• 2019.4.28
  • #Media
『YOUはどうして新日本へ?』今回はランス・アーチャー(後編)!「“ボス”鈴木との衝撃の出会い! スミスJr.との本当の関係は? “帝王”高山との秘蔵エピソードも披露!」

大反響! 外国人選手専門インタビューコーナー『YOUはどうして新日本へ?』に、鈴木軍からランスアーチャーが登場!(後編)

今回は、アメリカン・サイコが語る“ボス”鈴木みのるとの出会い、“パートナー”デイビーボーイ・スミスJr.、そして“帝王”高山善廣との秘蔵エピソードとは?

聞き手/鈴木佑
通訳/MIZUKA
撮影/山本正二

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※以下、コラムの「序盤部分」をWEBで無料公開!


■2007年、俺のキャリアにとって重要な出来事があった。ボスである“スズキサン”との出会いだ


――さて、アーチャー選手が日本へ初来日したのは2007年8月18日、インディー団体の『MAKEHEN』のリングでしたね。

アーチャー イエス。その“マケヘン”だな。当時、TNAに在籍しているときにオファーを受けて、初めてジャパンのマットに上がった。会場は小さかったが(新木場1st RING)、このときに俺のキャリアにとって重要な出来事があった。ボスである“スズキサン”との出会いだ。

――なるほど。このとき、あなたは橋本友彦選手&佐々木貴選手と組み、鈴木みのる&NOSAWA論外&MAZADA組と対戦しています。初めは敵としての出会いだったわけですが、鈴木選手の第一印象は?

アーチャー 非常にスリリングなものだった。俺はスズキサンに捕まったパートナーを助けるために、キックでカットに入った。しかし、それでもスズキサンは離さず、俺をギロッとにらんだ。その瞬間、こんなに身体の大きな俺が思わず小声で「アイム・ソーリー……」とつぶやき、コーナーにすごすごと戻っていたんだ(苦笑)。

――ランス選手が謝りたくなるほどの怖さでしたか。

アーチャー べつにスズキサンは怒りをあらわにしたわけじゃなく、ただ眼光をコッチに向けただけなのに、背筋がゾッとしたよ。まさに“ストーンフェイス”(冷たい無表情)だ。俺はスズキサンがどういうバックボーンを持ち、どういうキャリアを歩んできたのか、その時点では知らなかった。あとで「あの男はいったい何者なんだ?」と気になって調べて、とてつもない“ウォリアー”(戦士)だと知ったんだ。

――畏敬の念を抱いたわけですね。その後、あなたは08年にビッグバン・ベイダー(元IWGPヘビー級王者。80年代後半から90年代前半にかけて新日本のトップ外国人として活躍)の日本での興行『ベイダータイム』参戦を経て、09年2月には全日本プロレスに登場しています。

アーチャー イエス。オールジャパンはベイダーの紹介で、“ブードゥーマーダーズ”(全日本を席巻したヒールユニット)のメンバーとして1シリーズだけ参戦した。そのときにスズキサンもオールジャパンに上がっていたのは、いま考えると運命的なものを感じるな。

――鈴木軍の結成以前に、何度か接点があったわけですね。アーチャー選手はアメリカ以外の国でプロレスをしたことがなかったということですが、日本のリングを経験して何か思ったことは?

アーチャー そうだな。当時の俺はジャパンのレスリングシーンを知らなかったし、来たいと思ったこともなかった。でも、来日するたびに世界の広さを痛感したし、この国のこと、この国のプロレスがどんどん好きになっていった。自分のプロレスに対する考えがどんどん変わっていくのがわかった。「TNAだけがプロレスじゃないんだな。もっといろいろなものが見たい」と突き動かされるものを感じたんだ。

■WWEに入団したある日、俺はジョニー・エースに呼ばれ「いまから髪を切ってくれ。そのヒゲもだ」と突然言われたんだ


――この後、あなたは09年2月にTNAを退団し、今度は世界最大の団体であるWWEに入団します。

アーチャー イエス。ジャパンで刺激を受けた俺は、来日中にホテルからTNAのプロデューサーに連絡して退団することを告げた。その後、アメリカに戻ってTNAで最後に一試合したとき、ニュージャパンからナイトー(内藤哲也)とユージロー(高橋裕二郎)が来ていたのをなんとなく覚えている。

――たしかに内藤選手と裕二郎選手のNO LIMIT は09年2月からTNAに参戦していますね。このときのWWE入りの経緯というのは?

アーチャー 当時のWWEのファーム団体であるFCW(フロリダ・チャンピオンシップ・レスリング)にトライアウトを受けにいったんだ。プロデューサーたちが見ている前でテストマッチを3試合やり、そのあとは「5分間、マイクでしゃべってみろ」と言われ、とにかく大声でがなり続けてやった。「Everybody Dies!!」って感じでな、ハッハッハッ!

――まさに入場曲のように(笑)。

アーチャー まあ、ナーバスになるテストではあったが、その一週間後には契約書が届き、09年の4月からFCWで新たなキャリアがスタートした。そして、数カ月経ってから“メジャー昇格”だ。当時のFCWにはヨシタツがいて、WWEに上がり始めたのも似たような時期だった。

――WWEでは『ロウ』、『スマックダウン』に続く三つ目のブランドの『ECW』所属となりましたが、世界最大規模の団体のリングはいかがでしたか?

アーチャー ビッグ・カンパニー……、その一言だな。俺もようやくプロレス一本で十分食べていけるようになった。しかし、環境を取り巻くルールがもの凄く厳しく、そこは自由が少ないリングだったんだ。

――そういえばWWE時代のアーチャー選手は短髪でしたが、それも会社の意向ですか?

アーチャー フフフ。おもしろい話をしてやろう。ある日、会場でビンス・マクマホン(WWEのオーナー)とジョニー・エース(80年代後半から90年代に全日本プロレスで活躍した元レスラー。現在はWWEのエグゼクティヴ)が何やら話し込んでいた。そのあと、俺はジョニーに呼ばれ「いまから髪を切ってくれ。そのヒゲもだ」と突然言われて、会場にあるメイクルームであっという間に別人のような風貌になったんだ。

――本当ですか……。そんな突然の話に対して、抵抗はなかったですか?

アーチャー 正直、自分が大切にしていたものを取り上げられた気分だったよ。

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