かねてからリング内外にわたって『仮面ライダー』愛を表明し続けてきた“逸材”棚橋弘至選手。その念願が叶って、12月10日(土)公開の『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』にゲスト出演が決定!
映画の公開を目前に控えた棚橋選手に、待望の『仮面ライダー』出演について、インタビュー敢行!
■ちゃんとプロセスは踏んできていたんです。仮面ライダーの世界に一歩ずつ近づいてきた。
──棚橋選手、ついに念願叶って、大好きな仮面ライダーの映画にご出演されましたね! 12月10日から公開の『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』に怪人役で出演されたそうですけど、オファーが来た時の率直なお気持ちを教えてください。
棚橋 そうですね……「キター!」と。
──もうそのまんまですね(笑)。
棚橋 でもね、こういうのはプロセスが大事なんですよ。誰にも言わずにリング上で仮面ライダーのエッセンスを入れ始めて、「好きだ、好きだ」って騒ぎ始めて、最初に2009年かな? 『仮面ライダーディケイド』という作品でコラボしたTシャツを出したんですよ。それから3~4年、Tシャツを出し続けて、2011年には仮面ライダーGIRLSの『KAMEN RIDER V3』というシングルのPVに出演させていただいてV3と闘ったり、それから2012年には『仮面ライダーウィザード』の主題歌のPVに出たりと、ちゃんとプロセスを踏んできているんですよ。
──突然、出たっていうことではなくて。
棚橋 ええ。仮面ライダーの世界に一歩ずつ近づいてきたんですよね。そういう流れを経て、今回の映画出演なんで、まさにプロレスの試合展開のようですよね。序盤のレスリングの動きを経て、徐々にクライマックスに近づいていくという。
──では、今回の映画出演はついにフィニッシュホールドのハイフライフローを繰り出したっていう感じですかね?
棚橋 そうですね。それが当たるか避けられるかっていうところですかね。
──当たってもらわないと困りますが(笑)。
――でも、本当に仮面ライダーが好きだっていうことはずっとアピールされ続けていましたもんね。
棚橋 まあ、どこに向けてのアピールっていうわけでもないんですけど、仮面ライダーは男の子だったら誰でも好きになりますよ。今やっている平成ライダーのシリーズは現在の『仮面ライダーエグゼイド』で18作目なんですよね。ということは、現在の高校生、大学生、あるいは社会人になっているかつての男の子たちはみんな平成ライダーを観て育ってきているんですよ。
──ああ、なるほど。
棚橋 あと、お子さんたちと一緒に観ているお母様方も好きになるパターンも多いんですよ。そして、ボクみたいに昭和ライダーをオンタイムで観ていた大人でもハマってしまう。要はあらゆるファン層に愛されているのがこの平成仮面ライダーというコンテンツなんです。
──この間の11・5大阪大会で内藤選手に向けて言った言葉、「お前が俺の最後の希望だ」というセリフですけど、これも『仮面ライダーウィザード』の「俺が最後の希望だ」が元ネタですよね。
棚橋 言っちゃいましたね。元ネタとニュアンスはちょっと違うんですけどね(笑)。ただ、あの時は隠れ仮面ライダー名言が入っていたんですよ。その言葉の前に「世界に悪が栄えた試しはない」って言ってるんですけど、あれ仮面ライダー2号の名セリフなんですね。
──それは気がつきませんでした(笑)。
棚橋 気がついた人はいなかったんじゃないですか? 会場がちょっとザワッとしましたからね。「何を言ってるんだ、こいつは」っていう感じで戸惑ってましたよ(笑)。
■リングに仮面ライダークウガっていうマスクマンを登場させませんか、というアイデアがあったらしいです。それが…。
──でも、平成仮面ライダーシリーズで言うと、新日本プロレスの先輩にあたるAKIRA選手が第1作の『仮面ライダークウガ』に、髙田延彦さんが映画の『仮面ライダー3号』に出演されていましたよね。
棚橋 ハイ。AKIRAさんはグロンギという怪人役でしたね。平成ライダーと棚橋弘至のルーツを辿ると、そのクウガの主役のオファーがボクに来たんじゃないかという噂がずっとあって。
──ああ、ありましたね。
棚橋 でも、現場監督の長州(力)さんが断ったと。それを聞いた橋本(真也)さんが「なんで断ったんだ!」って怒ったっていうのを人づてに聞いたんですよ。
──橋本さんがインタビューかなにかで明かされてましたよね。
棚橋 じつはその時に菅林(直樹)会長に「バイクに乗れるの?」って聞かれて、「はい、大学の時に乗ってましたんで」っていう確認もあったんですよ。
──ライダーと言えばバイクですから具体的な話っぽいですね。
棚橋 でも、そういう一件があったので、平成ライダーには凄く縁を感じるんですよ。
■今回の役は、肉体派であり、頭脳派でありっていうキャラ。「まんまでいけるじゃん!」と(笑)
──では、今回の役どころなんですけども、ライダーの敵役なんですよね?
