第7試合は同じく『NJC』トーナメント二回戦、マイケル・エルガンとジュース・ロビンソンによる一騎討ち。
開始のゴングが鳴ると、両者は拳を合わせて健闘を誓い合う。そして、リストの取り合いから、ジュースがグラウンドに持ち込む。スタンドに戻ると、エルガンが巻投げを繰り出し、一旦二人は距離を取る。
続いてジュースがエルガンをヘッドロックに捕らえると、そこからショルダータックル合戦へ。ジュースはエルガンにカウンターのドロップキックを見舞うが、エルガンはショルダータックルでダウンを奪う。
続いてエルガンはブレーンバスターで抱え上げるも、ジュースはバックに着地してバックドロップ。しかし、串刺しラリアットはエルガンにかわされる。エルガンはジュースをセカンドロープに固定し、後頭部に延髄斬り。そして、エプロンサイドに移動すると、トップロープ越しにジュースの頭を捕らえて変形のネックブリーカー。
続いてエルガンはブレーンバスターで弧を描くと、さらに気合とともにエルボーアタック。そしてエルガンはナックルを叩き込んでジュースをコーナーまで後退させると、逆水平チョップで快音を響かせる。
次のロープを使った展開では、ジュースの動きを読んだエルガンがリフトアップを狙う。しかし、ジュースは切り抜けて左ナックルを連発。そして、逆水平チョップをたたみ込むが、エルガンもボディスラムで反撃。そこからエルガンはトップロープ越しのダイビングボディプレスを狙うも、ジュースは寸前でかわす。
逆にジュースがトップロープ越しの攻撃を仕掛けるが、エルガンは場外へエスケープ。すると、ジュースはプランチャをヒット。リングに戻ると、ジュースはエルガンを肩車して、そのまま前方にどどんのように落とす。
さらにジュースはエルガンを両肩に担ぎ上げるが、エルガンはバックに着地。そこからバックの取り合いとなり、エルガンがスキをついてエルボー。さらに二発エルボーを叩き込み、ラリアットを狙う。だが、ジュースはエルガンの腕を叩き落とし、強烈なフロントキック。
そしてジュースはロープに走るも、エルガンはリフトアップ。しかし、ジュースはうまく着地して、プリンスズスロウンを炸裂。ジュースはパワーボムの体勢に入るが、エルガンは切り返してハーフネルソンへ。ジュースが切り抜けると、エルガンは肩に担ぎ上げてコーナーめがけてデスバレーボム。
エルガンはジュースをトップコーナーに設置して雪崩式ブレーンバスター。気合を入れたエルガンはパワーボムの体勢に入るも、ジュースはこらえる。すると、エルガンはヒジのサポーターを外してエルボー。ダウンしたジュースを起き上がらせると、もう一度パワーボムを狙うが、ジュースは腰を落としてディフェンス。しかし、エルガンは組手を変えてタイガードライバーへ。ジュースはカウント2でキックアウト。
エルガンはトップコーナーから身体を斜めに回転させながらサンセットフリップを放つが、ジュースは間一髪で回避。ならばとエルガンは雄叫びを上げながらラリアットへ。だが、かわしたジュースはスピンキック。それを受け止めたエルガンは、力づくでパワーボム。
ここでエルガンは豪快な串刺しラリアット。しかし、ジュースもお返しの串刺しラリアット。続いてラリアットの相討ちを二度繰り返し、エルガンがトラースキック。そしてエルガンは投げっぱなしジャーマンを決め、意地でラリアットを叩き込もうとするも、ジュースがカウンターの左のラリアット。
ジュースはエルガンにハイアングルのパワーボム。そして、場内に手拍子を煽ってパルプフリクションを狙うが、エルガンは逆さ押さえ込みの要領で切り返し、肩口に持ち上げて旋回式のスクラップバスター。しかし、ジュースはフォールをカウント2でキックアウト。
エルガンはパワーボムの体勢に入るも、ジュースは切り抜けて、ナックルをヒット。そして、もう一度パルプフリクションへ。だが、こらえたエルガンはハーフネルソンスープレックスを見舞い、危険な角度でジュースを落とす。
ジュースも必死にパンチを見舞うも、かわしたエルガンは後頭部にショートレンジのラリアット。そして、ついにラリアットを炸裂。続いてコーナーにジュースをパワーボムで叩きつけ、エルガンボムの体勢に入るが、スルリと脱出したジュースは首固めへ。これで3カウントが入り、ジュースが一瞬の返し技で逆転勝利。3.16後楽園での準決勝進出を決めた。
