8月31日(金)、東京・後楽園ホールで『TAKAYAMANIA EMPIRE』が開催された。今大会には昨年5月に頸椎完全損傷と診断され、現在はリハビリに励んでいる“帝王”高山善廣を支援すべく、タカヤマニア実行委員会の呼びかけにより本人と縁のある多くの団体・レスラーが参加。
新日本プロレスで戦う選手たちも参戦し、高山の回復を願って熱い戦いを繰り広げた。
■「高山善廣、早くこのリングに戻ってこい!」永田裕志が熱いメッセージ!
第5試合では「新日本プロレス提供試合」として、永田裕志&成田連組と天山広吉&海野翔太組が激突。2000年代前半、IWGPヘビーのベルトを巡る戦いを中心に高山選手としのぎを削った永田と天山が、それぞれヤングライオンの成田と海野を引き連れて対峙した。天山組はセコンドとして、9.9東金での復帰戦を控える小島聡を帯同。
先発には永田と天山が登場し、重厚なレスリングを展開。打撃戦では天山がモンゴリアンチョップの連発でダウンを奪う。海野も果敢にエルボーを見舞うが、永田は鋭いキックでその勢いを止め、成田と共にダブルのショルダータックル。だが、負けじと海野は成田にキレのあるエルボーからドロップキックを炸裂。
今度は天山組が成田にダブルのショルダータックルを繰り出し、そこから天山がヘッドバット、フライングニールキックとたたみかける。タッチした海野は成田をボディスラムで叩きつけると、相手コーナーの永田に強烈なエルボー。カッとなった永田は思わずパイプイスを手にエプロンに上がる。
さらに怒りの収まらない永田は劣勢の成田に対し、「立て!」と檄を飛ばしながらストンピング。これで奮起した成田は天山にカウンターのドロップキックを決め、ようやく永田とスイッチ。永田は気合を入れると天山に左ミドルを連発。天山がマウンテンボムを決めれば、すかさず永田もエクスプロイダーを炸裂。だが、永田を強く意識する海野がスパインバスター、ミサイルキック、逆エビ固めと一気呵成に攻め込む。すると成田も意地を見せるように、海野に対してフロントスープレックスで華麗な弧を描く。
両チーム、一進一退の攻防の中、海野は丸め込みの連発で永田を慌てさせ、さらに張り手の連打で場内をわかせるが、永田も強烈な張り手で徹底抗戦。そして左ミドルで海野の動きを止め、最後は伝家の宝刀バックドロップホールドでフィニッシュ。
試合後、永田はマイクを握ると「高山善廣はいまから16年前、新日本プロレスにたった一人で殴り込んできました。“帝王”という何恥じぬ驚異的な選手で、僕らは何度もピンチにさらされました。そんな高山善廣の本当の強さを知っています。必ずこのリングに戻ってくると信じています。高山善廣、早くこのリングに戻ってこい! もう一回、彼と試合がやりたいです」と熱いメッセージを送り、最後は復帰を祈願して「1、2、3、ゼア!」と敬礼ポーズ。
●以下は試合後の選手コメント。
永田「高山善廣は一度倒しても、また立ち上がってくるという強さがあって。彼との戦いというのは、当時の新日本本流のストロングスタイルというか、魂をぶつけ合う殴り合いが本当にできていた気がします。いまから6年くらい前に『G1』でやりましたけど、へんなところで共鳴しあうというか、高山選手は新日本じゃないんだけども、そういう部分でもしかして近いのかなと思えるような戦いができたのを覚えてます。
彼ならあたりまえのようにベッドから起きて、堂々と胸を張って大股開きで彼らしくリングに上がってくるんじゃないかなって。それを本当に心から願っています。こんなことを言ったら、『あたりまえじゃねえか。裕志、黙ってリングを磨いて待ってろ』なんて言うかもしれないですけど。だからこそ、今日は新日本の戦いっていうのをリングで披露したつもりです。
僕はまだまだ10年、20年、30年、健在でいますんで、高山善廣、もう1回やろうよと。彼とはシングルで2勝2敗なんで、決着つけようよ。いまはそういう思いでいっぱいです。彼なら『オマエなんかに言われなくたって、俺は堂々とロープをまたいでやるから』って、きっとそう思ってるはずです。それを楽しみにしています」
――2002~03年、新日本は永田時代と高山時代が同時進行していたように思うが、そういう意識は?
