株式会社カプコンで、『ロックマン』シリーズ、『めがみめぐり』などのゲームのプロデュースを行っている、野中大三(のなかだいぞう)さんがプロレスコラムを特別寄稿!
イッテンヨンは人気ゲームの続編発売日!? プロレス観戦歴35年のゲームクリエイター視点から観た東京ドーム大会の魅力とは?
■イッテンヨンは待望の続編発売日
こんにちは。はじめまして。ゲーム会社カプコンでゲームクリエイターをやっている野中大三です。
プロレスファン歴、ゲームファン歴ともに約35年。プロレスとゲームに人生を豊かにしてもらっています。
ゲーム好きが高じてゲームクリエイターになった僕が、プロレス好きが高じてここにコラムを書かせていただく機会をいただきました。ゲームクリエイターがどんな目線でプロレスを楽しんでいるのか、ちょっと変わったその楽しみ方をご紹介したいと思います。
イッテンヨン東京ドーム大会まであと1ヶ月を切りました。イッテンヨンは言わずと知れた新日本プロレスの年間最大のビッグマッチ。そしてお正月の恒例大会ですよね。
このイッテンヨン東京ドーム大会をゲーム的に解釈すると、期待の続編発売日、と言えるでしょう。
続編というものはそもそも前作がユーザー(プロレスで言うところのファンにあたります。)に認められた証拠であり、シリーズが長く続くということは誇るべきものです。30年も継続している東京ドーム大会はその開催年数がファンに支持されている何よりの証と言えるでしょう。(弊社の『ロックマン』シリーズも今年30周年なんですよ!)
僕は毎年、イッテンヨンを人気ゲームの続編発売日のような楽しみ方をしています。
続編に期待される要素とは何でしょうか。
それは期待に沿う「正当進化」と、予想を超える「新要素」の2大要素と言えます。前作を遊んでくれたファンが納得できる楽しさが「正当進化」であり、前作にはなかった新たな価値の投入が「新要素」です。
この2つの要素を両立させることで続編は名作となり、さらに次回作につながっていくのです。
イッテンヨンもこの2大要素は常に求められてきました。
今年のイッテンヨンではオカダ・カズチカ選手vs内藤哲也選手、ケニー・オメガ選手vsクリス・ジェリコ選手がまさに「正当進化」と「新要素」だったと言えます。
2014年の同カードからの試合内容の進化に加え、盤石な王者となったオカダ選手の進化、制御不能となった内藤選手の進化も問われたこの試合は、両選手のあらゆる過去を超えるまさに「正当進化」を期待させました。結果、この試合は見事にその期待に沿った名勝負となりました。
一方、クリス・ジェリコ選手は久しぶりの新日本マットへの登場で、もはや初参戦と言っていい存在でした。
まさに「新要素」です。対戦相手のケニー選手はベストバウトマシーンとして壮絶な試合をいくつもこなしてきました。初対決となる2人の試合は一体どんなものになるのか、予測できない楽しさがありました。結果、この試合は予想を超える破天荒なエクストリームマッチとなり、僕たちファンのド肝を抜いてくれました。その後、ジェリコ選手はインターコンチネンタルを追ってスポット参戦を果たし、来年のイッテンヨンでは内藤選手と防衛戦を行うことになったので「新要素」が定着した、とも言えますね。
今年のイッテンヨンでは「新要素」だったジェリコ選手が次のイッテンヨンでは「正当進化」を問われる要素となっています。このあたりもゲームの続編とそっくりなのです。
続編発売日というと、その発売日までゲーム情報を追うのも楽しみのひとつです。
少しずつ公開されるゲーム情報を頼りに、続編がどんな内容になのか予想することを楽しみます。これが発売前の醍醐味なのです。イッテンヨンは今がまさにその予想を楽しむ期間と言えます。
イッテンヨンは現時点で5試合が決定カードとして発表されていますが、これからどんな追加カードが発表されるのか楽しみでなりません。
NEVER無差別級は後藤選手と飯伏選手のタイトルマッチが決定しましたが、まさかの東京ドーム前決戦でした。この結果次第でNEVER無差別級のカードが決まりますが、どんなカードになるのか予想もつきません(※この原稿は12月7日時点に執筆されたもの)。
IWGPタッグ戦は現在開催中のワールドタッグリーグの結果がきっと反映されると思いますが、ジュニアタッグのように3WAY戦、はたまたそれを超える4WAY戦になる可能性も秘めています。
USヘビー級戦やNEVER6人タッグ戦もきっと組まれることでしょう。
更に気になるのが「新要素」の追加でしょう。これまでになかった新しい戦い、新しい展開の投入です。
昨年はジェイ・ホワイト選手が凱旋帰国を果たし、その後CHAOS、BULLET CLUBと渡り歩いて新日本マットをひっかき回しています。この「新要素」が生まれたのが2018年のイッテンヨンでした。
次回のイッテンヨンもやはり新要素の追加を期待せずにいられないのがゲーム脳を持った僕の見方です。
初参戦の選手や、欠場中の選手の復帰、現在タイトルマッチに絡んでいない選手の決起などを候補に上げると、いろんな新展開が想像できそうです。
ニュージャパンランボーやガントレットマッチといった東京ドーム大会ならではの試合形式も出てくるかも知れませんね。どちらも初お披露目の大会では結構な衝撃を受けました。こういったドキドキハラハラ感こそが新要素ならではと言えるのです。
来年のイッテンヨンもぜひ「新要素」の投入を期待しましょう!
開催までの期間、未発表のカードを予想し、発表されたカードはその試合結果を予想する。試合結果だけではなく、その先の1.5後楽園大会や来年のカードまで予想しまくる…。
そして迎えるイッテンヨン当日は予想したことも忘れて夢中で試合観戦をする、というのが僕の楽しみ方です。予想通りでも楽しいし、予想外でもこれまた楽しい。
結局、予想できること自体が楽しみのひとつなんですよね。
開催までのドキドキ感はまさにゲームの続編を待つドキドキ感と同じなのです。
次のイッテンヨンはどんな「正当進化」と「新要素」を見せてくれるのか楽しみでなりません!
開催までの期間、どんな大会になるのか予想をしてイッテンヨンをもっと楽しみましょう!
■野中大三(のなか・だいぞう)
株式会社カプコン プロデューサー
『ロックマン』シリーズ、『めがみめぐり』などゲームタイトルのプロデュースを行っている。
プロレス観戦歴35年。現在の好きな選手はエル・デスペラード選手。
※お知らせ
『ロックマン』30周年特設サイト
http://www.capcom.co.jp/game/content/rockman/30th/
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