試合後、エルガンはジュースの右手を挙げて勝利をたたえる。すると、ジュースはエルガンに抱きつき、両者は熱い抱擁。
ジュース「やったぜ。オレが次へ進んだんだ。だけど、新聞や雑誌は『ジュースはラッキーだった』って報じるんだろうな。『G1(CLIMAX)』でケニー・オメガに勝った時もラッキーだったって(報じられた)。パルプフリクションを決められなかったからな。でも、いい。そんなことはわかってる。今回、3月9日のコーラクエンで“ビッグ・マイク”マイケル・エルガンはイシイに勝った。とんでもない技でな。トップロープの上から相手を放り投げる荒技でな。あれを見たから、オレも警戒した。まあ、エルガンが怪力の持ち主だっていうのはわかってる。だけどな、オレだって、彼に負けないだけの腕回りなんだぜ。まあ、あんな技を食らっては、オレもダメだろうけどな。だから、どんな形でもいいから勝つことをだけを考えてた。まともに力で勝負しても叶わないからな。うまく“ビッグ・マイク”をスモールパッケージで丸め込めたよ。その瞬間、あいつは何が起こったのかわからなかったんじゃないか? これがプロレスっていうものさ。オレは子供のころからプロレスを見てきたんだ。いろんな決着をね。それが求められてない勝ち方だろうとも、勝ちは勝ちだ。さあ次は、この試合の勝者と闘うんだよな。ファレはニュージャパンで一番大きな男だ。だけど、ヒロシ・タナハシがミスを犯さなければ勝ち上がって来ると思う。たとえ捕まえられて、高いところから叩き落されようともね。彼は上腕とヒザにケガを負って万全じゃないけど、彼は20年間、リングの中であっても、外であっても、それ以外のいろんな場所であっても、決して弱音を吐かずに立ち上がってきた。だからこそ“エース”という称号が得られたんだ。ただ人気があるとか、Tシャツの売れ行きがいいとか、それだけじゃ“エース”とは呼ばれない。“エース”と呼ばれるには、男の中の男でないとね。それはケニー・オメガ、オカダからは感じられない部分だ。彼は1998年からこのリングに立っているんだ。ジュース・ロビンソンは1998年、何をしてたかって? まだ9歳だった。この業界に入ることになるなんて、思ってもみなかったよ。“エース”とはどういうものかをそばでずっと見てきた。そばにいるだけで、伝わってきた。それはオレにないものだった。ケニー・オメガと闘っても感じられなかった。もてはやされてるけど、ケニー・オメガはそれだけの存在さ。だけど、ヒロシ・タナハシは友達であるし、オレにとってとても重要な存在。タナハシとの闘いを通じて、オレはどうすれば“エース”になれるのか、世界最高のレスラーというものはどういうものかを見つけ出すだろう。この15年間で、オレはやっと“ビッグ・マイク”を倒した。スモールパッケージだけどな。それがスクールボーイであっても、それ以外の丸め込みであっても、1対1で勝った事実は変わらない。次はタナハシだ。そう簡単には勝てないよ。いや、何が起こるかわからないぜ。それだけは約束しておこう。この『NEW JAPAN CUP』は『G1』に比べると期間も短いし、簡単に優勝できると思われてるかもしれないが、そうじゃない。オレはここから『G1』にたどり着いた。明日は次に闘うタナハシ、そして今日闘ったエルガンと組んでオカダたちCHAOSと闘う。タナハシの援護射撃をすることになるかどうかはわからない。それは成り行き次第だ。もし、この次の試合でバッドラック・ファレが勝ったなら、『WRESTLE MANIA III』(※1987年WWF=現WWE)でハルク・ホーガンがアンドレ・ザ・ジャイアントにそうしたように、ファレをボディスラムで叩きつけてやる。トンガの巨人をな……」
エルガン「(※少しうなだれたような表情で)ああ、やってしまった……。俺がこの『NEW JAPAN CUP』を制すると決めていたのに……。だけど、ここで負けたからといって投げ出さない。ギブアップなんかしない。まだまだこれから、何があるかわからないからな。逃げ出すことはしない。ジュース、今夜はお前の勝ちだ。明日は、今日のことを引きずらずに組むから。オレは先に進めなかった。足踏みしてしまった。準決勝にコマを進めたのはお前だ。それに文句を言うつもりはない。なぜならジュース、オレはお前をリスペクトしてるし、お前のことが気に入ってる。それに、オレを倒したんだから、優勝してくれよ。オレはそれを願っているよ」