5.4福岡でついにベールを脱いだBONE SOLDIER、その正体はなんとジュニア戦士きっての実力者、石森太二だった――。
IWGPジュニアヘビー級王者のウィル・オスプレイを不意打ちのブラディー・クロスでKOに追い込み、「新日本ジュニアのトップを獲るために、ここに来たと」と宣戦布告した石森。
いよいよ5.18後楽園から幕を開ける『BEST OF THE SUPER Jr.25』、その最注目株に直撃インタビュー!
■オレは富と名声を得るためにBULLET CLUBを選んだ
――5.4福岡で衝撃のBULLET CLUB入りを明かし、大きな話題を呼んでいる石森選手にお話を伺いたいと思います。
石森 ……(ニヤリ)。
――あの大会ではウィル・オスプレイ選手がKUSHIDA選手を相手にIWGPジュニアヘビー級王座を防衛した直後、 かねてより話題になっていた“BONE SOLDIER”が姿を現しました。そして瞬く間に王者をKOに追い込み、その正体が石森選手と判明すると会場は大きなどよめきに包まれましたが、あのリアクションへの率直な感想は?
石森 まあ、当然なんじゃないの? オレが客の立場で、いきなり石森太二が出てきたらそりゃ騒ぐもん(笑)。
――石森選手といえばずっとベビーとして活躍してきましたし、突然の変貌ぶりに戸惑うファンの声も届いているのでは?
石森 そんなのイチイチ気にしてらんないよ。まあ、これからオレがやることから目を離さないほうがいいんじゃないの? とりあえず、オレはこのリングのジュニアでトップを取るから。
――なぜBULLET CLUBのメンバーになることを選んだのでしょうか?
石森 それは愚問だろ、BULLET CLUBが世界的に有名なユニットだからに決まってんじゃん。日本発信で世界に一番届いているのがBULLET CLUBなんだし、そこに入れば石森太二をもっとこの業界でアピールできる。それにここなら、マーティー・スカル以外のジュニア全員と戦えるし。
――たしかにBULLET CLUBのジュニアのシングルプレイヤーは、いままでスカル選手のみでした。しかし、現在BULLET CLUBはまだ内紛の火種が残っていますが?
石森 そのへんはよくわかんないけど、オレは面倒くさいことに付き合う気はないね。スっといなくなるかもしれないし。いま考えているのは、このBULLET CLUBを利用することだけ。だってさ、アメリカの会場に行ったらBULLET CLUBのTシャツを着ているファンばっかなんだから。
――アメリカの会場といえば、石森選手は今年3月、プロレスリング・ノアを退団する際の会見で「外の世界に興味を持ったのが理由」と話されていましたが、実際に退団以降は海外のインパクト・レスリング(前名TNA)とPWG(プロレスリング・ゲリラ)に参戦されていましたね。
石森 まあ、呼ばれたから行ってきたけど、“TAIJI ISHIMORI”に対する反応は大きかったね、フフフ。
――昨年11月、石森選手はインパクト・レスリングで、日本人ではSANADA選手に次いで二人目となるX-Division王者となっていますし、現地でもその名は知れ渡っている、と。
石森 で、もっと有名になるためには、その会場のファンにもあれだけ浸透しているBULLET CLUBを使わない手はないと思ったってわけ。オレは富と名声を得るためにBULLET CLUBを選んだ、それだけだよ。
――その最初の舞台として、石森選手は2010年の初出場以来、8年ぶりに『BEST OF THE SUPER Jr.』参戦を果たします。『SUPER Jr.』は今回で25回目を迎えますが、石森選手にとってはどのような大会ですか?
石森 単純にジュニアでは一番歴史と価値のある大会だと思うよ。
――その舞台で自分の力を証明したい、と?
石森 いや、いまさら証明するも何もオレは十分強いから(苦笑)。
――仰るとおり、石森選手は10年の『SUPER Jr.』ではBブロック1位で優勝決定トーナメントに進出しました。残念ながら準決勝でプリンス・デヴィット選手に惜敗を喫していますが、その実力を見せつけたというか。
石森……。
――ちなみにそのときは、BULLET CLUBの同門であるジュニア時代のケニー・オメガ選手やタマ・トンガ選手からも勝利を収めています。
石森 あのさ、べつに過去がどうとかオレには関係ないんだよね。自分のやってきたことにしがみつく気なんかこれっぽちもないし。オレは自分の現状をぶち壊すために、いままで自分が築き上げたものを捨てる必要があった。それもBULLET CLUBを選んだ理由だし。
――石森選手はGHCジュニアヘビー級王座の歴代最多防衛記録を保持していますが、そういった栄光も関係ない、と?
石森 そういうこと。いいか、オレはBone Soldier、BULLET CLUBの石森太二なんだ。ここからがオレの“It’s Reborn”。それを見とけって話だよ。
■オレにはオスプレイの雑な部分が見えるし、そのへんはまだ青い
――では、『SUPER Jr.』の各公式戦の対戦相手の印象を伺いたいと思います。まず、5.18後楽園の開幕戦では、いきなりメインでIWGPジュニアヘビー級王者のウィル・オスプレイ選手と対峙します。
石森 「いきなり来たな」って感じだな(ニヤリ)。まあ、チャンピオンだしスピードやテクニックも「スゲーじゃん」って思うところもあるけど、オレには雑な部分も見えてるよ。そのへんはまだ青いなって。
――オスプレイ選手は25歳と若きチャンピオンですが、キャリア16年を誇る石森選手からすればスキが見える、と。相手はズバ抜けた身体能力を持っていますが、自分なら渡り合えるという思いはありますか?
