12月12日(水)東京スポーツ新聞社制定のプロレス大賞選考会議が行われ、2018年度プロレス大賞・最優秀選手賞・MVPに、4年ぶり4度目の受賞となる棚橋弘至選手が選ばれ、新日本プロレス事務所にて記者会見を行った。
また、ベストバウト賞には、6月9日(土) 大阪城ホールで行われたIWGPヘビー級選手権試合・(王者)オカダ・カズチカvs(挑戦者)ケニー・オメガ戦、技能賞は内藤哲也選手が受賞した。
■選考理由(※東京スポーツ・岡本記者から説明)
「今年のMVPの選考には、棚橋弘至選手、ケニー・オメガ選手、オカダ・カズチカ選手の3選手が候補に挙がり、棚橋選手を推す声としましては、『G1 CLIMAX』での奇跡的な復活優勝。『もう復活はできないんじゃないか』と思っていたファンを歓喜させたリング上での活躍。さらに、映画の主演、NHKの『クローズアップ現代+』やTBSの『情熱大陸』など人気番組など、メディア露出を積極的に行いまして、プロレスの枠を超えた認知度を高めたということ。プロレスの社会的を向上させ、レスラーとしての活動の広さを証明した。日本のプロレスを広めるために尽力して、プロレスの面白さを全国、そしてまだファンではない人たちに伝えた業界への貢献の高さがズバ抜けていたという評価を受けまして、棚橋選手が一度目の投票で23票中18票を獲得して、MVPに選ばれました」
■棚橋弘至選手のコメント
「2018年、プロレス大賞MVPをいただきました棚橋です。『G1 CLIMAX』の決勝からすごく自分でも話題の中心にいるなっていう手応えを掴んで、権利証を巡る闘いであったりとか、ドームに向けて話題を振って期待感を高めていくっていうことができたのがとても評価されて良かったです。プロレスをいかに観たことがない人に届けるかっていうのを常々思っていて。気付いたことがあって、社会的な一般的な知名度が観客動員と比例すると。これは金曜8時に『ワールドプロレスリング』の中継があって、お茶の間で家族で『ワールドプロレスリング』を観てるっていうことは、猪木さんを知ってて、長州さんを知ってて、藤波さんを知っててっていう知ってる選手が近くの体育館に来るんだという流れが昔あって。でも、それは変わらないんだろうなと。知ってる人が近くに来ると。ならば、棚橋がやらないといけないことは、もっと有名になることだと。なので、チャンピオンになった2006年以降、最後メインイベントを締めて、リング上でマイクを持つことも多かったですけど、『今日はありがとうございました』と。『愛してま~す!』とエアギターをやるほかに、必ず言い続けてきたことがあって。ホントにファンの方にしてみたら、『なんでそんなこと言ってるんだ?』って思ってたかもしれないですけど、『クソ有名になります!』ってリング上で言い続けてきて、今年、自分が思ってたこと、願っていたことが成就した年だったと思います。まだ道半ばですけども、映画主演、そのプロモーション100件を超えて、扱ってもらえる媒体は1000件を超えて、情熱大陸という番組でプロレスラーっていうのはどういうものなのかというものを丁寧に、一般視聴者層に伝えてもらえたのがすごく大きかったですね。その放送後に日本全国巡業で回って、あちこちで声をかけられることも多くなって良かったなと。いまね、ビジネス界でインフルエンサーって、有名な方が広めてくれるっていうような言葉ありますけど、ホントに誰か有名な方が『プロレス、面白いよ』って言ってくれないかなっていう他力本願に思ってやっていた時もあったんですけど。『だったら、俺が有名になればいいじゃん!』ということで頑張ってきて良かったです。特に今年のMVPは全然予想してなかったので、驚きとともに嬉しく思います。ありがとうございました」
■質疑応答
岡本記者「今年のMVPは全然予想してなかった」という言葉もありましたが、それはIWGPというものが手に入っていないからですか?
棚橋 選考基準も時代とともに少しずつ変化してきてるのかなと。プロレスっていうものは、ボクの中でまだ動員も増えてますし、いろいろプロレス以外の広まりも増えてきましたけど、マイノリティであることには違いなくて。で、そのマイノリティであるがゆえのファン同士の密度の濃さ、プロレスに対する熱っていうのはすごく感じられるジャンルなんですけど。だからこそ、プロレス大賞なんだから、プロレスに特化した部分で評価する賞でもあるのかなというところがあって。でも、今回その選考の加点に一般層へプロレスを広めたっていう部分を評価してもらえたのが、プロレス大賞の在り方も少しずつ変わりつつあるのかなと思いました。
岡本記者 棚橋選手は2009年、2011年、2014年に続いての4年ぶり4度目のMVPですが、4回というのは、1位のアントニオ猪木さんの6回に次いでの2位タイとなっており、天龍源一郎さん、武藤敬司選手と並びましたが。
棚橋 オッ! すごいところに入ってきましたね。
岡本記者 上にはアントニオ猪木さんしかいないという状況になりましたが。
棚橋 オカダも内藤も、2年連続で獲ってるんですよね。で、そういうところを考えると、ボクが2年連続で獲ってないんですよ。なので、2018年MVPということは、“平成最後のMVP”という冠がつきますし。元号をまたいで、新しい元号一発目のMVPを獲れば、最初のMVPみたいなね。そして、2年連続も叶うということなので、2018年予想してなかったと言いましたけども、2019年はのっけから獲りにいきます。
岡本記者 やはり、2つの元号をまたいでこそ、“100年に一人の逸材”だと。
棚橋 そうですね。元号またぎ、“100年に一人の逸材”感が増してきますので。
岡本記者 1つや2つはまたがないと。
棚橋 そうですね。あと2つはまたぎますよ(ニヤリ)。
岡本記者 平成最後の夏男に輝きましたし、苦しい時代を経てV字回復をはたすという棚橋選手のレスラー人生そのものも平成のプロレス界と重なる部分も大きかったのかなという風に思うんですけど、今回、平成最後のMVPに輝いたことに関しては感慨深いものがありますか?
