8月19日(日)より、インドネシア・ジャカルタにて開催される『アジア大会2018』にブシロードのレスリングチーム『ブシロードクラブ』から、山口剛選手(フリースタイル97kg級)、オレッグ・ボルチン選手(フリースタイル125kg級)が出場します!
アジアの祭典を前に、ブシロードクラブの監督を務める新日本プロレス・永田裕志選手と、山口剛選手によるスペシャル対談をお届けします!(収録日:7月31日)
■4年に一度!アジアのオリンピック!!
— 山口選手、遂に念願の『アジア大会2018』への出場が決まりましたね!
山口 素直に嬉しいです! 4年に一度の大会ですし、ほかの競技チームとも一緒に頑張れるのでモチベーションが全然違います!
永田 4年前は出られなかったからな。
山口 そうなんです、あの時は前十字靱帯を切ってしまって。
— 今回はインドネシアのジャカルタで開催ですね。
山口 ちょっと治安が悪いのと水がよくないと聞いていますので気をつけたいです。自分お腹壊しやすいので…。
永田 水? メキシコみたいだなっ!
山口 はい、選手村もあるんですが人数が限られていてコーチ陣も全員入れないらしく、少し不安はありますね。そういう意味ではけっこう大変な大会かもしれませんが。
■高地トレーニングで持久力アップ!!
— そんななか試合まであと2週間となりました。
永田 ここからは追い込み方だよね。
山口 今回はヒジのケガもあったので、ずっと追い込むというより休む時は休んで、上げる時は上げるなど“波”を作ってやっています。
— 先日は飛騨御嶽高原高地トレーニングエリアでの高地トレーニングも経験したそうですね。
山口 御嶽は初めてだったのですが、凄くいい練習ができましたね。僕ら重量級は毎日走る必要はないと思うんですが、週に1、2回は全力で走ることが必要なんです、走ることって何でも基本になるので。全力で走ったり、自転車で坂道を漕いだり、あと低酸素ルームに入ったりして、数値も上がっていい感じです!
— レスリングでも高地トレーニングは重要なんですね。永田選手は最近の練習方法に関しては?
永田 練習方法や内容は最新のものを使ったりして俺らの頃とは変わってますけど、徹底的に追い込むという部分では昔と変わらないと思いますよ!笑
— そうなんですか!?
永田 ただ山口の場合は今年で29歳なので、そろそろ疲れが抜けづらくなってきてる。若い頃と同じように毎日全力で追い込んでいると、回復力という部分が若い頃とは違ってくるので、そこをどう付き合うか。それは自分でやるしかないんですよ。
■29歳は成長期! ただ回復力が落ちるだけ
— そんな山口選手にアドバイスはありますか。
永田 自分の状態をしっかり知ることですね。疲れていてもいけるときはいけばいいし、ダメな時はしっかり休んでリラックスする。さっき彼が言ったような“波”を練習で作ることが大事ですね。
— 29歳というとレスリング界ではベテランの域になりますが。
山口 まだまだ自分なんて…、永田監督も現役ですから!笑
永田 いやいや、ただ29歳だからこれ以上行かないんじゃなくて、29歳はこれから成長する時期なんですよ。いろんな経験を積んできたことで一番成長できる時期。30歳を過ぎてもオリンピックでメダル獲る選手はいるわけですから。それからいうと決してベテランではないですよ。ただ単に体力の回復力がちょっとずつ落ちてきてるだけで。経験値とか今までやったものがより活きてくる時期になりますから。
— 29歳は成長期! 山口選手は感じます?
山口 そうですね、ウェイトなども繰り返しやってきて、リオ五輪前(2015年頃)よりも数値は上がってきていますし、だから意外とみんなが言うほど衰えというのは感じないですね。
永田 そう、“衰える”んじゃないんだよ、“回復力が落ちる”だけなんだよね。
山口 そうです!笑
永田 だからみんな勘違いしてるんです。20代後半〜30代になるとキツイ練習についていけなくなって「衰えた」と言われるけど、そうじゃない。回復力が落ちているだけで、それをうまくケアすることで20代前半よりも強い力が出せるようになるんですよ。
■日本人の凄さは改めて“スタミナ”と実感
— その回復力が落ちる現象を具体的に?