石森 そこは自信あるよ、オレはほかの日本人と違うし。ていうかさ、福岡で観たでしょ? オスプレイはオレの技一発でノビちゃってるからね。
――新技のブラディー・クロス(ブラディサンデーの体勢から、自分の両ヒザを相手の顔面に炸裂させる変形フェースバスター)ですね。
石森 また、同じシーンが見られるんじゃないの? フフフ。
――続く5.20沼津ではL・I・Jの BUSHI選手との一戦になります。
石森 よくは知らないけど、印象としてはタッグ屋って感じかな。俺の中ではシングルプレイヤーのイメージがない。
――BUSHI選手は過去にIWGPジュニアヘビーのベルトを戴冠していますが?
石森 そのことすら、いま知ったくらいに印象がない(笑)。べつに何も問題ない相手だな。
――恐れるに足らず、と……。その次は5.24沼津で、ROHで活躍中の新進気鋭のハイフライヤーであるフリップ・ゴードン選手との一戦です。
石森 これに関しては名前すら知らない。
――そういう未知の相手と戦うことについて、何か思うことは?
石森 べつにないよ。知らない相手と戦うのなんか、海外で何回も経験あるし。オレはオレの戦いをする、それだけ。
――5.26名古屋で相対する現IWGPジュニアタッグ王者の金丸義信選手とは、ノアのリングで何度も対戦していますよね。
石森 まあ、「職人だねえ」としか言いようがないな。ただ、べつにコッチは苦手意識もないし。
――現在の金丸選手はウィスキーの噴射攻撃も得意としていますが?
石森 へえ、そんなことしてんだ? まあ、本人がそれでよしとするなら、好きにやってくれって感じかな。
――その次の5.29栃木で対戦するタイガーマスク選手も、過去に何度かノアのリングで対戦経験がありますよね。
石森 タッグでは何度かやってる。でも、正直「まだ『SUPER Jr.』に出てるんだ?」って思うね。コッチが若手の頃は「強いな」って感じたけど、いまはただの“老いた虎”でしかないよ。
――手厳しいですね……。5.31八戸ではACH戦を迎えます。石森選手にとってACH選手は新日本の『SUPER Jr. TAG TOURNAMENT』で準優勝を飾ったときのパートナーになります。ACH選手は石森選手がBONE SOLDIERの正体だと知って、ツイッターで驚きと悲しみを表していましたが?
石森 フフフ。組んでたときはいい選手だと思ったよ。やたらバネがあって、やたらハイテンションで。でも、そんな女々しい反応を見せてるようじゃ甘いね。試合にも影響しちゃうんじゃないの?(笑)。
――そして6.3後楽園では最終公式戦としてROPPONGI 3KのYOH選手と対峙します。
石森 なんか、彼が若手の頃に観たことあったから、海外から帰ってきたときは垢抜けたなって思ったけど、試合自体が印象に残るかって言ったら、オレはクエスチョンマークだよ。いまは失速してるみたいだし。
――たしかに3.6大田区でIWGPジュニアタッグ王座から陥落し、4.1両国でのリマッチでも敗退してからはベルト戦線から一歩後退しているというか。
石森 オレにはイージーな試合だね。オレはリーグ戦では一つも星をこぼさないで、最後までいくから。
――では6.4後楽園での優勝決定戦では、対抗ブロックから誰が上がってくると思いますか? もしくは気になる選手は?
石森 ……気になる選手っていうか、むしろ全員が逆に俺のことが気になってんじゃないの?(ニヤリ)。
――たしかに石森選手が今回『SUPER Jr.』の最注目選手だと思います。
石森 フフフ。まあ、同じBULLET CLUBのスカルは実力者だと思うけど、観る側がオレとの絡みで気になってんのは、KUSHIDAとか(高橋)ヒロムあたりなのかもな。
――KUSHIDA選手とは2016年7月の『SUPER J-CUP』一回戦で対戦していますね。大激闘の末、石森選手が惜敗を喫して。
石森 そのときのリベンジっていうのはあるけど、いまのオレ、BULLET CLUBの石森太二は全然違うからさ。KUSHIDAにしろヒロムにしろ、パワーもスピードもオレのほうが完全に上だし。
――ちなみに『SUPER Jr.』優勝者は、必然的にIWGPジュニアヘビーの次期挑戦者の最有力候補となりますが、意識する部分は?
石森 IWGPジュニアか……。世界にもっと名前を売るためには、絶好の獲物だよ。あのベルトとBULLET CLUB、この二つの看板があったら敵ナシだな、フフフ。
――IWGPジュニアヘビーも視野に入れている、と。
石森 このリングに上がる以上はほしいし、コッチに転がりこむのもそう遠くない。オレはそう思ってるけどね。あと、新日本のジュニアって「もっとジュニアの地位を上げたい」とか言ってるよね?
――そうですね。とくにKUSHIDA選手やヒロム選手は、常々「ヘビーに負けないくらいジュニアを盛り上げていきたい」と発言しています。