットで激闘を繰り広げた“デンジャラス対決”川田vsスティーブ・ウィリアムスを見ているような錯覚にもとらわれる。
結局、ツアー・オブ・ジ・アイランドを完封したタイチが、自らのフィニッシャーであるブラックメフィストで3カウントを奪取。 半年ぶりにNEVERのベルトを手にした。
試合後、不思議な光景が見られた。鈴木軍がリングに集結する。みんなが笑顔。タイチはもちろんのこと、ボスの鈴木みのるも満面の笑み。そこで観客に向け悪態をつくわけでもないし、マイクアピールをするわけでもない。無言で集合写真に収まる。
まるでタイチのひとり立ちを祝っているかのようにも見えた。極めて鈴木軍らしくない、このエンディングシーンがタイチの充実ぶりを象徴していた。
■あのときのシングルマッチも噛み合った。互いに師である天龍源一郎と川田が被って見えた
タイチは初防衛戦の相手に『NEW JAPAN CUP 2019』2回戦(3,13岡山)で敗れている石井智宏を指名。6.9大阪城ホールでのタイトルマッチが決定した。
あのときのシングルマッチも噛み合った。互いに師である天龍源一郎と川田が被って見えた。もちろん、全日本プロレスを天龍同盟が席捲していた時代の2年半、天龍と川田は師弟関係にあった。不思議な縁だ。
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