山口 筋肉痛も翌日すぐに出てくればいいんですけど、2日後に出るとか。笑。昔よりも体の反応が鈍くなってます。
永田 そこは自分しか分からないですよ。ナマクラ(怠け者の選手)だったらダメだけど、山口は自分で調整できるから大丈夫。たまに先を考えすぎて墓穴を掘ることもあるけどな!笑
山口 (ナショナルチームの)合宿中もベテランに合わせた練習をしていただくわけにはいかないので、追い込むところは追い込む、抜くところは抜く。そこは自分だけのメニューでやってますね。
永田 そこは若手に合わせる必要ないからな。
山口 最近改めて思うことが、日本人の凄いところって結局スタミナなんですよね。今見てもらっているトレーナーの中島さんという方が以前、ボクシングの村田(諒太/ロンドン五輪金メダリスト)選手も見てらっしゃって。村田選手もやっていた『パワーマックス』っていう自転車の全力漕ぎを自分もやってるんですが、苦しい時でも限界まで漕いで心肺機能がどうなるかを計測して。
永田 上がってるだろ?
山口 はい、上がってます! 1ヶ月半前から数値も上がってきていて、総パワーも上がってます。それを元に試合前にピーキングというか波を作って調整して、疲労をとるのが最近うまくなってきました。そこがベテランなのかもしれないです。
— ケガとの付き合い方も?
山口 そうですね!笑
永田 今度ケガしたらもうダメだからな!
山口 そうですね、そこは特に気をつけてやってます!
■アジアの“壁”を崩すために。
— アジア大会で注意すべき相手は?
山口 ウズベキスタン、カザフスタン、韓国もいますし…以前負けた相手もゴロゴロいるので、ドロドロの泥仕合になると思います。
永田 そういう時に活きるのが、この前のプレーオフ(7/7、赤熊戦)で見せたスタイルだよ。序盤の失点を最小限にして、相手を崩して、最後は怒涛のパターンに持ち込む!
山口 そうですね、前半は失点しないようにしないと。笑
永田 まさかバックに回ってぶん投げると思わなかったからな、よく勝ったよ。
山口 リオ前のスタイルが戻ってきたかもしれないですね。
永田 やっと戻ってきた! あの時(6/16、全日本選抜選手権)負けてよかったんだよ。
山口 そう言ってもらえるようにしないとダメだなと…本当に反省したので。
— あの日(7/7)の試合は日本テレビ『Going!』でもオンエアされましたしね。
永田 相手の力を9まで引き出して10の力で勝つという、まさに風車の理論!
— 本当にどこで“闘魂”が注入されていたのか、と。
山口 分からないです、勝手に入ってました!笑
永田 あのスタイルは世界でも必ず通用する! 自信持っていいぞ!
■岐阜出身者は自ら“エース”と言いがち?
— では最後に意気込みを!
山口 いま日本重量級で世界で勝てるのは僕しかいないと思ってますし、僕が日本重量級のエースだっていう自覚もあります。その自信は一人でジョージアへ遠征に行ったりとか、世界で試合をしたり、もちろんケガもしたし、そういう意味であらゆる経験を積んできたからなんです。結果を出すことで海外へ行ってのトレーニングも受け入れてもらいやすくなる。来年、さらに飛躍するためにも今回の『アジア大会』と、10月の『世界選手権』では結果を出して“真の重量級のエース”になっていこうかなと思ってます。
永田 岐阜出身者は自ら“エース”と言いがちなのかな?
山口 そうですね、諸先輩方を見習って自分から言おうかなと。笑
永田 いいことだよ、胸張って行ってこい!笑
■オレッグ・ボルチン選手のコメント
「アジア大会に合わせて7月からカザフスタンのナショナルチームで合宿を頑張ってきました。ベラルーシから強豪選手も来て一緒にスパーリングもできたので、ケガもなく凄くいい状態に仕上がってます。今年は念願だった『全カザフスタン』で優勝できたので、今度は『アジア大会』で一番になります!」
■『アジア大会2018』とは
4年に一度、アジアで開催される通称“アジアのオリンピック”で、正式名称は『第18回アジア競技大会 ジャカルタ・パレンバン』。40競技462種目、45の国と地域が参加。今年はジャカルタで開催(日本との時差-2時間)
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2018年アジア大会代表/山口剛の国際大会成績
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