【“GK”金沢氏がKUSHIDAvsBUSHIを徹底解説!!】9月17日(土)大田区大会で「絶対に相容れない男たちによる“感情の名勝負数え唄”がスタートする!!」【DR16】
いよいよ目前となった9月17日(土)東京・大田区総合体育館での『DESTRUCTION in TOKYO』!! メインイベントは新日本のビッグマッチ史上初となるIWGPジュニアヘビー級選手権・KUSHIDAvsBUSHIが実現! 因縁の一戦を“GK”金沢克彦氏が徹底解説!!
■『DESTRUCTION in TOKYO』
9月17日(土)18:00〜東京・大田区総合体育館 ★対戦カードはコチラ!
★一般チケット情報はコチラ! ★前売券情報
・「ローソンチケット」「イープラス」は9月15日(木)で販売終了。
・「チケットぴあ」は9月16日(金)で販売終了となります。
■9月には3本のビッグマッチ。ただ、それぞれのメインカードが発表されたとき、ちょっとした驚きも感じた
真夏の祭典『G1 CLIMAX26』を大盛況で終えた新日本プロレスは、この9月シリーズからまたエンドレスな物語の新章を迎える。
9月には3本のビッグマッチ。17日=大田区総合体育館、22日=広島サンプラザホール、25日=神戸ワールド記念ホールとつづけざまのビッグマッチ3連発。ただ、それぞれのメインカードが発表されたとき、ちょっとした驚きも感じた。
大田区大会のメインはKUSHIDAvsBUSHIのIWGPジュニアヘビー級選手権。
広島大会のメインはケニ—・オメガvsYOSHI—HASHIの1・4東京ドームIWGPヘビー級王座挑戦権利証争奪マッチ。神戸のメインはマイケル・エルガンvs内藤哲也のIWGPインターコンチネンタル選手権。
見事にバラけたというか、2〜3年前なら実験的興行とも言われかねないカード編成となったのだ。ここで、ふと思い出すのが何年か前に新日本が打ちだしたスローガンである「攻めて攻めて攻めまくる」である。
『G1』初出場でブレークしたYOSHI-HASHIの名言ではないが、「物事は一瞬で変わる」は事実であるし、その一瞬の変化を見逃したり、旬を逃したら、せっかくのチャンスも逃げていくし、素材も腐ってしまうのだ。
だれも予想しえなかったケニ—・オメガの『G1』初制覇。それが端的な例ではないか?
その一方で、中身の伴わないものを無理にプッシュしようとすれば失敗する。まず、観客(ファン)がついてこないし、マスコミ側も乗れないからだ。そうなると、前述した旬を逃さないことと相反するのかもしれないが、溜めも必要となってくる。溜めることによって、闘う選手にもファンにもフラストレーションとストレスが溜まる。そのフラストレーションが弾けそうなギリギリのラインまできたときに、一気に解き放つ。
いまの新日本には、そういう現象も見られる。余裕ではないのだろうが、それができるのも選手層とリング上が世界のスタンダードにまで上り詰めたから。もはや、上から順番にタイトルマッチをこれでもかと並べていけば、ビッグマッチが成功する時代は終わった。
■ジュニア主役のシリーズ以外のビッグマッチで、IWGPジュニアヘビー級選手権がメインを張るのは新日本史上初
それを如実に示すのが、なんといっても9月17日(土)大田区総合体育館大会だろう。柴田勝頼vsボビー・フィッシュのNEVER無差別級選手権をセミにおいて、IWGPジュニア戦がメインを飾る。これじたい、快挙である。『BEST OF THE SUPER Jr.』のようなジュニア主役のシリーズ以外のビッグマッチで、IWGPジュニアヘビー級選手権がメインを張るのは新日本史上初となるからだ。
それを知った王者のKUSHIDAは開幕戦(9.4桑名大会)でこう言った。
「やっと、やっとここまで来た。新日本プロレスのビッグマッチ、メインイベント。なんでも、単独でのビッグマッチ、IWGP ジュニアヘビー級選手権がメインになるのは史上初だと。ここまでやってきた。長かった。挑戦者はBUSHIですよね? チャンピオンに挑戦者を指名する権利なんて、なくていいと思ってる。そんなもん、放棄していいですよ。どれだけ、今年のROH、メキシコ、次から次へと挑戦者が現れてくる状況で、毎日、振り返ってらんないですよ。どんな理由でだって。ただ一つ、数多くいるこのIWGPジュニアヘビー挑戦希望者の中で、BUSHIが選ばれた。
何で選ばれたんだろう? 毒霧をこのベルトにかけたら挑戦権もらえるのか? 個人の力じゃない、グループの力で、グループの勢いがあるから会社が選んだのか? それはどうかわからない。決められた以上、全力で。決して大田区がゴールじゃないから。まだまだこの新日本プロレスっていう山は、まだまだ高い頂があるはずだから。この先、何があるんだろう? そんな旅人精神で、まだまだ防衛は続けます」