永田「ありましたよ。選手が抜けて(大量離脱して)、30周年を迎えたとき、僕が本流として、彼は強大な外敵としてね。02年と03年の5月の東京ドームのメインでやったから。当時期待してくれた大衆に対して、しっかり戦いというものを見せた。それがあったから新日本は生き残って、いまの隆盛をまた迎えられたと思ってます。あのとき、俺であり高山が堂々とメインで戦ったことが、新日本の根底の土台となって、いまがある。そういう自負があります」
成田「高山さんは僕がプロレスをやる前から凄い選手だってことは知っていたので。その選手のために今日は試合ができて凄く光栄です」
天山「翔太、まだまだ! デビューして1年? 2年? ここから、ここから! 伸びしろ、どれだけあると思ってんの! 彼はこれからの新日本プロレス、日本の、いや世界と言ってもええわ。それを背負って立つような男やしね。このルックス、負けん気と根性と……、いきますよ、彼は! (海野に対し)まだまだ、あきらめたらアカンよ? (海野が『ハイッ!』と答えると)ここで止まってまうぞ? ここから先、上へ、上へって。常に上見ようぜ!
まあ、高山さんのチャリティーということで、俺としてはあの憎たらしいほど強い男がね……。忘れもしない、いまから15年前の2003年、俺の前に立ちふさがったIWGPのチャンピオンやった。俺はあのときは忘れないぞ。俺はあの高山を倒して、なんとか絶対にベルトを獲ってやろうと、そのくらいの気持ちでしたよ。その前に『G1』を獲って、ベルトに挑戦っていう最高の舞台でした。そんな強い高山がね、いまベッドで……。ふざけんな、早く戻ってこいって、リング! もう一回、やってやろうやんけ! サシでやろうぜ! リング、カムバック! それを俺は願ってますよ。リングに上がれなくても、この世界でしっかりと魂を活かしていってください。俺からはそんなことしか言えないですよ。シー・ユーね、高山……、オーケー!」
海野「(後頭部を押さえながら)高山さんのぶんも、いままでプロレスに関わってきた人のためにも、これからの未来、全力で戦い抜きます。任せてください」
■なんと解説席の佐々木健介、小橋建太が鈴木みのるにチョップ炸裂!
メインでは高山の盟友であり、ライバルでもある鈴木みのるが、かつて全日本プロレスで結成していた「GURENTAI」のメンバーのNOSAWA論外&MAZADAとトリオを結成し、太陽ケア&TAKAみちのく&近藤修司組と対戦。
試合中、鈴木は普段は鈴木軍の仲間であるTAKAを実況席まで連れ出すと、放送席で解説を務めていた佐々木健介さんに対し「打て!」チョップを促す。しかし、TAKAが切り抜けて逆に鈴木を捕らえると、そこ目がけて佐々木さんが強烈な逆水平チョップ。続いて同じく解説の小橋建太さんも鈴木にチョップをお見舞いし、鈴木が両者に食ってかかる一幕も。
終盤、TAKAはジャストフェイスロックで鈴木を捕獲。しかし、切り抜けた鈴木はスリーパーからのゴッチ式パイルドライバーでTAKAをマットに突き刺し、3カウントを奪取。高山選手の支援大会のメインを勝利で飾った。
出場選手や関係者の記念撮影のあと、マイクを握った鈴木が「最後にコイツから」と場内ビジョンを示す。するとベッド上の高山の姿が映し出され、以下のメッセージを送った。
「本日は『TAKAYAMANIA』にご来場いただきまして、誠にありがとうございました。熱いご支援いただいて、この場を借りて御礼申し上げます。次回、どうなるかわかりませんが、足の感覚がちょっと出てきたのがわかりましたので、悪さばかりしている鈴木みのるの顔面をビッグブーツできるのを楽しみにしています。それまで鈴木みのる、待ってろよ(※場内どよめき)。後楽園ホールにいるみんな、ありがとう。また会おう!(※場内拍手)」
場内に「高山」コールが巻き起こると、鈴木はそれをさえぎり「コイツ、寝てばかりのクセに俺にケンカを売りやがったな? いつまで寝てるんだ、高山! ここに上がってくるまで、プロレス界の王の座でオマエのことを待っている。そんなところでくたばるんじゃねえぞ。テメーのとどめは俺が刺してやる!」と、プロレス王らしいエール。そして最後は観客や出場者と共に「高山に届け! ノーフィアー!」の雄叫びで大会を締めくくった。
■『TAKAYAMANIA EMPIRE』
東京・後楽園ホール
[第5試合 新日本プロレス提供試合 30分1本勝負]
永田裕志&成田蓮vs天山広吉&海野翔太
○永田(10分57秒 バックドロップホールド)海野×
[第7試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負]
鈴木みのる&NOSAWA論外&MAZADAvs太陽ケア&近藤修司&TAKAみちのく
○鈴木(20分51秒 ゴッチ式パイルドライバー→体固め)TAKA×