棚橋 よくファンの方とか、『苦しかった時代に……』とか言いますけども、やってるプレイヤー側としては、それほど思ってなくてね。とにかく、一生懸命プロレスをやってたし、それが楽しくなかったかどうかって言われたら、毎日、好きなプロレスをできて楽しかったし。でも、自分が楽しんでるものを人に共有してもらう。一緒に楽しんでもらうってことがもっと嬉しいことだってわかったし。この平成の流れイコール棚橋の流れというか、棚橋を通して新日本プロレスを見てもらえてたのかなっていう自負はあります。
――40代になって、初めてのMVPということだと思いますが……ちなみに岡本さん、過去に40代のMVPの受賞者というのは?
岡本記者 40代ですか。最近ですと、三沢(光晴)選手ですとか、武藤(敬司)選手ですとかは40代超えての受賞者はいらっしゃいますね。
――なるほど。あらためて、棚橋さん。40代を迎えたあとでのMVP受賞の感慨は?
棚橋 ん~。そうですね。あの、ファンの方にも心配されることと言ったら、「棚橋のコンディションは大丈夫か?」というね、不安要素が常にあるんですけども。そんなね、みなさんが心配してくれるほど悪くないんですね。なんでかって言うと、今年の『G1 CLIMAX』長いシリーズを闘い抜けたっていう自信もあるし、いい時の記憶にひっぱられるクセもあったんですけど。今年の『G1 CLIMAX』で「いまの自分をシッカリ受け入れて、できる技で、できる動きでどう試合を展開していくか?」というところに気持ちを切り替えられたんで。コンディションが悪い、というのはマイナス要素ではあるけども、不安要素ではないと。
――40代という年齢を超えてという部分はとくにはないですか。
棚橋 ああ~。そうですね。ま、“太陽の天才児”と言われてひさしいですけども。ホントに太陽が昇っていく時期もあったんですけど、洛陽だったんですね。斜陽というかね。そういうさびしさをファンの方も感じていたかもしれないですけど、太陽はね、めぐりますから。もう一回、上がらせてください。がんばります(ニッコリ)。
――来年もMVPを獲るためにも、東京ドームに勝つことが大事ですけど、意気込みや思いを聞かせてください。
棚橋 そうですね。あの~、1月4日東京ドームでね、ケニー・オメガとIWGPのベルトを掛けて対戦しますけど。まあ、いろいろとね。戦前、対戦カードが決まってから言い合ってますし。これからね、さらにヒートアップしていくのは間違いないんですけども。なんか、ケニーの言い方だとね、「棚橋は古い」とか。そういう言い方で言ってるんですけど。なんかね……、IWGPを巻いたら、新しい扉が開かれるような気がしてます、ハイ。ええ。具体的には何もないですけど(笑)。
岡本記者 なんですか、その言ってみたかった感は(笑)。
棚橋 ハハハ。とりあえず扉だけは、開きます。
岡本記者 ゴロは凄いよかったですけど。
棚橋 ねえ。見出しにはなりそうですけど、本文読んでガッカリみたいな(笑)。
岡本記者 ハイ。それでは、これにて2018年のプロレス大賞MVP、棚橋選手の会見を終了させて頂きます。
※報道陣から拍手
棚橋 あ、最後に! 4回獲らせて頂きましたけども、いままでの中で一番うれしいです。ありがとうございます!
■ベストバウト受賞:オカダ・カズチカ選手のコメント
「ありがとうございます。ベストバウトを何度も受賞しているので、殿堂入りしてください」
■ベストバウト受賞:ケニー・オメガ選手のコメント
「2年連続で俺たちがやってのけた。1年半で4試合戦って俺とオカダの物語は終幕を迎えたような感慨すらあるが彼とはいつかまたやりたいね。彼こそが俺をベストな状態にまで押し上げてくれてたし、共に特別なことを成し遂げることができた。古典的な新日本のスタイルと予想できない新しさとを組み合わせて先へ先へと進んだんだ。レッスルキングダムでのイデオロギー闘争で、プロレスのあらゆるスタイルが共存できることを明らかにしてみせるよ」
■技能賞受賞:内藤哲也選手のコメント
「東京スポーツ新聞社制定『2018年度プロレス大賞』技能賞ということで…てっきり、ファミレスでの食い逃げの技術が評価されたのかと思いましたよ。選考理由として『話題の発信』や『マイクパフォーマンス』を挙げていただけたのは嬉しいですが、出来たら『ファミレスでの食い逃げ方法のレパートリー』も評価してほしかったっすね。東京スポーツ新聞社様には、引き続き来年も我々”LOS INGOBERNABLES de JAPON”の聖地であるファミレスに招待することをお約束しますよ。緊急招集がかかるその瞬間まで、tranquilo‼ 焦らずにお待ちください。アディオス」