2018年8月19日、20日、インドネシアジャカルタにて開催された『アジア大会2018』にブシロードのレスリングチーム『ブシロードクラブ』から、山口剛選手(フリースタイル97kg級)、オレッグ・ボルチン選手(フリースタイル125kg級)、athletic camp LION所属の荒木田進謙選手が出場しました。
■山口『世界のメダリスト攻略の糸口が見えた』
まず8月19日、フリースタイル97kg級に出場した山口選手は、初戦となる準々決勝でいきなり優勝候補でリオ五輪メダリストのイラン選手と対戦。第1ピリオドは2-0で折り返すなど五分の闘いを見せたが、後半戦で攻め込まれ11-0で敗退。しかし、イラン選手が決勝へ上がったためウズベキスタン選手との敗者復活戦が決定した。
このウズベキスタン選手には今年3月『アジア選手権』で45秒でいいところなく破れており因縁の相手だったが、その時の反省から強化したスタミナを生かして片足タックルを入れるなど第1ピリオドは善戦。しかし後半24秒、ウズベキスタン選手の右足目掛けて思い切って入ったタックルで左頭部と相手の右ヒザが激突! これで山口選手は眉毛の上あたりを大きくカットして大流血。すぐにドクターが駆けつけて試合ストップ、0-6で敗退となってしまった。
無念の途中棄権となってしまった山口選手は試合後「イランもウズベキスタンもオリンピック常連のメダリストで厳しい試合になるのは分かっていた。オリンピックに出る選手とメダルを獲る選手はレベルが一つ違う。そういう相手にどうやったら勝てるかを考えて、スタミナ強化、戦術を研究して挑んだ。イラン戦は2-0で折り返して逆転できる状況を作れたし、ウズベキスタン戦では片足タックルに何度も入れたし後半戦で自分のほうがスタミナは残っていた。いつもなら全く歯が立たないまま終わったのが、世界のメダリストたちと闘えたことで糸口が見えた。スコアは惨敗だが、世界へ向けてモチベーションは上がったし、東京オリンピックへ向けていい材料になった。(ケガは)初めてこんなに血が出てヤバイと思ったが、5針縫って脳震盪などもなく問題ない。結果5位とメダルを獲れなかったのが悔しいが本当に収穫の多い大会だった」と前向きに振り返りました。
■オレッグvs荒木田、同チーム対決はオレッグ勝利
翌20日、フリースタイル125kg級の初戦は、いつも同じチームで切磋琢磨しているオレッグ・ボルチン選手(カザフスタン/ブシロードクラブ)と荒木田進謙選手(日本/athletic camp LION)というまさかの顔合わせ。アジア大会ならではの緊張感に包まれるなか、お互いの手の内を知る者同士の対決は拮抗したまま6分間が終了。結果は1-0でオレッグ選手が勝利した。
準々決勝へ進んだオレッグ選手の相手は世界常勝軍団・イラン。コンディションは良かったというオレッグだったが、一回り体格で勝る相手に翻弄され続けて健闘するも0-10で破れてしまった。
続く敗者復活戦ではインドの選手を攻めきれずに苦しい展開が続き、0-7で敗退し順位は8位となった。
試合後、オレッグ選手は『初戦の荒木田先輩はいつも練習している相手で、レスリングも分かるからやりずらかったし強かった。イラン、インドの選手には負けたけどいい勉強になった。もっとレスリングを学んで力も付けないといけないし、これからできることはまだいっぱいあると思った。練習方法も日本とカザフスタンでやってきたが、これからは自分にとって一番いい練習方法を探っていきたい」と語りました。
■永田監督「大きな収穫ある大会だった」
今回、現地で熱い檄を飛ばしていたチームの監督・永田裕志選手は「山口は結果だけ見れば2連敗ですが、世界の上位レベルを相手に予想以上に通用することを証明できた。復帰して1年少しで世界レベルの選手をコントロールして崩しができたのが大きな収穫。今後はそこから確実にポイントを獲る技術の習得が課題。自分より下のレベルの選手に勝つよりもトップと闘えたことは東京五輪を見据えた上ではひじょうに良かった。それは荒木田とオレッグにも言えることで、崩しのテクニックは三者三様に習得できているので、世界の壁を超えるためにもいかにポイントを獲るかがこれからの課題」と語りました。
今後、山口選手は10月、ハンガリー・ブダペストで開催される『世界選手権』へ出場予定! 2020東京五輪へ向けて走り続ける彼らに、引き続きご声援をお願い致します!
【試合結果】
▼山口剛(97kg級フリースタイル/ブシロード)5位=13選手出場
2回戦 ●[Tフォール、4:17=0-11]Karimimachiani, Alireza(イラン)
3決戦 ●[途中棄権、3:28=0-6]Ibragimov, Magomed Idrisovich(ウズベキスタン)
▼オレッグ・ボルチン(フリースタイル125kg級/カザフスタン/ブシロード)8位=13選手出場
1回戦 ◯[1-0]荒木田進謙(日本)
2回戦 ●[0-10]HADIBASMANJ Parviz(イラン)
3決戦 ●[0-7]SUMIT Sumit(インド)
▼荒木田進謙(フリースタイル125kg級/athletic camp LION)10位=13選手出場
1回戦 ●[0-1]Boltin, Oleg(カザフスタン)
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【毎日新聞】アジア大会 レスリング男子フリースタイル125キロ級=カザフスタン ボルチン・オレッグ(25)
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