この言葉に嘘はないだろう。昨年の『SUPERJr』を初制覇したときのKUSHIDAの名セリフが甦ってくる。
「どこから来たかじゃなくて、これからどこへ行くか。何をしてきたかじゃなくて、これから何をするかが大切なんです」
その言葉通り、KUSHIDAは新日本プロレスのKUSHIDAとして世界中を旅している。6月下旬~7月上旬には原点の地であるメキシコに3週間滞在し、17試合をこなしてきた。CMLLの殿堂アレナ・メヒコで開催される毎週金曜日の定期戦、そのメインのリングにも立った。しかも、6人タッグ主流のメキシコにおいてシングルマッチ。その相手は、CMLLのエースであるボラドール・ジュニア。
試合後、リング上には金の雨が降った。お札にコイン……本物の金の雨。素晴らしい試合に、メキシコの観客は“おひねり"で応える。いまも、その伝統が残っているのだ。この強行スケジュールで体重が5㎏落ちた。それでも、帰国すれば『G1』が待っている。
8月、『G1』終了後に、こんどはROH遠征が待ち受けていた。そして、9月シリーズへ。毎日がプロレスラー、日常がプロレスラー。しかも、IWGPジュニアの絶対王者にして、『SUPER J-CUP 2016』の優勝者でもある。
■BUSHIは明らかに変貌を遂げた。内藤哲也と合流してロス・インゴのパレハとなってから、すべてが変わった
そのKUSHIDAに敢然と異を唱える男がひとりだけいる。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのBUSHIである。同年代、同世代。KUSHIDAはインディー団体を渡り歩いてから新日本へ、BUSHIは全日本プロレスから新日本へ移籍。そういう共通点もある。
ただし、実績が違う。IWGPジュニアも『SUPERJr』も『SUPER J-CUP』も手中にしたKUSHIDAに対して、BUSHIにはまだなんの勲章も手にしていない。過去のシングル対戦成績は、BUSHIの3勝2敗。その記録だけを提示されても、だれもピンと来ないだろうし、だれもがKUSHIDAを格上に見てしまうと思う。
しかし、BUSHIは明らかに変貌を遂げた。昨年末、旧友でもある内藤哲也と合流してロス・インゴのパレハ(相棒)となってから、すべてが変わった。本隊の一員であるときには抑制していた感情を徐々に爆発させるようになったのだ。その一番の標的がKUSHIDAだった。
2.14新潟・アオ—レ長岡大会で、KUSHIDAの保持するIWGPジュニア王座に初挑戦。セコンドに付いた内藤、EVILの介入もあったが、試合はかつてない一進一退の攻防となった。結局、王者のホバーボードロックに敗れたものの、もっとも際立ったのはBUSHIが初めて素の感情を剥き出しにしたこと。この試合を放送席で解説していたライガ—も言った。
「BUSHIがマスクを破られた瞬間、『KUSHIDA、なめんなよ!』っていうアイツの感情とジェラシーが見えた」
■KUSHIDA「あの感情的なBUSHIが現われたら、ボクも怖い。彼は今までのように人の目をうかがうことがなくなった」
それはKUSHIDAも感じていた。それまでBUSHIに関して聞かれても、「眼中にないですね。レスラーとして向いてる方向に彼の存在はいなかったし、競い合う相手と思ったこともない」とにべもなかったKUSHIDAが、今年の『SUPERJr』の最終公式戦(6.6仙台サンプラザホール)でBUSHIとの対戦が決まったとき、その印象をガラリと変えていたのだ。
「あの感情的なBUSHIが現われたら、ボクも怖い。彼は今までのように人の目をうかがうことがなくなった。それはお客さんの目だったり、本隊の仲間の目であったり、こうあるべきだとか……。その典型が内藤哲也なんでしょうけど、そういうふうになってきたときのレスラーって怖いなって思います」
一方のBUSHIは、大方の予想に反して『SUPER Jr.』の公式戦の全戦にセコンドを付けることなくひとりで闘っていた。周囲は「ラストのKUSHIDA戦にロス・インゴの介入があるのでは?」と邪推していたが、それさえもなかった。
結果、グリーンミスト攻撃からのエムエックス2連発でKUSHIDAに快勝。KUSHIDAの2連覇の野望を阻止したうえで、IWGPジュニアベルトに毒霧を噴射して勝ち誇った。