棚橋 ロボルバグスターという怪人役です。来瀬荘司(くるせ・そうじ)という人間の姿から変身するんですけどね。ロボルくんです。
──これはどういうキャラクターなんですか?
棚橋 Dr.パックマンという敵の大ボスがいるんですね。その下に3人の幹部がいて、その幹部の中で一番偉いというポジションです。2人に闘わせて、ずっと指示を出しているという役割です。肉体派であり、頭脳派でありっていうキャラなんですよ。
──肉体派であり、頭脳派!
棚橋 フフフ。だから、「まんまでいけるじゃん」っていう(笑)。でも、プロレスの世界でずっと生きてきたんでわかるんですけど、怪人がいるからライダーが必要とされるわけじゃないですか? だから、映画を上映している短い時間の中で、ボクはライダーに倒されるべき存在として、子どもたちに憎まれなきゃいけない。そういう意識は徹底してましたね。たとえばボクはリング上では表情が豊かなので、その逆をいく。ポーカーフェイスで低いトーンでゆっくりしゃべるとか。この劇中はわりと無機質な人間でしたよ。ただひたすら冷酷で強いという。
──プロレスの試合でもシチュエーションを考えて闘い方を変えたりしますよね。
棚橋 そういうプロレスの経験が活きましたよね。対立軸を見やすくする。怪人がいるからライダーがいる。内藤がいるから棚橋がいる。それと同じです。
──なるほど。当然アクションをする場面もあるんですよね?
棚橋 監督の坂本浩一さんが元々アクション俳優をやられていた方なんですけど、仮面ライダーあるあるで映画になると主演の役者さんの変身前のアクションが多くなるというのがあるんですね。だから、ボクも含めて今回も派手なアクションがあります。
──それこそプロレスの経験が活きそうですね。
棚橋 そうですね。逆にボクも学ぶことが多かったんで、そういうことはすべてリング上に還元したいですね。吸収できるものはすべて吸収しましたから。
■あまり具体的には言えませんけど、ボクはかなり登場しますよ!
──では、ファンの方にはこの映画のどういうところに注目して観てもらいたいですか?
棚橋 現在放送中の『仮面ライダーエグゼイド』の主人公は研修医なんですけど、そこで命の大切さや命のあり方というものを、この映画でもしっかりと伝えられていると思います。それを受け取ってもらえれば。ボクは凄く感動したんで、子どもたちにはぜひ観てもらいたいですね。あっ! あと、あまり具体的には言えませんけど、ボクはかなり登場しますよ!
──おっ、それは棚橋ファンには朗報ですね!
棚橋 プロレスファンが観ても、「おっ!」となるアクションがあるかもしれない。
──プロレスファンが観ても楽しめそうですね。
棚橋 もちろんです。逆にリング上でもこれから来瀬さんが時々降りてくるかもしれないですよ。残酷で非道な来瀬さんがね(ニヤリ)。
──では、この映画をきっかけに棚橋選手の新たな一面がリング上でも観られるかもしれないんですね。
棚橋 フフフ。ボクはこれまでリング内外、オンオフ問わず裏表がないというところを売りにして新日本を盛り上げてきたんですけど、これからはそういうちょっと違う一面も必要になってくるんじゃないかって思うんですよね。40歳にして、陰がある部分も必要かもしれない。立ち位置的にね。
──これはドームの内藤戦も楽しみになってきましたね! それでは映画共々楽しみにしております!
撮影/山本正二
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