1月23日に行なわれた新日本プロレスリング株式会社と株式会社ブシロードの戦略発表会(東京スカイツリータウン・ソラマチ9Fスペース634 ANNEX)。その席上、新日本プロレスの木谷高明取締役会長が辞任を表明した。
■木谷会長のコメント
木谷「事前にお伝えしてはありますけど、私の辞意表明ということで。新日本プロレスの会長を、次回の9月の株主総会で辞任したいと思います。理由は簡単に申し上げると2点あります。1点は、新日本プロレスという会社から見ると外敵にあたる桜庭和志選手のセコンドに1・4東京ドーム大会で(ついた)。まあ、会社としては認めてくれたんですが、本来あるべき姿から違う形でセコンドについた。なおかつ、残念ながら負けてしまった。これに対するケジメが1点。もう1点は、前向きに捉えて、去年の1月31日以来この1年間、いろいろ私も会長として活動をやらせていただきました。その中で『もうある程度のところまで来ただろう。むしろ、これからはブシロードグループとして外側からサポートして行く形にしたほうが、より新日本プロレスが発展するんではないか?』というふうに判断したからです。もちろん、ポイントポイントのところはしっかり話をさせていただきますが、いままでのように常に見てるということは、その段階はもう脱したのかなというふうに思います。先ほどから何度も出てきますように、この1月4日の東京ドーム大会で私が一番やりたかったことは、新日本プロレス及びプロレス界がある意味トラウマになっている『暗黒時代』という言葉の完全払拭です。これは、僕はできたと思っています。試合内容はかつてなく素晴らしいものになったと思いますし、観客動員だけ見ても、2004年以前の観客動員及び熱気まで戻すことができました。次の目標は、90年代の熱気にもう1回戻すことですが、ただ過去に戻るんじゃなくて。プロレスというものが時代のベクトルがズレてしまったのは、2000年ごろからだと思っていますけど、そのズレたものに追いつき、そのあとは時代をさらに扇動して行かなくちゃいけないんじゃないかと思っています。新しい価値をさらに作って行かなくちゃいけない。いまは追いついている最中です。間もなく追いつくと思います。それで、追いついたあとは、新日本プロレスが自ら新しい価値を作り出して行かなきゃいけない段階に入るんじゃないかなと思っています。そういった体制がある程度できたのではないかと判断した次第です。先ほど海外戦略の話が出ましたが、日本がアメリカと一緒になって生み出したコンテンツ、スポーツといったものを、さらに世界に広げて行く段階に入りつつあるんじゃないかと考えております。辞意表明ではありますが、今後ともますます“ヴァンガりたい”と思います。何卒よろしくお願いいたします」
■マスコミに配布された辞意表明
私、新日本プロレスリング株式会社取締役会長並びに株式会社ブシロード代表取締役社長である木谷高明は、1・4『ブシモ Presents WRESTLE KINGDOM 7 〜EVOLUTION〜 in 東京ドーム』で行われたIWGPインターコンチネンタル選手権試合にて、王者・中邑真輔選手が、挑戦者・桜庭和志選手の挑戦を退け勝利したという結果を受け、新日本プロレス会長職を近日中に辞任することを表明します。
一部の皆様はご存知かと思いますが、同試合前、私は菅林直樹社長の「格闘技もどき」なる発言、さらには、桜庭選手、柴田選手へのリスペクトのなさが許し難く、新日本プロレスの会長という立場を越えて、桜庭選手のセコンドにつかせて頂いたという経緯があります。この私の行為に対して、プロレス関係者からの支持も多数頂きましたが、さらに多くの反発もありました。試合前、中邑選手からは「リング上では何が起こっても知らない」という警告もあり、もし桜庭選手が負けるようなことがあれば自分の進退を懸けるしかないと心に決めて当日の花道を歩きました。
2012年2月、新日本プロレスの会長に就任して以来、私はプロレス界全体を再び黄金時代へ戻すべく、様々な角度から世間に対するアプローチを戦略的に行ってきました。大会へのゲスト招聘、CMや看板などの広告展開、TV、ラジオ等への出演、弊社カードゲーム「キングオブ プロレスリング」発売など、挙げればきりがありませんが、すべて愛する新日本プロレスを盛り上げるための施策ばかりです。
そして1・4東京ドーム大会。2万9,000人(有料入場者数)のお客様を見て、私は新日本プロレスが抱えるトラウマの如き「暗黒時代」は終わりを告げ、新たな時代へ進化を遂げたと強く感じ、ここで一つの区切りをつけることを決意しました。
これからはオーナーとして新日本プロレスに関わっていくことになりますが、皆様の変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。なお、会長職を辞することで支援を打ち切るわけではありませんのでご安心ください。
木谷高明
【写真:山本正二】