「周りから『なにかやらかしてほしい』とか言われていたけど、じゃあ裏を返せば『ひとりじゃ何もできないのか!?』ってことになるでしょ? このリーグ戦、ロス・インゴの一員としてじゃなく、BUSHIとして闘わなきゃいけないんだから。結局、内藤人気に俺らはアグラをかいていたのかな? って、そこを強く感じなきゃいけないんです。みんながいての俺じゃない、俺がいてのみんななんですよ」
■BUSHI「俺を次期挑戦者に指名しろよ。次のIWGPジュニア、次期挑戦者に指名しろ」
BUSHIはその発想まで変えた。それ以降は、まさにKUSHIDAストーカーと化した。『G1』の最中でも、場違いのように試合後のコメントブースで「IWGPジュニア挑戦」をアピールしつづけた。極めつけは、『SUPER J-CUP』優勝戦が開催された8・21有明コロシアム。BUSHIが1回戦で敗れた金丸義信(鈴木軍)をファイナルで撃破したKUSHIDAがバックステージのインタビュールームにやってきた。
それを待ち受けていたのがBUSHIだった。テーブルにはカンパイ用の缶ビールが並んでいたが、そこに本隊の選手はだれもいなかった。3試合を闘い抜いて、さすがに疲労の色を隠せないKUSHIDAが着席しようとすると、BUSHIが迫った。
「まさかオマエが、優勝するとはな。俺にとって好都合だよ。オマエは、俺に負けてるだろ。悔しいか? 悔しくないか? 俺を次期挑戦者に指名しろよ。次のIWGPジュニア、次期挑戦者に指名しろ」
KUSHIDAはBUSHIのほうを見向きもしなかった。それどころか、鼻くそをほじるポーズ。ここのシーンと言葉は少々汚いため各媒体では報道されていない。
「なんか、だれかがわめいていたけど、試合後で鼻くそも耳くそも詰まっていたから、よく聞こえなかったな」
こう言って、KUSHIDAは無視する姿勢を貫いた。当然、この屈辱にBUSHIは怒り心頭。9月シリーズ開幕前にカード発表があったにも関わらず、そこにこだわりつづけた。
「いいか、一つだけハッキリさせてくれよ。KUSHIDAとのタイトルマッチ、大田区、IWGPジュニア.選手権試合、決まったよ。たださ、俺はKUSHIDA本人から直接、聞いてないんだよ。『次の挑戦者はBUSHIだ』。そう指名してもらうのはまだなんだよ。まだ俺は聞いてないよ。会社が決めたのか、それともお前自身が選んだのか、どっちなんだよ? ハッキリ聞かせてくれよ。俺は一番、そこが気になるんだ。ちゃんとお前の口から。いいか、ハッキリ言えよ。『次のIWGPジュニア、挑戦者はBUSHIだ』ってハッキリ言えよ。お前の口から」
これが開幕戦の桑名大会でのコメント。特別な相手だからこそのこだわり。ストーカーと化してまで、自分を認めさせようとするBUSHI。試合だけではなく、言葉でも闘いつづけてきたKUSHIDAとBUSHI。
■決戦5日前の後楽園ホール。実際にはすべてBUSHIのためのお膳立てとしてロス・インゴは動いていたわけだ。
そして、決戦5日前の後楽園ホールで答えが出た。メインの6人タッグマッチ(棚橋弘至&エルガン&KUSHIDAvs内藤&SANADA&BUSHI)で、ロス・インゴが一枚岩となってBUSHIの後押しをしたのだ。ロス・インゴの3選手のひとりは仮面にスーツ姿でコーナーに立ったまま。試合に参加しようとしない。おそらく、それがBUSHIだろうと思っていたところで、コスチューム姿のBUSHIが飛び込んできて、KUSHIDAに毒霧。さらに、カナディアン・デストロイヤーからエムエックスでKOしてしまった。
勝ち誇るロス・インゴと無惨な姿をさらした本隊サイド。ここに、決定的な差を見る思いだ。内藤vsエルガンも9.25神戸大会の前哨戦にあたるし、棚橋にしてみれば『G1』開幕戦で完敗を喫したSANADAに目がいったはず。試合後、内藤は「ジュニアのタイトルマッチは俺には関係ない。それはBUSHIに任せるとして……」と軽くスルーしてみせたが、実際にはすべてBUSHIのためのお膳立てとしてロス・インゴは動いていたわけだ。
「いいよ、もう次の挑戦者、望み通りBUSHIだよ!」
ついにKUSHIDAの口から、この一言を引き出したBUSHIは上機嫌で高笑い。
これで、今回のIWGPジュニアヘビー級選手権に必要なものはすべてそろった。6.6仙台から3カ月越しで、すべてのピースが埋められたのだ。
■日本人同士だから見せられる感情のプロレス。それはイコール新日本ジュニアの伝統でもある
ビッグマッチで新日本史上初のIWGPジュニアヘビー級選手権をメインに据えた大田区大会。それはKUSHIDAvsBUSHIだからこそ選ばれたのであって、そこに大きな意味がある。
いま現在の新日本ジュニア。今年の『SUPERJr』は奇跡的なメンバーが世界中が集い、史上最高の面子であるとか、ジュニア・ワールドカップのようだとも言われた。今年が最後と宣言して参戦したライガ—も、「昔は飛ぶ選手、サブミッションの選手、寝技の選手とか分かれていたけど、いまはぜんぶ兼ね備えている。これは、やっぱりかなわないよ」と脱帽した。
たしかに、驚異的な身体能力も備えた外国人ジュニア戦士のレベルはおそろしく高くなった。いってみれば、アスリートプロレスという趣きがある。ライガ—の言う通り、すべてを兼ね備えているのは事実なのだが、あえて言うならひとつだけ足りないものがある。
日本人同士だから見せられる感情のプロレスだ。それはイコール新日本ジュニアの伝統でもある。初代タイガーマスクには小林邦昭がいた、越中詩郎には高田延彦がいた、ライガ—には佐野直喜がいた、大谷晋二郎には金本浩二がいた……そこだけは日本人同士にしか表現できない世界観なのである。
9.17大田区大会。日本人同士、同世代、しかも絶対に相容れない男たちによる感情の名勝負数え唄が、この日からスタートするのかもしれない。
●金沢克彦(かなざわ・かつひこ)
1961年12月13日、北海道帯広市生まれ。
青山学院大学経営学部経営学科卒業後、2年間のフリ—タ—生活を経て、1986年5月、新大阪新聞社に入社、『週刊ファイト』編集部・東京支社に配属。1989年11月、日本スポーツ出版社『週刊ゴング』編集部へ移籍。2年間の遊軍記者を経験した後、新日本プロレス担当となる。1999年1月、編集長に就任。2004年10月まで5年9カ月に亘り編集長を務める。同年11月、日本スポーツ出版社の経営陣交代を機に編集長を辞任し、同誌プロデューサーとなる。翌2005年11月をもって退社。
以降、フリーランスとして活動中。現在は、テレビ朝日『ワールドプロレスリング』、スカパー!『サムライTV』などの解説者を務めるかたわら、各種媒体へフリーの立場から寄稿している。
●金沢克彦ブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈」
■『DESTRUCTION in TOKYO』
9月17日(土)18:00〜東京・大田区総合体育館
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★前売券情報
・「ローソンチケット」「イープラス」は9月15日(木)で販売終了。
・「チケットぴあ」は9月16日(金)で販売終了となります。
■『Road to DESTRUCTION』
9月14日(水)18:30〜青森・新青森県総合運動公園マエダアリーナ・サブアリーナ
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9月15日(木)18:30〜青森・五所川原市民体育館
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9月19日(月・祝)17:00〜滋賀・滋賀県立体育館(大津)
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9月20日(火)18:30〜和歌山・和歌山県立体育館
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9月21日(水)18:30〜愛媛・新居浜市民体育館
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9月23日(金)鳥取・鳥取県立鳥取産業体育館
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■『DESTRUCTION in HIROSHIMA』
9月22日(木・祝)17:00〜広島・広島サンプラザホール
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■『DESTRUCTION in KOBE』
9月25日(日)16:00〜兵庫・神戸ワールド記念ホール
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※「ロイヤルシート」は完売となりました。
■『NEW JAPAN ROAD 〜がんばろう!UONUMA 2016〜』
10月8日(土)15:00〜 新潟・魚沼市堀之内体育館
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※一般発売は8月27日(土)より
※「砂かぶり」は完売となりました。